透析室でのB型肝炎およびC型肝炎の院内感染予防対策について

細菌

はじめに

透析患者は、肝炎の感染者が多いことが知られています。数十年前の肝炎のウィルスが発見される以前は、予防接種など注射器の回し打ちをしていました。

その為、現在の高齢者ではB型肝炎およびC型肝炎の患者が多くいます。特に、透析患者の肝炎の有病率は非常に高く、HBV有病率は3.3%、HCVの有病率は19.9%となっています。

さらに、透析室では密閉された空間に多くの患者が集まるため院内感染が起こりやすい環境であり、毎年HBVの新規感染率が1.2%、HCVの新規感染率が3.1%発生しており大きな問題となっています。

透析室で院内感染が起こる背景には、血液の飛散が度々発生するからです。特に、HBVウイルスは感染力が強く、透析室のベッドやシーツ、透析装置などにウイルスが付着してから一週間程度は、感染力を持ちます。

そのウイルスを触った、医療従事者が他の患者を触れたりして粘膜から菌が侵入するとB型肝炎に感染してしまいます。

感染対策

周辺環境の整備

透析室では、患者回りで血液の飛散による汚染が度々発生します。穿刺したり、返血後に回路をかたずけるとき、抜針後の止血に失敗した時など、血液が周囲に飛散する恐れがあります。その為、患者の使用ごとに、透析装置・ベッド周辺(オーバーテーブル、ベッド柵)を適切な消毒剤で消毒する必要があります。

具体的には、HBVやHCVの活性を不活性化するには、次亜塩素酸ナトリウム(0.05~0.1%)で清拭する必要があります。

ベッドシーツなどのリネン類は、消毒することができないので患者ごとに交換することが望ましいとされています。ただし、毎回交換するのは手間暇がかかるため、ほとんどの施設で行えていないのが現状です。

また、シーツ交換時に汚染されたウイルスが舞い上がり、患者が吸引する恐れもあるため、交換するタイミングも注意が必要です。

隔離(ベッド固定)

HBVのウイルスは非常に感染力が強く、室温では最低7日間は環境表面に存在するといわれています。その為、患者が使用後のベッド回りが十分に消毒できなかった場合は、ウイルスが残り、他の患者を感染させてしまう恐れがあります。

その為、HBV感染患者は個室で隔離透析をすることが推奨されています。個室の固定ができない場合は、ベッド固定を行いHBV感染者以外は使用しないようにします。そうすることで、新たにHBVに感染する患者のリスクを抑えることができます。

HCV患者においても、HBVと同様にベッド固定をすることが推奨されています。HCVはHBVと比較して感染力は弱いといわれていますが、院内感染を起こす危険性があります。

手指の定期的な消毒

院内感染は、スタッフを媒体として病原菌やウィルスを運ぶことが原因になっていることが多くあります。ウィルスに汚染された手で、穿刺部位周囲を触ったり、他の患者を触れた後に、手指の消毒をせずに他の患者に触れると病原体を運んでしまします。

これらを予防するためには、一人の患者を触れた後は必ずアルコールなどで手指の消毒をして他の患者に触れる必要があります。具体的には、透析中に血圧を測ったり、患者の周囲の物品に触れた場合は、次の患者に異動する前に手指消毒をする必要があります。

参考文献
透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン(四訂版)