内シャントを長持ちさせるには?日常の管理方法は?

公開日: : 血液透析

<シャントの開存率>

内シャント
<日本透析医学会雑誌 44巻9号2011より引用>

内シャントの開存率とは、内シャントが狭窄したり、閉塞したりして使用できなくなった人の割合を表します。数あるバスキュラーアクセスの中で一番開存率が高いのが、内シャントと言われています。

上図をみたところ、高齢者や糖尿病患者では、間存率がやや低いですが、一番開存率が低い透析患者でも、5年間の開存率が50%以上あります。

人工血管では、3年間の開存率が50%と言われていますのでそれに比べれば高いように思えます。ただ、これらの開存率は、患者の生活習慣や、私たちスタッフの穿刺の仕方によっても左右されます。どうすれば、開存率を上げることができるか紹介します。

<日常生活での注意点>

重い荷物を持たない。

重い荷物を持ったり、シャント肢側にバックをぶら下げて持ったりすると、シャント血流が遮断され閉塞する恐れがあります。

手枕をしない

シャント肢側では、手枕をしないようにしましょう。シャント血流が、遮断されて血栓ができやすくなりシャント閉塞するリスクが上昇します。

腕時計をしない

腕時計もシャント血流を妨害する恐れがあるのでシャント肢側に腕時計は装着しないようにします。

ぶつけないようにする

シャント肢をぶつけないように気をつけましょう。特に、透析患者の場合は、ヘパリンなどの抗凝固剤を透析で使用している為、内出血や出血がしやすい状態になっています。

血圧測定に使用しない

シャント肢側で血圧測定も、してわいけません。シャント血流が妨げられる恐れがある為です。シャント肢の反対または、足で血圧を測定します。

透析間の体重増加量を増やしすぎない

透析間の体重増加量が多いと、透析中に急速に除水する必要があります。急激な除水は、プラズマリフィリングが追いつかない為、血液中の水分量が減り血液の粘度が濃くなります。血液の粘度が上がると、血管が詰まりシャント閉塞するリスクが上昇します。透析間の体重増加量が多くなりすぎないように注意しましょう。

毎朝、シャントの音を聞く

異常があった場合は、主治医にすぐに受診する。

 

<スタッフの注意点>

穿刺部位をずらす

内シャント(AVF)または、人工血管(AVG)を長持ちさせるには、同一部位ばかり穿刺しないことです。特に、人工血管では、血管が人工物なので穿刺で傷んだ素材は、回復しません。同一部位ばかり穿刺すると、人工血管が、潰れたり、細くなったりして、すぐに使えなくなります。

内シャントにしても、同一部位ばかり穿刺していると、刺している部位の血管壁が薄くなり、瘤ができたり、皮膚が薄くなりシャント感染を起こしやすくなります。

瘤ができると、瘤と瘤の間が狭窄したり、瘤が大きくなると破裂して出血する恐れもあります。刺し慣れていない部位を、穿刺すると患者は嫌がりますが、患者にしっかりと説明をして、納得してもらったうえで、穿刺部位をずらして刺すことが大切です。

黙ってずらして穿刺すると、新しい場所は、痛みが強いので、穿刺が下手くそと思われたり、○○さんが刺すと痛いなど言われて、トラブルのもとになります。

シャントの吻合部付近は穿刺しない

教科書的には、内シャントの吻合部から5cm以内は穿刺をしない。と記されています。これは、吻合部付近は、血管の分枝がないことや、血管内の圧力が高い為、穿刺が失敗して腫脹すると血液の流れが停滞して、シャント閉塞につながりやすい為です。また、吻合部付近を穿刺失敗して腫脹刺すと、再穿刺する場所を確保するのが難しくなります。

脱水にならない

脱水によりシャント閉塞することもあります。特に、夏場などに大量に汗をかいた場合は、透析患者の場合も、出た汗の分は水分補給をする必要があります。脱水により、血液が濃くなり、さらに血圧低下を起こすとシャント閉塞するリスクが高くなります。

穿刺の失敗をできるだけしないように

穿刺の失敗を繰り返すことでも、シャントが潰れることがあります。穿刺の失敗が続くようでしたら、熟練者が穿刺したり、ボタンホールを作成してペインレスニードルで穿刺したりなど、工夫をして穿刺を失敗しないようにする工夫が必要です。

また、患者側はできるだけスタッフにプレッシャーを与えないでください。「絶対失敗するな」「失敗したら帰る」など無茶苦茶言う患者がいますが、プレッシャーを与えると、緊張して肩に力が入り、失敗率が上がるように思えます。私たち、スタッフ自身も穿刺を失敗すると、ものすごく後味が悪いし、罪悪感を感じます。何も言わなくても全力で穿刺しています。

<まとめ>

以上が、シャントを長持ちさせる方法です。私たち臨床工学技士、看護師などの透析スタッフは、しっかり患者に指導してシャントが長持ちできるように指導する必要があります。

シャントが狭窄すると、シャントPTAを行ったり、シャントの再建術を行う必要があります。シャントPTAはとても痛みが強いようでとても辛いと聞きます。このようなつらい思いをできるだけ少なくしてやるためにも、穿刺技術を向上させ、それぞれの患者の内シャントの構造を理解して、同一箇所ばかり穿刺しないようにすることが大切です。

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