アフェレーシスとは?それぞれの血液浄化療法の原理と特徴について

アフェレシス

Apheresis(アフェレシス)は、もともとギリシャ語由来であり、「分離」という意味があります。病院で施行されるアフェレシス療法は、血液中の特定の病因物質を分離、吸着することにより、病態の改善をはかります。

アフェレーシス療法は大まかに「血液透析、血漿交換、血液吸着」の3つに分かれます。今回は、わが国で行われている主なアフェレシスの特徴・原理について紹介します。

ちなみにApheresisについて「アフェレシス」や「アフェレーシス」など記載されたりしますが、学会名や、書籍ではアフェレシスと記されています。そちらが一般的な呼び方だと思います。ただ当サイトでは、ネットからの検索が多いという理由で「アフェレーシス」と記載しています。

 

アフェレーシスの原理

アフェレーシスでの、物質の除去原理は「拡散、濾過(膜分離)、吸着、遠心分離」などが用いられます。それぞれ詳しく説明します。

拡散

拡散は、透析療法に用いられる物質の除去原理です。拡散は、濃度差の異なる溶液を半透膜で仕切ると物質が均等になるように移動することを利用します。透析療法では、血液と透析液の濃度差を利用します。(参照:血液透析の原理(拡散・限外濾過)

濾過(膜分離)

濾過は、血液透析の除水や血漿交換での血球と血漿の分離など用いられる原理です。膜の穴のサイズにより物質をふるい分けます。

吸着

吸着は、病因物質の電荷・疎水性・親水性といった物理特性を利用して物質を吸着する方法です。血液をそのまま、吸着器に通す「直接血液吸着(DHP)」と血漿分離器で血球成分と血漿成分を分離して、血漿成分だけを吸着器に流す「血漿吸着療法(PA)」があります。

遠心法

遠心法は、物質の比重(重さ)と遠心力を利用した、物質の分離方法です。採血した血液入りのスピッツを、血漿成分と血球成分に分離したりするのに使う遠心ボウルなどにも利用されています。

具体的な原理としては、回転させて遠心力をかけると、中心から外側の方向に遠心力が働くため、比重の重い成分ほど、外側に集まります。この遠心法を用いた血液浄化療法は、末梢血幹細胞採取などで利用されています。

アフェレーシスの種類と詳細

アフェレーシス一覧

アフェレーシスは、上記のように疾患によってさまざまな方法があります。それぞれの方法について当サイトの関連ページリンクを搭載します。

血漿交換療法

PAの吸着器 適応疾患
イムソーバPH-350 自己免疫疾患など
イムソーバTR-350 自己免疫疾患など
リボソーバLA-15,LA-40S 閉塞性動脈疾患などぜ
セレソーバ 全身性エリテマトーデス
プラソーバ 肝不全
メディソーバ 肝不全

血液吸着療法

その他

アフェレーシスのバスキュラーアクセス

バスキュラーアクセスとは、体内から血液を取り出すための方法です。

急性血液浄化療法で用いられるバスキュラーアクセスは、「直接穿刺、ダブルルーメンカテーテル、ペリトニアルアクセス、外シャント」が用いられます。どの方法を選択するかは、血液浄化療法の種類、患者全身状態、治療の頻度・期間などにより決めます。

直接穿刺

直接穿刺法は、大腿や腕の動脈や静脈に直接穿刺して血流を確保する方法です。LCAP、GCAPなどでは、必要とする血液流が少ない為、前腕の静脈が用いられたりします。長所は、素早く手軽に行えることです。短所は、抜針の危険性がある為、静時間の血液浄化療法や体動の激しい患者さんには向きません。

ダブルルーメンカテーテル

アフェレーシスにおける、バスキュラーアクセスとして最も頻度の高い方法がダブルルーメンカテーテルです。挿入部位としては、内頸静脈、鎖骨下静脈、大腿静脈が選択されます。

大腿静脈は、血流量が安定しますが感染が起こりやすい、鎖骨下静脈は、狭窄時した場合、静脈高血圧症を合併しやすいという理由で、右内経静脈が第一選択とされます。

挿入方法が確立されており、一度挿入しておけば、以後は簡単に血液を取り出すことができます。注意点としては、カテーテル部位からの感染を引き起こしやすく、重症化する恐れもある為、清潔操作を徹底することです。

関連記事:ダブルルーメンカテーテルの管理と挿入介助方法

その他

アフェレーシスにもちいられるバスキュラーアクセスは、ダブルルーメンカテーテル、直接穿刺が大半です。他には、外シャント、ペリトネアルアクセスによる腹膜透析が行われることもあります。

アフェレーシスの合併症

血圧低下

アフェレーシスで最も多い合併症が「血圧低下」です。血圧低下の原因は、以下になります。

  • 体外循環による循環血液量の低下
  • 迷走神経反射
  • アレルギー(吸着器・分離器の材料、抗凝固剤、置換液、FFPなどによる)
  • FFPの置換による、膠質浸透圧の低下(PE、DFPEなど)

 

出血傾向の亢進

  • 抗凝固剤投与による凝固時間延長
  • 置換液にアルブミン液を用いたDFPPによる凝固因子の除去

アレルギー

  • 置換液に血漿(FFP)を補充する血漿交換では、IgEを介したⅠ型アレルギーの発生する可能性がある。
  • ACE阻害薬を服用している患者に、陰性電荷を持つ素材の吸着器を使用すると、血中ブラジキニン濃度が上昇による血圧低下のショックを引き起こす。(陰性電荷膜は、ブラジキニンの産生を亢進。ACE阻害薬は、ブラジキニンの分解を抑制する。)
  • 抗凝固剤の中で、アレルギーが発生しやすいのはメシル酸ナファモスタット。発生頻度は低いが、ヘパリンでは、HIT(ヘパリン起因性血小板減少症)を発症することがある。

FFPによる電解質異常

[低カルシウム血症]

電解質異常を起こしやすいアフェレーシス療法は、血漿交換(PE,DFPP)です。理由は、置換液に使用するFFPに血液保存剤としてACDが大量に含まれている為です。ACDに含まれるクエン酸が血中のカルシウムと結合して、血中のカルシウムイオン低下させ低カルシウム血症を引き起こします。

低カルシウム血症では、致死性不整脈を引き起こす恐れがあります。アフェレーシス施行中に唇の痺れなどテタニー症状が現れた場合は、低カルシウム血症を疑いましょう。

[高ナトリウム血症]

FFPに含まれる、クエン酸ナトリウムにより高ナトリウム血症を引き起こす恐れもあります。特に、腎不全患者ではNa調整が難しいので透析を併用することもあります。

最後に

アフェレーシス療法を用いると、劇的に病態がよくなることをしばしば目の当たりにしてきました。疾患によっては、非常に効果がある治療法です。

ただし、注意しなければならないことはアフェレーシスでは、さまざまな副作用や、アレルギー反応が引き起こす可能性があるということです。事前に予防法や、対処療法を確認したうえで開始をしなければなりません。特に、初回の治療時には注意が必要です。

(参考文献・引用)