透析患者の貧血の診断方法は!?MCVによる小球性貧血、大球性貧血の説明

貧血の基礎知識

貧血を理解する為には、Ht(ヘマトクリット)とHbについて知っておく必要があります。簡単にそれぞれを説明しますね。

・Ht(ヘマトクリット)とは

Htとは、血液中に占める血球成分の割合をいいます。

・Hb(ヘモグロビン)とは

Hbとは、血液中の赤血球の一部で、酸素とひっついて、酸を運ぶ働きをします。

・一般的な貧血とは

透析をしていない一般的な人の貧血は以下の値より少ない場合を言います。

男性:Hb<13.5g/dL、Ht<40%
女性:Hb<11.5g/dL、Ht<35%

透析患者さんの、Hb、Htの目標値は、男女とも同じでHb10~11、Ht30~33%と透析医学会のガイドラインで定められています。一般の人よりも低い値ですが、この範囲でいることが合併症が少なく生命予後が良いとされています。

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貧血の種類

貧血は、ヘモグロビンの大きさにより小球性貧血、正球性貧血、大球性貧血に分類されます。平均赤血球容積(MCV:Mean Corpusucular)によりそれぞれの分類が決められます。貧血と診断された場合は、MCVを計算して、どのような原因で貧血になったかを調べる必要があります。

・MCVの測定法

MCV=Ht(%)÷赤血球数(個/μL)×10000000 で求めます。この数字が小さいほど、赤血球が小さく、大きいほど赤血球が大きいということになります。ちなみに赤血球数は、RBCと記載されていることがあります。

日本人のMCVの平均値は90とされています。よって、80以下を小球性貧血、100以上を大球性貧血といいます。

・小球性貧血

小球性貧血の主な原因は、鉄分の不足が考えられます。鉄欠乏性貧血が疑われる場合は、血清鉄、フェリチンを測定して不足の程度を確認します。
透析患者の血清Feの正常値は、健常者と同様で
男性:60~210g/dL
女性:50 ~170μg/dL
フェリチンは男女共通で
100~300ng/mL程度です。
透析患者さんでは、鉄剤を投与する場合は、経口摂取では吸収量が少ない為、透析終了時に、静脈回路から投与します。

・正球性貧血

MCVが80~100と正常範囲であり、HtやHbが下がっている状態を、正球性貧血といいます。透析患者さんに多い貧血は、正球性貧血です。また、末期腎不全により、腎臓が働かなくなり貧血になることを腎性貧血といいます。
腎性貧血では、以下の原因で貧血が亢進します。

・腎臓によるエリスロポエチン(EPO)の産生低下
・造血細胞のEPO反応性低下
・赤血球の寿命低下
・栄養障害
・透析回路内の残血

・大球性貧血

大球性貧血は、MCVが100以上になる貧血です。赤血球の大きさは、大きいですが赤血球の数が少なくなります。主な原因は、ビタミンB12欠乏や葉酸欠乏です。赤血球が作られるときに、ビタミンB12や葉酸が不足すると分化が進まずに大きな赤血球が造られます。

貧血のまとめ

・透析患者は、正球性貧血の比率が高い。
・Hb、Htが低下している場合はMCVを求めて貧血の原因を調べる。
・MCVの正常値は90±10、80以下は小球性貧血、100以上大球性貧血
・極端な貧血は、消化管からの出血の可能性がある
・それぞれの貧血の原因にあった治療が必要

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