「漏血警報」発生時の対処と原因について

漏血警報

漏血警報とは

漏血警報は、ダイアライザの中空糸の中を流れる血液が中空糸の外側の透析液側に漏れ出たときに発生する警報です。透析監視装置の透析液戻口の漏血検知器により監視しています。

漏血警報の監視方法

漏血は透析液戻り口の漏血検知器にて監視しています。漏血検知器では、LEDから発光される光の透過量の変化を電圧に変換し、その変化量で漏血を検出します。

漏血警報が発生する場合

【中空糸のリーク】

漏血の原因としては、ダイアライザの製品不良や落下などにより、中空糸がリーク(切れる)ことにより発生します。ただ、技術の進歩により近年ではダイアライザの製品不良でリークが起こるのは稀になりました。数万分の1の確率とも言われています。

【エアー】

一番発生する原因として多いのが、ダイアライザの透析液側のエアーの除去が不十分で、透析開始時に、漏血検知器にエアーが流れることにより、誤警報が発生する場合です。

このような場合は、ダイアライザの入口と出口を鉗子で遮断して、ガスパージを行い、エアー除去後に、漏血電圧の校正をして、透析再開します。

【溶血】

これも、割と発生頻度の多いトラブルです。溶血というのは、赤血球が壊れることです。赤血球が壊れて、赤血球のヘモグロビンが分離すると、ヘモグロビンはとても小さいので、中空糸の血液側から、透析液側にヘモグロビンが漏れ出ていきます。

赤血球が壊れる原因としては、脱血不要により回路内に過度な陰圧を生じた場合や、回路内の圧力が過度に上昇した場合です。特に、陰圧に赤血球は弱いので、脱血不良時の回路内の陰圧にはとくに注意しなければなりません。

また、赤血球(細胞)が壊れると、細胞内液のイオンが放出されます。ご存知の通り細胞内液は、高いカリウム濃度になっているので、溶血を起こした場合は、高カリウム血症にも注意が必要です。

このような場合は、返血を行わずに回路を破棄するか、そのまま透析を再開するかわ施設により異なります。

【ミオグロビン】

ミオグロブリンとは、色素のついた蛋白質です。心筋や骨格筋に多く存在して、ヘモグロビンから運ばれた酸素を受け取って、細胞に運ぶ働きがあります。

最近のダイアライザは、大きな毒素も除去するように設計されたものが増えています。その為、透析中には蛋白質も多少除去されます。そして、透析開始時の膜が新しいうちが、蛋白質が漏れ出す量も多くなります。

漏血との判別方法としては、ダイアライザの透析液出口側のカプラを外して、尿検査用試験紙により、透析液の潜血反応を確認します。陰性なら、溶血でないので、ミオグロビンによるものか、エアーの混入と、原因を絞ることができ、透析を再開できます。

【汚れの付着】

漏血検知器の光を受け取るレンズに蛋白質などの汚れが付着していたりゴミがつていいる場合は、漏血をしていないのに漏血警報が発生することがあります。

漏血検知器の清拭は、オーバーホール時に行うと思いますがしっかりしておかなければなりません。

漏血警報発生時の対処

漏血警報が発生した時の対処方法は、施設によりマニュアルを作成して定めておく必要があります。

基本的には、漏血警報が発生した原因を調べることから始まります。まずは、血液ポンプを止めます。

そして、中空糸がリークしていないか目視で確認します。少量のリークでは、目視で透析液側に血液が漏れているのを確認するのは困難です。

尿検査用試験紙で、透析液出口側の潜血反応を調べます。潜血反応が陰性なら、ダイアライザの出入り口を鉗子で遮断して、ダイアライザの透析液側を洗浄して、透析を再開します。

潜血反応が出たり、ダイアライザがリークしている場合は、施設のマニュアルにしたがって対応します。以前では、ダイアライザがリークした場合は、透析液が血液側に入って、血液が汚染されると言われていました。その為、リークが発生したら、血液を破棄して、抗生剤の点滴をして、感染症の予防をおこなうのが一般的でした。

しかし、近年では透析液を清浄化している施設が多く、透析液が血液に入っても問題ない場合がほとんどです。施設の透析液の清浄度により、対応方法について検討する必要があります。

まとめ

漏血警報以外にも、透析監視装置はさまざまな警報や、異常が発生する可能性があります。日頃から、警報についてのマニュアルを作成したり、部署内で対応方法を検討して統一しておく必要があります。

そうすることで、いざというときも素早く対処して、被害を最小限にとどめることができます。