透析室の医療機器の清拭・消毒方法について

医療機器を介した感染予防のための指針が作成

血液透析の現場では、頻繁に血液が飛散するため定期的な医療機器の清拭が必要です。特に透析監視装置には、患者に触れた手や血液が付着した手袋で装置に触れた可能性もあるため特に丁寧に清拭をしなければなりません。

医療機器に病原性のある血液・体液が付着した状態で他の患者に使用すると二次感染を誘発する恐れがあります。医療機器の清掃方法には、このようにしなければならないという強制的な義務はない為、感染に対する意識の低いクリニックや病院では不十分な清掃しかしていなかったりします。

そこで、臨床工学技士に対しても感染に対する知識を持ってもらい、医療機器を介する感染を予防するために日本臨床工学技士会より『医療機器を介した感染予防のための指針』が作成されました。この指針には、滅菌・消毒の基礎知識から各部署別・医療機器別での感染対策指針、感染対策における関係法規まで簡潔にまとめて記載してくれています。

 

透析室の感染予防

当指針での、透析室について記載されている部分について簡単に紹介します。

透析装置について

・透析装置外装については、透析室で最も汚染されやすく患者に対して感染の影響を与える可能性が高いことから、透析毎に清拭する。
・清掃に使用する消毒剤としては、環境用中水準消毒剤として、0.03~0.06次亜塩素酸ナトリウム・環境用消毒薬配合洗浄剤(第四級アンモニア塩化物・塩素系含有製品)・ペルオキソー硫酸水素カルシウムを主成分を使用した製品を使用する。
(指針より一部抜粋改変して引用)

次亜塩素は、安価で使いやすいですが、透析装置のメーカーによっては、次亜塩素で装置外装を拭くと劣化や変色などの恐れがあり推奨していない場合もあります。ちなみに、日機装の透析装置は次亜塩素で拭いても問題ないといわれましたがその他のメーカーは、次亜は、保証できないといわれました。

コストが多少上がりますが、次亜塩素と同等以上の効果がある環境清拭用 ルビスタワイプ 100枚入
などの環境用消毒剤が使いやすいのではないでしょうか?

その他、多人数用透析液供給装置、水処理装置、粉末透析剤溶解装置の外装についても洗剤などで一日1回以上清拭するようにとの文言がありました。医療従事者が定期的に触れることから、汚染される可能性があるということらしいです。

患者周辺環境について

・手が高頻度で触れる部分は1日1回以上清拭または消毒する。
・透析室のベッド・チェア・カウンターテーブル・ベッド枠などは血液が付着している可能性があるため、透析終了ごとに0.05%~0.1%の次亜塩素酸ナトリウム溶液などの中水準消毒薬を用いて清拭する。
・リネン類は患者毎に交換するのが望ましい、しかし交換の際に誇りが舞い上がり、環境を汚染したり吸入したりといったデメリットもある。
・床などの水平面は時期を決めた定期清掃をする。手指が振れない限り病原体が伝搬しないので日常的に消毒する必要はない。

・聴診器、血圧計のマンシェット(カフ)は、目に見える汚染がなくとも、患者ごとにアルコール系消毒薬(消毒用エタノール・70%イソプロパノール・イソプロパノール添加エタノール液)で清掃を行う。目に見える汚染がある場合は、物理的に拭きとって0.1%次亜塩素酸ナトリウム液などで清拭消毒する。

(指針より一部抜粋改変して引用)

患者周辺環境について、ここまで実施している施設は、皆無だと思います。ただ、カウンターテーブルやベッド策などは血液で汚染されやすいので、必ず消毒するべきだと思います。
血圧計のカフを消毒するのは大変そうです。ただ、最近では防水タイプで清掃しやすいマンシェットが販売されています。異なるメーカーの装置にもコネクタを装着すると使用できるの次回の交換の際は検討してみてはどうでしょうか?

 

まとめ

透析関連での感染予防の指針やガイドラインは、『透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン,医療機器を介した感染予防のための指針』があります。これらを熟読して、全てを厳守するのは難しいでしょうが、できる限りを取り入れた業務マニュアルを作成して実行することが必要です。



2 件のコメント

  • 初めまして。いつも参考にさせていただいてます。
    当院では、水処理装置洗浄でヘモクリーンを使用しているのですが過酸化水素によるタンパク質を剥離し、バイオフィルム形成を防止するとありました。
    しかし、有機物の溶解作用はないので排管の汚れには注意すること。と、参考文献には記載してあります。
    タンパク質も有機物だと思うのですが、一体どういうことなのでしょうか?
    場違いかもしれませんが質問させていただきました。
    ご回答願えたら幸いです。

    • はじめまして。コメントありがとうございます。

      過酸化水素や過酢酸などは、有機物やタンパク質を剥離する作用は強いですが、溶解することはできないということだと思います。完全に剥離できれば過酸化水素だけで大丈夫ですが、もし剥離できていない有機物が残った場合に問題になります。したがって、過酸化水素や過酢酸を利用している施設は、有機物の溶解のために次亜塩素などの消毒も併用していると思います。

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