透析アミロイドーシスとは

今回は、透析患者の長期合併症の1つである透析アミロイドーシスについて説明します。患者さんの様子を見て適切な病態を発見して早期に治療することができれば透析アミロイドーシスによる苦しみを軽減できます。透析アミロイドーシスには、症状により様々な種類があります。透析室の看護師、臨床工学技士に知っておいてほしい知識を一通り説明していきます。

透析アミロイドーシスとは

透析アミロイドーシス(DRA:Dialisis Related Amyloidosis)の原因となるのは、β2MG(β2ミクログロブリン)という分子量11800のタンパク質です。β2ミクログロブリンが、アミロイド化(線維化)して体のあちこちに沈着して悪さをすることによりさまざま病態を招きます。

健常者の血液中のβ2MGは2.5mg/Lですが、透析患者では腎臓からβ2MGを排出することができないため、50~100mg/Lとかなり上昇します。

ただ、β2MGの値が高いからといて、必ず透析アミロイドーシスになる分けではありません。β2MG濃度と透析アミロイドーシス発症の相関はないようです。これは、Drでも意外と知りません。

透析アミロイドーシス発症の決めてとなるのは、β2MGがアミロイド化(線維化)するか、しないかにより決まります。どのような経緯でβ2MGがアミロイド化するのかは、いまだにはっきりと解明されていません。

透析アミロイドーシスの発症

1998年の日本透析医学会統計調査報告によれば、手根管症候群治療の手術の経験のある透析患者は、透析歴10~14年で7.2%、15~19年23.4%、20~24年で45.4%、25年以上で60%となっています。透析歴が10年を超えたあたりから、透析アミロイドーシスの発症がではじめています。

透析アミロイドーシスの分類

手根管症候群(CTS)

手関節部の手根管にアミロイドが沈着して、手根管内圧が上昇することにより手根管の中を通る正中神経が圧迫されることにより起きる症状です。症状としては、正中神経が支配している部位である拇指、示指、中指、環指の橈側(親指側)に痺れや痛みが出ます。

手根幹_01 (1)

痛みは、透析中や就寝時に強くなる場合が多いです。
診断方法としては、以下の方法があります。有名な方法で臨床でも使えるので是非覚えてください。
・Tinel(ティネル)徴候・・・手の関節部(手背側)を叩くと指先に痛みや痺れが伝わります。
画像
・Phalen(ファーレン)試験・・・手首を90度に曲げると痛みやしびれが出る。

ふぁーれん_01 (1)

手根管症候群の治療は、外科手術による手根管開放術が主流です。最近では、内視鏡による手術も行われるようになっています。

弾ぱつ指

弾ぱつ指は、指が曲がらなくなる病気です。ばね指とも呼ばれます。これも、外科手術により簡単に治ります。

骨嚢胞

骨嚢胞は、手根骨や大腿骨に興発します。骨の中にアミロイドが入り込んでスカスカにしてしまいます。X線写真では、透亮像(骨は通常X線写真で白く映るが黒く透けて映る)が映ります。骨折の原因になります。

破壊性脊椎関節症

脊椎にアミロイドが沈着することにより炎症を起こして骨を破壊してしまいます。重症になると四肢麻痺を起こします。長期透析患者では、割と頻度が多く、寝たきりになってしまい著しくQOLを下げてしまいます。治療は困難です。

肩関節症

長期透析患者では、透析中に肩が痛いと訴える方が多くいると思います。それは、アミロイドの肩への沈着による肩関節症の可能性が考えられます。手根管症候群と同様で、透析中や夜間就寝中に痛みが強くなるようです。

烏口突起と肩峰に付着している烏口肩峰靭帯(うこうけんぽうじんたい)にアミロイドが沈着して、沈着したアミロイドが、上腕骨頭を圧迫することにより痛みが出ます。よって、立位や座位になると腕の重さで上腕骨頭が下がり、圧迫がゆるむため肩痛が軽快します。透析中に、肩が痛くて座ろうとする患者さんって意外といますよね。外科治療以外にも、内視鏡により治療することが出来るようです。

靭帯_01

透析アミロイドーシスの予防

透析アミロイドーシスによって沈着したアミロイドを除去することは基本的に不可能です。透析アミロイドーシスにならない為の予防が大切です。透析アミロイドーシスの一番の予防は、十分な透析です。

通常の、HDと比較して、ハイパフォーマンス膜を用いたHDで1/2、オフラインHDFで1/10、オンラインHDF1/100と発症率を抑えることができると報告されています。また、透析液の清浄化なども効果があります。

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