思い込みにより不利益な透析を受けている患者がいる

透析イラスト

はじめに

最近、他の病院に転職したのですが施設により透析患者の透析に対する知識の違いを感じました。透析に対する知識は、同じ施設でも患者差があるのは、もちろんですが病院間でも患者指導・教育の違いにより差が出るのだと思います。

知識の不足や誤った思い込みにより、以下のようなことを患者さんから言われました。

思い込み

血流を上げるとしんどい

多くの患者さんや、医療従事者でも勘違いしている人がいますが、透析での「血液流量を上げると心負荷が上がる」という勘違いです。これについては、基本的には血流量を上げても心負荷は変わらないことは、様々な研究により解明されています。詳細は、血流量を上げると心負荷が上がるのか?を参照してください。

血流量を上げるとしんどい、体に悪いと勘違いして、医師が説明してもなかなか血流量を上げたがらない患者さんが多くいます。血流量は、小分子物質(リン、BUNなど)の除去量に相関するため、血流量を上げないと十分な透析量を確保することができません。

論文などでも、血流量が高い患者のほうが生命予後が良いというデータもちらほら見かけます。変な先入観をもたないで、必要であれば血流量を上げることも必要です。

血流量と生命予後

(http://docs.jsdt.or.jp/overview/pdf2010/p066.pdfより引用)

除水速度を上げるとしんどくなる

除水速度が多いと、しんどくなるのは正解です。循環血液量が減少して血圧が低下するためです。ただ、「自分は、除水速度は絶対に400ml/min以下でなければならない」などといった誤った先入観を持っている患者様を見かけます。

このような、患者様のなかには透析前後のアルブミンやヘマトを確認するとほとんど血液が濃縮していないことがあります。これは、透析の除水により、循環血液量が減少していないことを意味します。除水に、プラズマリフィリングが十分に追いついているため、循環血液量の減少がないためです。

ちなみに、プラズマリフィリングというのは血管外から、血管内への水分の移動を言います。除水によって減少した血液は血管外から水分の移動により補充されています。

除水速度が少ないほうが、体に負担が少ないのは事実ですが、除水量を多くかけられない為、過度な食事の減量があったり、透析後にもDWまで除水できず、水分過剰のままで帰宅しなければならないという状況が出てきてしまうことがあります。このほうがよっぽど体の負担になり危険です。

確かに、プラズマリフィリングが悪くて、多くの除水をかけられない患者もいます。その患者の場合は、除水速度をあまり上げることができません。しかし、除水できそうなのに、除水速度をあげさせてくれない患者も何人かいます。

連日透析は意味がない

連日透析というのは、2日連続で透析をすることです。普段、火木土のサイクルで透析をしている患者さんが木曜日にこれなくなった場合は、週に3回透析をしようとすると、火水土または、火金土といったサイクルで透析に来なければなりません。そうなると2日連続で来なければなりません。

ただ、透析の間隔は、1日以上開けるのが当たり前だと考えている患者さんがいます。その為、「2日連続でしても意味がない。今週は、週に2回の透析でいい」などと言われることがあります。

しかし、その考え方は誤っています。本来の腎臓は、24時間365日働いています。透析治療では、コストパフォーマンスにより、週3回透析が一般的に浸透しています。ただ、透析の時間は長いほうが生命予後がいいと証明されており、週に4回透析をしている施設もあります。透析医であり自らも透析患者である、カワセミクリニックの鈴木院長(著書:改訂2版 透析医が透析患者になってわかった しっかり透析のヒケツ: エビデンスに基づく患者さん本位の至適透析も週に4回の透析をされています。

また、リンなどは、1回の透析で除去できる量がある程度定まっています。したがって、週の透析回数を減らすと、体内にそれらの物質が蓄積されてしまいます。

痛みが少なく穿刺してくれる人がうまい

確かに、スムーズに穿刺されると痛みが一瞬の為、痛みは少ないと思います。ただ、おんなじ部位にばかり穿刺をしているため、感度が鈍くなり痛くなくなっている場合があります。

よくあるのが、穿刺が、下手な人は前回の傷跡を目印にしたり、簡単な部位ばかり穿刺をするのでおんなじ場所ばかり穿刺するので痛みが少ないです。

痛みが少ないのは一時的には、いいかもしれませんが、長い目で見るとシャントが潰れやすくなったり、溜ができたり、感染しやすくなったり、重大な合併症の原因になります。

あまり刺したことのない場所の穿刺は痛いですが、シャント血管はまんべんなくいろんな部位に穿刺をすることが長持ちさせる秘訣です。

まとめ

よりよい透析を受けて長生きをするためには、患者さんやその家族も透析についてしっかり勉強する必要があります。透析の時間だけで医師、スタッフにより十分な教育をすることは難しいからです。

透析についての本を1つ購入して持っておくといいと思います。透析治療で疑問に思ったことを辞書的に調べるのに使ったり、一通り目を通したりなどいろいろな使い方ができます。

患者さん向けに書かれた書籍(透析ハンドブック―よりよいセルフケアのために
など)、患者さん向けにわかりやすく書かれているのでお勧めです。



3 件のコメント

  • 透析施設では質問してもはぐらかされて教えてくれないので、勉強になりました。
    透析液が体に与える影響ってどのようなものが有りますか?
    私は日常から低血圧で最近、キンダリーからカーボスターに試しに変えて分かったことがあります。
    キンダリーを使うとアトピー性の皮膚炎のような症状が出る事です。
    皮膚科に通ってももちろん治りません。
    カーボスターに変えた翌日には皮膚炎は治まっていました。
    その後、ひと月使いましたが大分、皮膚の状態が良くなり、皮膚科の先生も保湿だけでステロイドは使わなくてよいと言われました。
    しかし、お試しだったのでキンダリーに戻したとたんにアトピーが復活してしまいました。
    このように何かしらの影響って他にどんなものが有りますか?

    • お試しで使ったということは、個人用の透析装置を使用しているのですか?カーボスターの特徴は、酢酸フリー(酢酸が含まれていない)という点です。微量の酢酸なのでほとんどの患者さんには影響がないのですが、酢酸に対してアレルギーがあるのかもしれません。酢酸が含まれている透析液を使用すると高齢者など酢酸を分解する機能が低い患者さんの場合は、酢酸不耐症といって血液中の酢酸濃度が上昇して血圧低下することが稀にあります。

      • ご返事ありがとうございます。
        たまたま、私が使っているのが個人用でした。
        しかし、1月の下旬に透析施設が町の再開発のために引っ越しし、新しい施設では個人用が使えなくなってしまいました。
        透析の方法もHDからI-HDFに変更になりました。
        今は、花粉症の時期と重なってどのような影響が出ているのかいまいち分からない状態です。
        症状は皮膚炎、鼻水、頭痛、倦怠感などです。

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