採血2

検査項目 透析患者の基準値 説明
WBC
(白血球)
 3000~8000/µL  白血球の役割は、体内に侵入した細菌を攻撃すること。細菌感染、感染症、アレルギー、血液疾患などで増減する。
Hb
(ヘモグロビン)
 10~11g/dL  Hbは、血液中の酸素と二酸化炭素を運搬する働きがある。赤血球に含まれる。透析患者の場合は、一般の人より低めにコントロールする。
MCV
(平均赤血球容積)
80~100  MCVは、赤血球一つ一つの大きさのこと。貧血の種類の判定に用いる。
MCHC
(平均赤血球血色素濃度)
32~35g/dL  赤血球中のヘモグロビン濃度を表します。貧血の種類の判定に用いる。
網状赤血球  4.0×8.0×10/µL  網状赤血球は、赤血球が形成される一つ手前の段階のもの。(簡単に言えば、若い赤血球)。血液がどの程度作られているか、エリスロポエチンが効いているか、を知る指標となる。
血小板  13.1~36.2×104(男性)
13.0~36.9×104(女性)
 血小板は、出血した血液を止める働きがある。透析患者は、腎機能正常者に比べてやや低い。
 Na
(ナトリウム)
 136~145mEq/L  細胞外液に多くまれる最大の陽イオン。
Cl
(クロール)
 97~107mEq/L  細胞外液に多くまれる最大の陰イオン。
K
(カリウム)
 3.6~5.0mEq/L  細胞内液に多く含まれる陽イオン。細胞外液の濃度が上がると、細胞の静止電位が上昇する為、心臓・筋肉・神経活動に影響を与える。5.5Eq/L以上:痺れなど神経・筋症状、7.0Eq/L以上:致死性不整脈、3.0Eq/L以下:筋力低下
pH  動脈血pH 7.3~7.4  透析患者の場合、腎臓から酸(H+)を排出できない為、代謝性アシドーシス(腎臓が原因で酸性になること)になりやすい。
HCO3-
(重炭酸イオン)
 透析前血清 20~25mEq/L  HCO3-はpHを調整する働きがある。透析患者の場合は、透析液より、HCO3-を補給して、酸(H+)の排出を促進している。H+とHCO3-とが反応して水と二酸化炭素にして、呼吸、除水により排泄する。(H+HCO3-→H2O+CO2)
Cr
(クレアチニン)
 透析患者の基準値はない  筋肉にエネルギーを運ぶ働きをもつ物質をクレアチンという。クレアチンが使われた後に、一部がクレアチニンに変化する。筋肉量が多く、活動量が多い患者ほど上昇する。透析患者の筋肉量の評価(%CGR)や、簡易的な透析効率の計算(除去率)に使われる。
BUN
(血清尿素窒素)
 70~90mg/dL  タンパク物質が体内で分解されると最終的に尿素となる。タンパク摂取量や肝臓でのタンパク合成、体内での異化(分解)に影響される。タンパク摂取量や透析効率(Kt/V)の計算に利用する。この値が、高い場合は透析不足の可能性もある。
尿酸  低尿酸血症:2.0mg/dl以下
高尿酸血症:7.0mg/dl以上
 一般的に抗尿酸血症は、痛風・高血圧・冠動脈疾患・腎臓病の危険因子である。しかし、透析患者の場合は高尿酸血症患者のほうが、心血管リスク・脳血管障害リスクが下がるという報告もある。透析患者の場合は、栄養状態の目安にもなる。
P(リン)  3.5~6.0mg/dL  リンは、人間の体を構成したり、エネルギー代謝に関与する重要なイオンだが過剰になると重篤な合併症を引き起こす。高リン血症では、動脈硬化、異所性石灰化を促進して生命予後が悪くなる。
Ca
(カルシウム)
 8.4~10.0mg/dL 低Ca血症では、テタニー症状、痺れ、心電図QT延長、致死性不整脈を引き起こす。アフェレイシス療法では、低カルシウム血症に注意が必要。透析患者の場合は、高Ca血症になりやすい。CaとPの値が高いと異所性石灰化を促進して、心血管系の合併症のリスクが増大する。低アルブミン血症(Alb濃度4.0g/dl未満)の場合は、補正カルシウム濃度をPayneの補正式で求めて使用する。

※補正Ca濃度=実測Ca濃度+(4-Alb濃度)

Mg
(マグネシウム)
 1.8~2.6mg/dL  Mgは生体内の化学反応に必須のイオン。ただし、高Mg血症では、吐気、うつ、不整脈、昏睡などを引き起こす。Mgを含む薬剤を使用している患者の場合は、月1以上測定する必要がある。
GOT
(AST)
10~40U/L(腎機能正常者)  GOTは、肝細胞・心筋・骨格筋・赤血球に含まれる。それらの、細胞の壊死で上昇する。透析患者の場合は、腎機能正常者と比べて低値(20~25U/L未満)となる。基準値内でも上昇があった場合は、肝炎などの可能性を考える。
GPT
(ALT)
 10~40U/L(腎機能正常者)  GPTは、主に肝細胞に含まれる。肝細胞の壊死で上昇する。GOTと同様に、透析患者の場合は低値(20~25U/L未満)となるので注意。
ALP
(アルカリホスファターゼ)
 100~350U/L  ALPは、骨・小腸粘膜、肝、腎臓、胎盤などに存在する。A骨形成の時に血液中に遊離される為、骨代謝マーカーとしても利用される。高ALPでは、心血管系の死亡率を上昇させるという報告がある。肝疾患などでも上昇する。
Alb
(アルブミン)
 3.8~5.3g/dL  分子量66000で、血清タンパク質の50~65%を占める。膠質浸透圧維持の働きや、栄養状態の指標として用いられる。
 コレステロール  ・TC:150~219mg/dL
・HDL-C
男性40~86㎎/dL
女性40~96㎎/dL
・LDL-C:70~139mg/dL
・TG:50~149㎎/dL
・non-HDL-C:基準値なし
透析患者においては、non-HDL-C高値、HDL-C低値が心筋梗塞発症の予後因子として報告されている。日本透析医学会のガイドラインでは、絶食時LDL-C<120mg/dL、随時採血non-HDL-C<150mg/dL

「non-HDL-C」=「TC」-「HDL-C」

中性脂肪
(トリグリセリド:TG)
 50~150㎎/dL  高TG血症は、心筋梗塞の危険因子となる。動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012による、一次予防の為のTG値は150mg/dL未満。
 CRP
(C反応性タンパク質)
 0.3mg/dL以下  体内で炎症反応があると上昇する。感染症の診断に用いられる。持続的なCRP高値は、動脈硬化を促進させる。
フェリチン  100~200ng/mL  フェリチンはタンパク質の一種で、鉄と結合して体内に保存する働きがある。結合された鉄は、貯蔵鉄として、肝・脾・骨髄・胎盤などに保存される。血清フェリチン濃度は、貯蔵鉄の量を反映する為、鉄不足の判定に用いられる。
TSAT
(トランスフェリチン飽和度)
 ・TSAT:20~40%
・TIBC:240~430µg/dL
・UIBC:180~280µg/dL
 血液中の鉄は、トランスフェリチンと結合して運ばれる。全てのトランスフェリチンの中で鉄と結合しているトランスフェリチンの割合をTSATと呼ぶ。フェリチン100ng/mL以下、TSAT20%以下が、鉄補充の指標とされる。ちなみに、鉄と結合しているものと結合していないものを合わせた全てのトランスフェリチンをTIBC、鉄と結合していないフリーのトランスフェリチンをUIBCと呼ぶ。
※TSAT=(血清鉄/TIBC)×100〔%〕
intact PTH
(副甲状腺ホルモン)
 60~240pg/mL(intact PTH)
36~150pg/dL(whole PTH)
 PTHは、血液中のCa濃度低下に反応して分泌が促進される。骨塩の再吸収を促進(骨を溶かして、血液中のCa濃度を上げる)働きがある。骨の代謝の指標となる。
β2MG  30mg/L以下  分子量11800のタンパク物質。全ての有核細胞に含まれる。透析アミロイドーシス発症の原因の一つ。
 血糖  180~200mg/dL未満(透析前)  血液中のブドウ糖濃度。インスリン使用患者では、透析前後の測定が推奨される。
HbA1c  6.6%未満  HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは、ブドウ糖と結合したHb(ヘモグロビン)の割合のこと。Hbの寿命は、120日と長いので長期的な血糖の推移が反映される。ただし、透析患者はHb寿命が短縮される為、非透析患者と比較して低い値になる。したがって、透析患者の場合は参考程度にしか使用しない。以下のGAを血糖管理の指標として用いる。
GA
(グリコアルブミン)
 11~16%  GAは、ブドウ糖と結合したアルブミンの割合のこと。アルブミンの寿命は、17日程度であり過去2~4週間の血糖が反映されます。透析患者の血糖コントロールの指標として使用されます。