透析中の胸痛の原因と対処法について

透析中の合併症として胸痛があります。胸痛の原因は、透析に関連するものや・心疾患に起因するものなど多種多様です。今回は、透析中に胸痛が発生する原因について紹介します。それぞれの原因を把握することにより、臨床でも迅速に対処することができるようになります。

 

アナフィラキシー様反応

アナフィラキシー様反応とは、急激に発症するアレルギー反応です。血液透析の場合は、ダイアライザーの滅菌に用いるエチレンオキサイドが原因で発生するといわれています。

透析による、アナフィラキシー様反応は、透析開始直後~数分後に現れるのが特徴です。

アナフィラキシー様反応では、以下の症状が現れます。

・胸苦しさ
・全身が熱くなる
・手足の指先のしびれ
・口腔内のしびれ
・息切れ
・血圧低下

アナフィラキシー様反応が発生した場合は、直ちに透析を終了して必要な処置を行う必要があります。

 

一過性の白血球減少症

血液透析では、血液が異物である血液回路やダイアライザーと接触します。血液が異物と接触すると、生体はサイトカインという炎症反応を促進させる物質が産生されます。

それらの原因により、白血球の中の好中球が肺に集まります。特に好中球は、肺の動脈に集まり血液の流れを障害します。肺の動脈の流れが悪くなることにより、背部痛が発生します。

透析開始から、15分~30分後に、一時的にSpO2(酸素飽和度)が低下するといわれており、これらは一過性の白血球減少症が原因といわれています。

したがって、これらの背部痛は透析開始から15~30分後に見られます。一過性の白血球減少症が原因とする血圧低下や胸痛が考えられる患者では、生体適合性の良い膜素材のダイアライザーに変更することにより改善されることがあります。

 

虚血性心疾患

血液透析では、除水に伴い体内での循環血漿量が低下することにより、心臓に酸素や栄養を送る血管である冠状動脈が狭窄することにより胸痛が発生することがあります。虚血性心疾患での胸痛は、とても激しい痛みを伴うといわれていますが糖尿病患者では、痛みが少ない場合も多いそうです。

透析中に虚血性心疾患が原因と思われる胸痛が発生した場合は、即座に除水を止めて心電図でモニタリングをします。

狭心症の場合は、一過性のST波の低下が見られます。心筋梗塞のように冠動脈が完全に詰まると、ST波の上昇やT波の低下が見られます。
正常心電図ST低下ST上昇T派
(https://www.takamatsu.jrc.or.jp/archives/010/201311/虚血性心疾患と心電図変化.pdfを改変して引用)

狭心症が見られた場合は、Drに報告して指示を確認します。一般的に狭心症が疑われる胸痛が発生した場合は、即座に酸素吸入・生食の補液を行いその後、ニトログリセリンの舌下が行われます。

それでも改善しない場合や、心筋梗塞が疑われる場合は、心カテやPCIが必要になります。

 

(参考文献・引用)
ケアに生かす「透析学」入門
https://www.takamatsu.jrc.or.jp/archives/010/201311/