CHDF中の看護とトラブル対応について

公開日: : CHDF(CRRT), 血液浄化療法

患者と看護師ICU(集中治療室)で行われるCHDFのプライミングや開始は臨床工学技士が行うことが多いですが。臨床工学技士がICUに常駐している施設は少ない為、CHDF中の患者の観察・装置のトラブル・警報対処は主に看護師が対応することとなります。

CHDFなどの血液浄化療法の件数が多い病院では看護師も経験を積んで、トラブルを対応するスキルを身に着けることができます。ただ、月に1回するかしないかのような、施設の場合ではなかなか、CHDFなど血液浄化療法についてなれることができません。
今回は、そのようなCHDF中のトラブル対応や警報対処に自信のない看護師・臨床工学技士に対して、CHDF施行中の注意点について簡単に紹介します。

CHDF中の観察

患者

血圧

血液透析中に患者観察で注意するポイントは、血圧低下です。CHDFでは、除水スピードが緩やかであり、回路内のボリュームも少ない為、通常の透析と比較すると循環動態に与える影響は少なくなっています。

ただし、CHDFが適応される患者の場合、重症患者が多い為、血圧の変動をこまめに確認することが必要です。CHDF施行中では、Aラインをとって動脈圧を連続的にモニタリングすると思います。原疾患や患者により異なりますが、収縮期血圧が60~80mmHg以下になると、CHDFの継続は厳しくなります。昇圧剤の投与や除水速度をうまくコントロールして、血圧を最低限以上に保つ必要があります。急な血圧低下や、血圧が一定に保てない場合は早めにDrに報告して指示を求めます。

抜針・回路離脱

CHDF中の事故に対する注意も必要です。HDなどと同様に回路はずれによる出血の事故が起こらないかを注意深く観察する必要があります。CHDFなどの長時間の血液浄化療法を施行する場合は、ダブルルーメンカテーテルなどのCVCを挿入します。そして、そこに透析回路を接続して血液を循環させます。

このダブルルーメンと透析回路の接続が治療中にはずれると、大量出血につながります。ICUでの患者は、不穏を原因とする体動などで回路離脱が起こらないようにしっかり固定するとともに定期的に確認する必要があります。

血液データ

CHDFの目的は、血液中の電解質の訂正、アシドーシスの訂正、除水が主になります。CHDFによって血液中の電解質が訂正されているかも採血により確認する必要があります。

装置

透析装置側で一番注意しなければならないのは、血液濾過器が目詰まりを起こしたり、凝固して詰まってきていないかを確認することです。特に、多臓器不全やDICなどを合併した場合は、体内での凝固が亢進して透析回路がすぐに凝固してCHDF回路をたびたび交換しなければならないことがあります。

回路の凝固に気付かなかったり、対応が遅れると、回路内や血液濾過器が詰まって、返血ができなくなり回路ごと血液を破棄しなければならくなってしまいます。回路内が凝固していないかを観察するポイントとしては、『目視』と『装置の各圧力の確認』です。

まず、目視についてですが透析回路内で凝固を起こしやすい部分は、血液が滞留しやすい、動脈チャンバ・静脈チャンバ・血液濾過器になります。この部分を定期的に目視で確認します。透析時間とともにチャンバ内に塊ができたり、するとチャンバがどす黒くなったり、チャンバの液面を下げると塊が目視でも見え確認することができます。血液濾過器については、凝固してくると、凝固した中空糸に血液が流れなくなり、白い線やが見えたりします。

圧力によっても凝固を確認することができます。凝固している部位によって圧力が上がったり、下がったりしますが、基本的には凝固してくると、動脈圧・静脈圧がじわじわと上昇します。そして、濾過圧については低下していきます。

同じ透析条件なのに、圧力が急激または、継続的に変化している場合は注意が必要です。

CHDF中の警報対処

動脈圧警報

動脈圧は、患者から血液を取り出してすぐの動脈チャンバで測定しています。動脈圧が上昇する原因としては、動脈圧測定部以降の凝固や閉塞(血液濾過器の凝固、静脈ラインの閉塞など)、動脈圧が低下する原因は脱血不良です。それぞれの原因を確認して対処したのち、治療を再開します。血液濾過器の凝固が考えられる場合は、動脈圧が200mmhgに近くなったら速やかに返血する必要があります。

静脈圧警報

静脈圧は、血液濾過器の出口にある静脈圧チャンバで測定しています。静脈圧が上昇する原因としては、静脈圧ライン以降の閉塞(静脈チャンバ内の凝固、ダブルルーメンの閉塞、患者の体動による一過性の上昇)です。静脈圧の低下は、脱血不良や回路離脱が原因となります。

脱血不良警報

脱血不良の原因は、カテーテルの先端が血管に張り付いたりして血液が取れなかったり、患者の血管内脱水により循環血液量が減少している場合が考えられます。内頸にカテーテルが挿入されている場合は、患者の頭の向きを変えてみて、脱血が改善されるかシリンジで確認します。鼠径にダブルルーメンが入っている場合は、バブルルーメンの位置を調整して、シリンジで確認して脱血ができる位置に調整します。ダブルルーメンが糸で縫い付けて固定されて調整できない場合は、Drに連絡して調整してもらいます。

脱血不良のまま、血液ポンプを止めておくと回路内が凝固するので、Drが来るまでは、患者から回路を外して、動脈ラインと静脈ラインをつなげて、空回しさせておく必要があります。

TMP警報

TMPとは、日本語で膜間圧力差のことをいいます。具体的には、血液濾過器の血液側と透析液側の圧力の差を表します。

TMP=血液側の圧力-透析液側の圧力

血液濾過器の凝固が進んでくると血液側の圧力が上がり、透析液側の圧力が下がります。すなわち、TMPは血液濾過器が凝固してくると上昇します。TMPからは、血液濾過器の凝固や膜の劣化状態がわかります。

濾過圧警報

濾過圧は、血液濾過器の透析液出口で測定されています。これは、透析濾過機の透析液側の圧力を表します。血液濾過器が凝固してくると血液側からの圧力が透析液側に伝わりにくくなり、濾過圧は下がります。

漏血警報

漏血警報は、透析液側に血液が漏れ出たときに発生します。通常は、透析液の戻り口で監視しています。原因としては、中空糸のリークにより血液が透析液側に漏れ出た場合や、血球の溶血により透析液側に血液が漏れた場合、漏血センサの汚れにより発生することなどあります。
濾液側が目視で確認できるほど漏血している場合は、中空糸がリークしているので直ちに治療を中止して、医師に報告して返血・回路交換します。

目視では分からない場合は、濾液を潜血試験紙などで調べて実際に血液が漏れているか確認します。潜血反応がない場合は、漏血センサーを掃除して、漏血センサの校正をして治療再開します。

CHDF中のトラブル対処

脱血できなくなったら

ダブルルーメンからの脱血ができなくなった場合は、回路をから回しにさせて、ダブルルーメンを調整して、シリンジで確認して脱血できる状態に調整します。

静脈圧・動脈圧が徐々に上昇

静脈圧・動脈圧が徐々に上昇してきた場合は、回路内の凝固が考えられます。凝固がひどくなると返血もできなくなるので早めに返血する必要があります。ただ、カテーテルの位置の位置が悪い為、圧力が上昇する場合があるのでそちらの確認を先にする必要があります。

患者の血圧が下がったら

患者の血圧が急変したら、Drに連絡して支持を仰ぎます。

まとめ

CHDF中の看護で、看護師がよく遭遇するのは、脱血不良と静脈圧・動脈圧の上昇だと思います。施設によって対処方法や医師の指示も異なるとおもうので、それぞれの施設の臨床工学技士やDrに確認して疑問点や対処方法について確認することが大切です。

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