透析患者に使う降圧薬の特徴と使い方を紹介します

血圧を下げる降圧薬は、5つに分類されます。『アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、カルシウム拮抗薬、β遮断薬、α遮断薬』です。 今回は、血圧を下げる降圧薬のそれぞれの特徴と、降圧薬の使用法を紹介します。 最初に、降圧薬の説明をより理解する為に、腎臓から分泌されるレニンによる『レニン・アンジオテンシン系』による血圧上昇の機序を簡単に説明します。

レニン・アンジオテンシン系とは

レニンアンジオテンシン

レニン-アンジオテンシンの上図を説明します。(図は、クリックすると拡大されます。) まず、肝臓・脂肪細胞でアンジオテンシノーゲンが造られて血液中に分泌されます。アンジオテンシノーゲンは、腎臓から分泌されるレニンの作用で、アンジオテンシンⅠに変化します。さらに、アンジオテンシンⅠは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の作用によりアンジオテンシンⅡに変化します。アンジオテンシンⅡは、アンジオテンシンⅡ受容体に結合することにより、血圧上昇作用を発揮します。 余談ですが、肥満になると血圧が高くなるのは、脂肪からアンジオテンシノーゲンが造られるからですね。  

降圧薬の特徴

レニン-アンジオテンシンによる血圧上昇の機序を理解したことをふまえてて、それぞれの降圧薬の特徴を紹介します。

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬

ACE阻害薬は、ACE(アンジオテンシン変換酵素)の働きを阻害して、アンジオテンシンⅠがアンジオテンシンⅡに変換するのを防ぎます。アンジオテンシンⅡは、アンジオテンシンⅡ受容体に作用して『アルドステロン分泌、血管収縮、水・ナトリウムの再吸収』により血圧を上げます。したがって、ACE阻害薬は、アンジオテンシンⅡを作らせないようにすることで、血圧を下げます。 ACE阻害薬は、副作用が少なく、腎臓を保護する作用があります。副作用は、高カリウム血症、空咳などがあげられます。主に腎臓から排出される薬剤が多い為、透析患者では服用量に注意する必要があります。 商品名としては、カプトリス、レニベース、アデカット、ロンゲス、エースコールなどがあげられます。

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)

アンジオテンシンⅡによる、血圧上昇作用は、アンジオテンシンⅡがアンジオテンシンⅡ受容体に結合することにより現れます。 アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬は、アンジオテンシンⅡがアンジオテンシンⅡ受容体に結合するのを防ぐことにより血圧上昇を防ぎます。 肝臓と腎臓により排出されるため、透析患者でも薬の血中濃度が他上がりすぎる心配は少なくなります。 商品名としては、ニューロタン、ブロプレス、ディオバン、ミカルディスなどがあげられます。

カルシウム拮抗薬

カルシウムイオンは、血管や筋肉を収縮させる働きがあります。カルシウム拮抗薬は、カルシウムイオンの働きを阻害することにより血管を拡張させて血圧を下げます。 カルシウム拮抗薬は、肝臓で排泄されるので透析患者でも非透析患者と同様に使用できます。 商品名としてはアダラート、ニバジール、カルスロット、ノルバスクなどがあげられます。

β遮断薬

β遮断薬は、心拍数を上げる作用を持つカテコールアミンの働きを遮断します。心拍数が少なくなると、心拍出量が少なくなり血圧が下がります。 商品名としては、インデラル、セロケン、テノーミン、メインテートなどがあげられます。

α遮断薬

α遮断薬は、血管を収縮させる作用を持つカテコールアミンの作用を遮断します。それにより、血管が拡張されて血圧が下がります。副作用としては、起立性低血圧などの注意が必要です。 商品名としては、ミニプレス、カルデナリンなどがあげられます。

降圧薬の使い方

基本的に上記の5つの降圧薬は、すべて高血圧時の初期投薬に使用されます。 これらの降圧薬で効果が出ない場合は、中枢性交感神経遮断薬を使い、それでも効果が出ない場合は、さらに作用の強い末梢交感神経遮断薬を服用します。 あと、ACE阻害薬を服用している患者は、AN69膜の使用やLDL吸着療法が基本的にできません。というのは、AN69膜やLDL吸着療法に使用されるリポソーバを使用する血液浄化療法では、膜の陰性電化が血液に作用して、ブラジキニンに分泌を促進させて、血液中のブラジキニン濃度を上昇させます。ブラジキニンは、血管を拡張させる作用があります。そして、ACE阻害薬は体内のブラジキニンの分解を抑制します。 したがって、AN69膜やLDL吸着療法に使用されるリポソーバを使用する患者が、ACE阻害薬を服用していた場合、血液中のブラジキニン濃度が上昇しすぎてショックを起こす危険があります。これらの治療を行う場合は、ACE阻害薬を服用していないか確認しておく必要があります。