臨床工学技士が総合病院から透析クリニックに転職して感じたメリットとデメリット

転職の経験

約1年ほど前に、ジョブスルーを利用して総合病院から透析クリニックに転職しました。新卒時は、血漿交換、血液吸着などの急性血液浄化療法に興味があったことや、生活の安定性を考慮して総合病院に就職しました。

そこでは、維持透析・急性血液浄化療法を数年経験、ME機器管理、呼吸機器管理の業務に従事しました。数年務めて、このまま一生この病院で勤めてもいいなと思っていましたが、あるきっかけがあり透析クリニックに転職しました。

今回は、自分が転職した経験をもとに、総合病院から透析クリニックに転職して感じたメリットとデメリット、そして透析クリニックに転職して改めて気づいた総合病院のメリットについても紹介します。

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転職を考えるきっかけ

医師からの引き抜き

結構多いのが、総合病院で務める医師がクリニックを開業するときに一緒に働かないか?と声掛けされる場合です。知っている医師と働くのであれば安心があるため、現在の職場で不満がある場合やその医師を信頼してい場合には、転職をする人も多いです。

人間関係

転職理由の本音として、上司との人間関係が悪いという理由も多いです。人間関係が悪いだけならいいですが、直属の上司に人事評価の権限があると、低い評価をつけられて昇給率が下がります。

自分の時間が持てない

総合病院は、幅広い業務ができるのがメリットですが、たくさんの仕事がありすぎて忙しくなりやすいです。技士の人数を必要分確保できない施設では、一人一人の業務量が増えます。そのため、定時より早めに出勤して、定時より遅く帰るというのが当たり前になってしまっている施設も多いです。

他に、総合病院では委員会や研修などが非常に多いです。やる気がある人であればメリットになるのかもしれませんが、残業が多いうえに、研修が多いと自由に過ごせる時間がほとんどなく消耗してしまいます。

総合病院で働く臨床工学技士のメリット

研修制度が整っている

総合病院では、新人研修、勉強会などが充実しています。法律的にも、医療機器の研修や、勉強会などが義務づけられています。総合病院では、そういうことは、きっちりしますので積極的に勉強したいという人や新人にとっては、おススメです。

出会いが多い

総合病院では、院内での出会いが多いです。毎年、看護師・事務員・コメディカルなど数十人入ります。新卒での入社であれば新人研修などを通してたくさん接する機会が多いので人脈を広げやすいです。

他の職種と仲良くなると、医療知識についても教えてもらったり聞くことができるので役立ちます。例えば、検査技師にシャントエコーの為にエコーの使い方を聞いたり、放射線技師にレントゲンの見方を聞いたりなど。よって、交流はきちんとしていたほうがいいです。私は、面倒だからしなかったので後から後悔しました。

福利厚生がいい

有給・退職金・結婚休暇などなど、クリニックと比較して総合病院では福利厚生が充実している施設が多いです。クリニックでは、退職金が寸志だったり、休日が少なめだったりすることが多いです。

幅広い分野の経験を積むことができる

総合病院の一番のメリットは、幅広い分野の経験を積むことができることです。いろいろな業務ができると、転職にも有利だし、たくさんの業務から自分が楽しいと思ったり得意だと感じる業務を見つけやすいです。また、部署内で人間関係が悪くなった場合も、他の部署に移動したりして距離をおくこともできます。

情報がたくさん入ってくる

総合病院は、さまざまなメーカーの営業がやってきます。いろんな会社の製品・情報を得ることができます。

経営が安定しやすい

総合病院は、さまざまな診療科が入っているため経営が安定しやすいです。ある診療科で赤字であっても、他の診療科で儲けていれば総合的には黒字になります。ただ、最近の地方の病院は赤字の施設が多いので総合病院だからと言って安定とは限りません。

総合病院で働く臨床工学技士のデメリット

拘束時間が長い

急性期の病院では、急患が入ると呼び出しがあるため自宅待機などを含めて拘束時間が長いです。OP、心カテ、血液浄化など、急患が入れば深夜・休日でも出勤しなければなりません。また、総合病院では業務が広がっているため技士の人員に余裕がなく残業が非常に多いことがあります。

責任のわりに給料が安い

個人的な意見でですが、総合病院でそれぞれの分野で一人前に働くにはかなりの勉強が必要だと感じます。また、アフェレシスでの回路の組み立てなど、当時は自動ではなく手動操作であり大変面倒で複雑でした。その他、命に直結する装置の操作をするため、ちょっとしたミスも許されないという緊張感の為、精神的にもかなり消耗します。それに対しての給料は安いのではないかと感じることがありました。

透析クリニックで働く臨床工学技士のメリット

自分がしたい仕事を選択できる

総合病院では、維持透析の仕事がしたくても他の部署に配属された場合、自分のやりたい仕事をすることができません。施設によっては希望を聞いてくれたりルーチンで回す場合もあるようですが。クリニックでは、自分がやりたい分野の診療科(透析クリニック、循環器クリニック)を選択することができます。

残業が少ない

クリニックでは、残業のある施設とほとんどない施設とできっぱりと別れるそうです。プライベートな時間を確保したいなら残業の少ない施設を選び、給料を少しでも多く稼ぎたいというのであれば残業の多い施設を選ぶといいです。

決まった時間に帰宅することができる

透析は、決まった時間に開始して決まった時間に終わるので基本的には、定時で帰宅することができます。総合病院で勤務していた時は、一日の拘束時間が半日近かったので、この点が最も転職してよかった事です。

基本的に定時で帰ることができるので、仕事終わりに喫茶店で読書したり、資格の勉強をしたりなどゆったりと生活することができます。仕事を終わってから、子供を保育園に迎えに行ったりできるようになり子供がとても喜んでくれたのはうれしかったです。

初任給は総合病院よりいい

透析クリニックの初任給は、総合病院と比較すると比較的高いところが多いです。公的病院では、基本給16.5万~18万円程度が多いと思いますが、透析クリニックでは20万円を超える施設もたくさんあります。ただ、長期的な昇給額は公的病院が一番いいでしょう。

じっくりと研究ができる

維持透析業務は、透析の開始時と返血時はバタバタして忙しいですが、それ以外の時間は、やる仕事はそれほど多くないのでゆっくりすることができます。空いた時間に、学術大会での資料を作ったり、論文を作成したりなど比較的自由に疲れる時間が多いです。総合病院で努めているときは、臨床業務のみでいっぱいいっぱいで、帰って自宅でしていたのでだいぶん楽になりました。

透析クリニックで働く臨床工学技士のデメリット

休みが少ない

透析の勤務体制によると思いますが、透析クリニックの場合、月水金は朝・夜の2クールの透析を行い、火木土は朝のみが多いでしょう。その為、火木土での勤務では半日勤務など、勤務時間が短くなります。短くなった勤務時間の分は、祝日を少なくして調整するため年間の休日数が少ない施設が多いです。この辺りは、施設によりけりですので転職の際はよく調べてください。

雑用が多い

クリニックでは、雑用が多いです。掃除・シーツ交換・草ぬき、タオルの洗濯、滅菌業務などなど、総合病院では、看護助手さんがやっていたような仕事も看護師・技士が協力しながらやっています。

透析の業務しかできない

維持透析の業務が多くなるので、仕事にマンネリを感じることもあります。そして透析クリニックでは、手を抜いて楽をしようと思えばなんぼでも手を抜くことができます。ただ、そのようなその日暮らしをしていると成長が止まってしまいます。学会で発表したり、講演会に行ったりしてたまには刺激を受けることが大切だと思います。

情報が入ってこない

透析クリニックでは、透析関連の業者さんしか訪れないので透析の情報しか入ってきません。総合病院では、幅広い分野の業者さんが来るのでたくさんの資料や情報が入手しやすかったと感じます。

お金にシビア

クリニックとして最も重要なのは、利益を出して潰れないようにするということです。最近では、透析関連の診療報酬も低下傾向であり昔ほど透析クリニックは儲けにくくなりました。その為、経費削減について非常にシビアです。

昔、ある透析クリニックでは「圧迫ガーゼを手作りで作って丸めて作っている」ということを聞いていて失笑したことがありました。そこだけの話かと思っていましたが、私の勤めている施設でも圧迫ガーゼを手作りで作っています。(汗)

その他、日常で使用する物品・ダイアライザー・針などについてもできるだけ安く仕入れようとするため、使いたい物品でもコストが高いと、なかなか導入するのが難しいです。透析液の使用量なども、クリニックでは少なめにして節約している施設もよく聞きます。経営が安定すると、医院長の考えも変わってくるのでしょうか?

福利厚生は良くない?

総合病院とクリニックでは福利厚生での左は大きいと思います。施設によっても異なると思いますが、クリニックでは退職金がなかったり寸志だったりする施設が大半です。また、忌引きでの休日数なども短かくて有休を使用しなくなったこともありました。年間の休日数なども総合病院と比較して少ないところが多いです。

潰れるかもしれない

総合病院でも倒産することがありますが、圧倒的にクリニックや医院のほうが潰れる件数は多いと思います。潰れる理由としては、「収益が少なくて破産する・医院長の引退または死亡・後継ぎがいない」などいろいろあります。また、経営が困難な場合は昇給・給料・ボーナスにも大きく影響します。安定した収入を第一に考えるなら総合病院、公的病院のほうがいいと思います。

まあ、潰れても失業保険などで一定の収入がしばらく入るのでその間にほかの施設を探せばいいだけの話ですが。いざというときの為に、多少の貯金はしておいたほうがいいと思います。

クリニックに転職する注意点

クリニックの選び方

透析クリニックについてもいろいろな種類の施設があります。「新しく立ち上げたばかりの個人のクリニック、透析クリニックを複数経営しているグループ会社」などなど。

特に注意しなければならないと思うのは、立ち上げたばかりの新しい透析クリニックに転職する場合です。開業したばかりの透析クリニックの場合は、透析のベッド数も少なく透析患者・外来患者も少ないと思われます。現在、安定して透析クリニックを経営している医師の話でも「開業当時は何回も首を吊ろうとしたことがある。」と言っているのを聞いたことがあります。

そういうことで、開業後経営が安定するまでは金銭的にかなり厳しくボーナスや給料など少ないかもしれないということを頭に入れておかなければならないと思います。

転職後に後悔する人もいる

私が働いている透析クリニックでは、総合病院から転職してきた人が数多くいます。ただ、不満に感じて直ぐに辞めてしまった人も中にはいます。原因としては、いろいろあるようですが、一言でいえば「思っていたのと違う」ということらしいです。おそらく良い点ばかりを意識過ぎて、クリニックの短所についても想像することができていなかったのではないかと感じます。

ほかにも、転職することにより、前の職場の良さに気づくということもあります。私自身も総合病院からクリニックに転職して改めて前の施設のよかったことも気づきました。

再転職は難しい?

臨床工学技士の場合、総合病院から透析クリニックに転職するのは比較的簡単です。透析クリニックでは、求人も多く希望者も比較的少ないので競争倍率が少ないからです。また、総合病院で透析の経験があるとそれらも考慮して評価してくれるからです。逆に、透析クリニックから総合病院に転職するのは難しくなってきています。総合病院は人気があるため求人に殺到するからです。

人生にとって何が一番大切かをよく考える

転職後に後悔しない為には、「自分にとって何が一番大切か、何を重視して生きていくか」をしっかりと考えることです。

「安定した収入、プライベートの時間、人間関係、仕事内容」などなど。これらをすべて満たすような施設は、おそらくありません。「自分が最も重視する1つを満たすには、どこで働くのがいいのか?クリニックなのか総合病院なのか?」これをよく考えましょう。

まとめ

満足のいく転職をするためには、施設見学や情報収集をしっかりした上で転職することです。施設の雰囲気や様子は、事前に問い合わせて見学させてもらうといいでしょう。

ジョブスルーなどを利用すると、求人中の透析クリニックを探したり施設内の雰囲気や情報を把握しやすくなるので便利です。