国家試験の合格率から見る医療職種の飽和状態

医療系の学校に進学する際に、学生が確認する項目の一つとして、その職種の就職状況があると思います。医療系の学科に進学すると就職先が大きく絞られる為です。

医療系の職種の、就職率や、現状での飽和状況は、国家資格の合格率をみることで分かります。国家試験の問題は、厚生労働省で作成されます。基本的に、現状で不足している職種は、試験問題を簡単にして合格率を上げています。そして、反対に現状で飽和して就職が難しい職種は、試験問題を難解にして合格率を下げて調整しています。

ただ、厚生労働省の対応は、遅いので、先を予想して合格率を調整しているのではなく、現状で既に飽和してしまってから、対応しているように感じます。したがって、国家資格の合格率の低い職種は、既に飽和しているということです。

以下に、およその医療系職種の近年5年間の国家試験の合格率を表示します。

職種 およその
受験者数
2011 2012 2013 2014 2015
医師 9千 91.0 89.2 89.3 90.2 89.8
歯科医師 3千 71.0 71.1 71.2 63.3 63.8
薬剤師 1万5千 44.4 88.3 79.1 60.8 63.2
看護師 6万 91.8 90.1 88.8 89.8 90.0
臨床工学技士 3千 77.4 75.5 75.3 78.8 83.2
放射線技師 3千 71.1 83.4 66.6 76.5 73.8
検査技師 4千 67.0 75.4 77.2 81.2 82.1
理学療法士 1万2千 74.3 82.4 88.6 83.7 82.7
作業療法士 5千 71.0 79.7 73.3 86.6 77.5
言語聴覚士 2.5千 69.3 62.3 68.1 74.1 70.9
歯科衛生士 7千 96.5 95.8 96.2 97.1 95.9
保健師 1万5千 99
助産師 2千 99

既に飽和している職種

歯科医師

明らかに飽和しているのが、歯科医師です。国家試験の合格率は約60%です。これは、明らかに落とす試験です。

医師の場合では、雇われで勤務する割合が多いですが、歯科医師のほとんどは、開業します。開業するということは、毎年歯科医院の数が増えていくということです。自分で開業するので、年齢による退職もないので、歯科医院の数も減りずらいです。現在、歯科医院の数はコンビニよりも多いと言われています。その為、虫歯治療以外に、歯並びの矯正や、ホワイトニングなどの美容歯科として、患者の獲得を使用と必死です。

臨床検査技師

科学の発達により、コンピューターや機械により自動で検査できる項目が増加してきています。その為、臨床検査技師の人数がそれほど必要でなくなりました。病院の規模に対する臨床検査技師の数は、少なくなる一方です。

われわれ、臨床工学技士は新しい機械が発明されたり、技術が進歩すればそれらを管理する為に仕事が増えますが、臨床検査技師は、業務範囲が限られているので、機械が進歩するにつれて、供給が減ります。ただ、5,6年前は、合格率が60%程度で推移していましたが、近年では、合格率が上がってきています。なぜでしょうか?

薬剤師

薬剤師は、養成校が多いので飽和しています。毎年、1万5千人が薬剤師の国家資格を受験しています。薬剤師の場合は、病院以外にも、医薬品メーカに研究者として就職するのが人気が高いようです。

言語聴覚士

言語聴覚士は、そもそも病院や施設の求人が少ないように感じます。比較的新しくできた資格なので、働いている人の年齢も若い為、退職者が少ないのも原因です。

診療放射線技師

放射線技師も、かれこれ10年以上前から飽和状態であると言われています。放射線技師を雇う病院は、比較的に規模が大きい病院に限られている為、就職先も少ないです。

飽和してきている職種

臨床工学技士

臨床工学技士は、業務範囲が近年増加しているので、飽和はしていません。ただ、養成校がここ10年で爆発的に増えました。その為、就職場所や業務を絞ってしまうと、就職が難しいです。国家試験の合格率も、10年ほど前は、80%の後半で推移していましたが、近年では80%以下で推移しています。

臨床工学技士を募集している施設は、透析クリニックや循環器内科のクリニックなど個人病院が多いので、地域や、病院の規模を指定しなければ、どこか就職先はあると思います。

理学療法士

理学療法士は、なぜか学生にとても人気で養成校の倍率が高いです。その為、理学療法士の養成校が馬鹿みたいに増えました。現在では、年間1万5千人程の卒業生を排出しています。リハビリを受ける患者は、高齢者や介護施設などが多いので、戦後のベビーブームで生まれた、現在60~70歳の人たちが亡くなると、需要が下がると言われています。他には、リハビリが主な業務なので、リハビリの診療報酬が下げられたら、ますます病院での求人が減ると思われます。

作業療法士

作業療法士の就職先は、理学療法士以上に介護施設の就職割合が多いです。現在は、ベビーブームで誕生した方が丁度、患者となっている為、今は不足しています。ただ、養成校の数も多い為、そろそろ飽和すると思われます。

数十年後に飽和するであろう職種

看護師

看護師は、女性が多い為、結婚や出産で離職するので、慢性的に不足しています。ただ、近年では男性看護師の比率が増えたり、人口の低下により、看護師も飽和すると専門家の間では予測されています。

不足している職種

助産師

出生率は、低下していますが、出産は、深夜であろうと、時間に限らずに訪れます。仕事がハードであり、拘束もされる為、人気が低い為、助産師は慢性的に不足しています。

医師

日本では人口に対する医師の数が少ない為、医師も不足しています。ただ、地域格差があり、田舎の地域では特に不足しています。

まとめ

数十年経つと、多くの医療職種が飽和することはおおよそ予想できます。その中で生き残っていくためには、先を読んで行動すること、実力、知識、人脈を作っておくことだと思います。

需要が減った時に、真っ先に首を切られるのは、ルーチン業務しかできない作業員のような職員です。医療職種は、業務が機械的になりやすいですが、日々勉強したり、学会など参加して、勉強していくことが大切だと感じます。