透析中の血圧低下の原因を詳しく紹介します

血圧
透析中に血圧低下を起こすと、透析継続困難になります。なぜ血圧低下が起こるかをしっかり理解して、原因を調べ改善することにより血圧低下を改善できる場合もあります。今回は、透析中に血圧が低下する原因について紹介します。

SPONSORED LINK

透析中の血圧低下の原因を大きく分類すると『循環血液量の減少、血管収縮性の低下、心機能低下』の3つに分類することができます。
血圧は、拍出量末梢動脈血管抵抗によって決まります。

簡潔な式で表すと
血圧=拍出量×末梢動脈血管抵抗 となります。すなわちこの式の意味は
拍出量は、心臓の一回の拡張と収縮で血液を送り出す量、末梢動脈血管抵抗は、手足など心臓から離れた動脈の抵抗のことです。

すなわち血圧は、拍出量が多いほど、または末梢の動脈血管が収縮して血管抵抗が上がるほど血圧が高くなります。

逆に、拍出量が少なくなったり、末梢の動脈血管が拡張して血管抵抗が下がると血圧が低くなります。

 

『循環血液量の減少、血管収縮性の低下、心機能低下』の理由を順番に、もう少し細かく紹介します。

循環血液量の減少

時間当たりの除水量の過剰
(透析間の体重増加の過剰)

透析により除水をすると、血管内の血液から水分を除去することになります。血管から水分が除去されても、血管外の組織や細胞から組織液が血管内に入り、循環血液量を一定にするように体が働きます。(プラズマリフィリング

しかし、時間当たりの除水量が多すぎると、プラズマリフィリングが除水量に追いつかずに循環血液量が少なくなってしまいます。

血圧=拍出量×末梢動脈血管抵抗 この式の拍出量が下がる為、血圧が下がります。

低アルブミン血漿

血液中の膠質浸透圧は、アルブミンやグロブリンのタンパク質により維持されています。膠質浸透圧とは、血管の中に水分を引き込む力のことです。

低栄養状態になると、血液中のアルブミンが低下して、血管内から血管外に水分が排出されてしまいます。そうなると、循環血液量が少なくなり、拍出量が低下して血圧が下がります。

ドライウェイトの設定が低すぎる

ドライウェイトの設定が適切でなく、低すぎる場合も循環血液量が少なくなり血圧が低くなります。また、体液が少ない場合はプラズマリフィリングも弱くなります。

血管収縮性の低下

血圧=拍出量×末梢動脈血管抵抗
以下の場合は、末梢動脈血管が拡張して、末梢動脈抵抗が下がることにより血圧が低下します。

透析液温度が高い

透析液温度を高めにすると、血管が拡張して血圧低下します。

酢酸不耐症

透析液には、pHを安定させる為に酢酸が少量入っています。酢酸は体内で代謝される為にほとんどの患者は影響がありません。ただし、高齢者などまれに、酢酸の代謝が遅い為に血中の酢酸濃度が上昇して血圧低下を起こす場合があります。これを、酢酸不耐症といいます。

食事

食事をすると、胃や腸などの消化器を働かせる為に副交感神経の働きが活発になります。副交感神経が活発になると血管が緩んで、末梢動脈抵抗が下がり血圧低下します。

また、脳の満腹中枢の近くに睡眠や眠気を引き起こす部分があり、おなかいっぱいになると眠くなり副交感神経優位になると言われています。

貧血

貧血とは、ヘモグロビンやヘマトクリット(血液中の血球の割合)が低くなる状態です。すなわち、血液がサラサラになり血管抵抗が低くなることにより血圧低下を起こします。

自律神経障害

糖尿病患者や長期透析患者は、自律神経障害を発症している頻度が高くなります。自律神経での交感神経の刺激により血管を収縮して血圧を上げたり、副交感神経の働きで血管を拡張させて血圧を下げたりなど作用がありますが、自律神経障害があるとそれらのコントロールがうまくできなくなります。

降圧薬

透析前に、降圧薬を服用している場合は血圧低下しやすくなります。

心機能低下

心機能低下では血圧=拍出量×末梢動脈抵抗の拍出量が低下することにより血圧低下が起こります。心機能が低下する原因は以下の原因があります。

心拡張障害

うっ血性心不全など、体内に水分が過剰になることにより心臓が血液を拍出できにくくなると拍出量が下がり血圧が低下します。

アミロイドーシス

アミロイドが心臓に沈着することにより、心室の壁が厚くなり心室の拡張能力・収縮能力が低下して、心拍出量が低下します。心アミロイドーシスなどと呼ばれます。

心筋障害

心筋症は、心臓の筋肉が変性することにより心臓の働きが障害され、心不全を引き起こす病態です。

薬剤(抗不整脈薬、β遮断薬)

抗不整脈薬の中には血圧が下がる薬もあります。β遮断薬は、交感神経の興奮を妨げる薬です。

心タンポナーデ

心タンポナーデは、心の図と心臓を覆う心外膜の間に液体が溜まることにより心臓の拍出が障害される病態です。

まとめ

血圧低下の原因は上記のようにたくさんの原因があります。原因は1つだけでなく複数あるかもしれません。

しっかり、原因を調査して治療可能であれば改善して透析が十分に行えるように血圧を維持させてあげる必要があります。

書くのを忘れていましたが、ダイアライザの膜素材が体に合わなくて血圧低下する場合もあります。

スポンサードリンク


もっと詳しく学習したい方はコチラ 1.透析おすすの本を紹介!→透析のオススメ書籍
2.ゲームで医学の勉強をしよう→任天堂DSの医学学習ソフト




2 件のコメント

  • ●時間当たりの除水量の過剰
    (透析間の体重増加の過剰)
    時間当たりの除水量が多すぎると、プラズマリフィリングが除水量に追いつかずに循環血液量が少なくなってしまいます。

    プラズマリフィリングがスムーズであればそういう事は起きないのかなと思いましたが、
    透析患者は、どの方も時間当たりの除水量が多すぎると、循環血液量が少なくなってしまうようなことは起きるのでしょうか?
    この低アルブミン血症があるとそういうことが起きるのかな?とおもうのですがいかがでしょう?

    (低アルブミン血症)
    血管の外から水を引き込む力が弱いため、プラズマリフィリングが除水に追いつかない

    ●循環血液量の減少

    血圧低下

    ●心臓による代償(心機能)
    心臓が血液を送ろう、送ろうとして頑張るために拡張・収縮を早くする

    一方で、自律神経での交感神経の刺激により血管を収縮して血圧を上げようとする。(血管収縮性)

    血圧が低下するようなときは、体の中では↑のような作用が起きているのでしょうか?

    • プラズマリフィリングが追い付いている場合は、血圧低下はないかもしれません。低アルブミン血症でも下がりやすいですね。循環血液量については、クリットラインモニターを利用してみるとよくわかりますよ。循環血液が低下すると、レニンなど血圧上昇ホルモンなども分泌されるみたいですね。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です