透析患者のカルニチンの効果は?エルカルチンの効果を紹介します。

薬

カルニチンとは

カルニチンは乳製品や赤肉、羊肉、魚によく含まれている栄養素です。食事の摂取するほかに、体内でリジンとメチオニン(必須アミノ酸)から合成することもできます。

透析患者の場合は、食事制限により低下や透析による除去により、3年以上透析をしている患者の多くは低下していると言われています。

カルニチンが不足している患者に、カルニチンを補充することにより以下の効果が報告されています。

1.貧血改善(赤血球寿命の延長)
2.心筋保護作用
3.筋痙攣(ひきつり)の抑制
4.運動機能改善

カルニチンの具体的な作用は?

いろいろとあるL-カルニチンの効果ですが、体内でどのように作用しているかを理解すると透析患者に対する有効性をより理解することができます。

カルニチンの働き

カルニチンの体内での主な働きは、脂肪酸をミトコンドリアに移動させることです。ミトコンドリアは、体内で栄養素から体を動かすためのエネルギーを作る場所です。

脂肪酸は、ミトコンドリア内でβ-酸化され「アセチル-CoA、NADH2+、FADH2」に分解されます。NADH2+、FADH2は筋肉内で、ATP(エネルギー)になります。

アセチル-CoAは、TCA回路にて分解されCO2になり、排出されます。このように、カルニチンは体内でのエネルギー代謝を助ける働きがあります。これを理解できると、心筋保護作用や筋痙攣の抑制、運動機能向上などの効果が期待されることがなんとなく想像できると思います。

カルニチンの具体的な効果

カルニチンの効果を、文献と一緒に、もう少し詳しく紹介します。

・カルニチンの貧血改善

敬愛病院腎内科の樋口によると、カルニチンの内服薬(レボカルニチン)を20mg/kg/日を投与したところ6カ月経過頃よりエリスロポエチンの使用量が軽減したと報告されています。「リボカルニチンにより透析患者の腎性貧血におけるESAsの使用量の低下とESAsの反応性の改善が示唆された。」

文献:血液透析患者の腎性貧血に対するレボカルニチンの有効性

・カルニチンの心筋保護作用

透析患者に対するカルニチンの投与は、心臓の収縮機能の上昇や心肥大の抑制効果が示唆されています。どのような機序でそのような効果があるのか調べていると以下の文献が分かりやすく説明されていました。

L-カルニチンの脂肪酸に対する心筋ミトコンドリア保護作用

ちょっと長いので、要点だけを簡単に書きます。

脂肪酸がミトコンドリアに取り込まれる(膜透過性遷移)時に、アポトーシス(細胞の死)が誘導される。脂肪酸は、心筋のエネルギーの元だが、心筋障害のリスクにもなる。L-カルニチンが十分にある場合ではアポトーシスの発生を抑えることができる。

ということだそうです。

L- カルニチンが5 mM存在すれば,ほぼ完全にミトコンドリア膜透過性遷移は抑制される.詳細な検討が必要ではあるが,少なくとも,L- カルニチンには単なる脂肪酸β酸化亢進作用だけではなく,β酸化亢進とは関係しないミトコンドリア内膜安定化作用が存在する可能性が考えられる。

http://www.kawasaki-m.ac.jp/soc/mw/journal/jp/2013-j23-1/P27-36_yano.pdfより引用

・カルニチンの筋痙攣の抑制

近江八幡市立総合医療センターの香月によると血液透析患者におけるカルニチン投与による筋肉症状ならびにQOL改善効果

質問票からカルニチン欠乏症による筋痙攣を起こす患者22名に対して、エルカルチン900㎎/日投与したところ88.9%の患者に効果が認められたそうです。

・カルニチンの運動機能

原因不明の全身倦怠感を訴える患者にも使用している施設もあるようです。(はまだクリニックのブログ

カルニチンの薬

カルニチンの薬としては、大塚製薬のエルカルチンFF静注1000mg(添付文書)が2013年より発売されました。使い方としては、カルニチン欠乏症と診断された透析患者に対して、体重1kgあたり10~20㎎を透析終了時に、透析回路静脈側より注射します。

後発品としては、レボカルチン塩化物錠(添付文章)というものが販売されています。こちらは、錠剤タイプです。

薬剤以外にも透析患者専用の栄養補助食品としてカルフェロスーパー30プラスというものもあります。こちらも一本当たり、L-カルニチンが500㎎配合されています。(参照:透析患者の食事に役立つ「減塩賞味量」と「栄養補助食品」を紹介します。

担当医が積極的にエルカルチンを使ってくれない場合は栄養補助食品も有効です。

ちなみにエルカルチンを投与するにあたり、血中カルニチン濃度を測定していないときられる(算定不可になる)場合もありますのでご注意ください。

カルニチンのまとめ

このように透析患者にとって非常に有効な効果があるカルニチンですが、その効果が表れるまでに数カ月から半年と時間がかかることもあります。気長に使っていかなければなりません。ただ、副作用が少ないので気軽に始めやすいと思います。

エルカルチンにより患者さんが元気になる。そして、エリスロポエチン減量により医療費のコストを削減できるかも・・。患者さんそして施設にとっても有益な薬だと思います。使っていない施設がありましたら是非試してみてください。