治験コーディネータ(CRC)の仕事とは?

治験コーディネータ(CRC)とは

最近、臨床工学技士の求人サイトを見ているとCRC(Clinical Research Coordinator):治験コーディネータという職業の募集を見かけます。臨床工学技士の業務の幅が増えていることは大変喜ばしいことです。

治験コーディネータの仕事をざっくり説明すると、新薬の開発などの治験業務全般をサポートするお仕事です。今回は、治験コーディネータの業務内容とやりがい・待遇などについて紹介します。

まず新薬の開発手順とは?

新薬の開発から販売までは、非常に長いプロセスがあります。その中で治験コーディネータの仕事は、薬の治験全般にかかわります。ここでは、新薬がどのようなプロセスで開発されているのかを紹介します。

新薬開発のプロセス[基礎研究](2~3年)

新規物質の創製(薬の候補となる化合物をつくる。)
理科学的研究(化合物を調べる)
候補物質の選択(使えそうな物質を選ぶ)

[非臨床研究](3~5年)

(動物や細胞を使って、薬の特性を調べる。)

薬効薬理試験
薬物動態試験
安全性薬理試験
一般毒性試験
特殊毒性試験

[臨床試験(治験)](3~7年)

(非臨床試験を通過した薬を人に投与する)

第1相試験

第2相試験

第3相試験

承認申請と審査(1~2年)

(https://chugai-pharm.info/medicine/create/create001.htmlより改変して引用)

このように、新薬開発は非常に長いプロセスがあり、一つの薬の開発に9~17年、費用は約500億円かかるといわれています。このように薬の開発はコストが非常に高いので、新薬は高いのでしょうね。CRCは、このプロセスの最後、臨床試験に関わります。

治験コーディネータの仕事内容

日本SMO協会によると、CRCの仕事は『医療機関において、治験責任医師・分担医師の指示のもとに、医学的判断を伴わない業務や、治験に係わる事務的業務、業務を行うチーム内の調整等、治験業務全般をサポートします。』とあります。

具体的には何をするのかについて以下に紹介します。

1.治験開始前
治験業務フローの作成
症例管理のための資料作成
実施計画書に伴う研修
治験関連部門との連絡・調整

2.被験者対応
同意説明の補助
被験者適格性確認
被験者の相談窓口
緊急時の対応窓口
診察・検査立ち会い
被験者のスケジュール管理
服薬状況の確認(残薬の回収、返却)
併用薬・有害事象確認
コンプライアンス確認
保険外併用療養費請求業務の支援

3.治験担当医師対応
同意説明の補助
同意説明書の作成支援
スクリーニング作業の補助
治験実施計画書遵守の補助
症例報告書作成の補助
被験者適格性調査の補助
有害事象対応支援
安全性に関する確認補助

4.治験関連部門との連絡・調整
協力者会議開催
各部門への説明会開催
薬剤部(治験薬概要、オーダリング業務)
検査部・看護部・医事課
治験薬搬入・回収の補助

5.依頼者対応
医療機関・治験責任医師適格性調査対応
治験実施状況の報告
モニタリング・SDV・監査時対応
症例報告書のフィードバック時などの窓口
直接閲覧の対応
メーカー監査・実地調査への対応

(日本SMS協会HPより転載)

治験コーディネータに転職するメリット・デメリット

メリット

仕事の自由度が高い

治験コーディネータの仕事は、裁量が大きく、スケジュールをある程度自分で決めることができます特に、一人前と認められて一つの施設を任されて管理するようになれば出勤時間や帰宅時間などを調整できるようになる可能性があります。

フレックス制度を導入して7:00~22:00の間で調整できるように設定している企業もあります。

透析施設で勤務していると、毎日同じ時間に同じ場所で同じ人と会って同じことばかりしているので、監禁されているような気分になることがあります。(個人的な意見です・・)

その点、ある程度の自由が利くCRCの仕事は非常に魅力的に感じます。

昇給額が大きい

私の在住地域で募集しているSMOの求人会社の収入モデルを見ると以下の年収でした。

入社後3年:チーフ 年収380~450万円
入社後6年:サブリーダー 年収450~500万円

病院から転職した場合でも、入社直後は新人として扱われるため収入が低下することが多いです。ただし、大手のSMO企業では昇給額が大きく、業務の評価に応じて昇進していき役職が付くと大きな収入アップが望めます。

SMSの企業は非常に儲けています。病院勤務の給料は、国民からの税金によるので医療費が圧迫している現状では病院の収益も低下傾向なので医療職種の昇給は厳しくなっています。

一般的な透析クリニックや個人病院では、年の昇給が2000~3000円程度が多いです。これでは、10年経っても年収は20~30万円しか増えません。お金目的で医療従事者になると必ず葛藤が生じます。医療従事者はボランティア精神ややりがいがないと続かないと最近感じます。バリバリ働いて、出世して高収入と考えるなら企業で働くほうが可能性があります。

福利厚生が充実

大手SMO企業の福利厚生を確認してみると非常に待遇がいいです。
週休2日制、年間休日125日、eラーニングでの研修体制、ボーナス4ヶ月、フレックス制度採用、子供の看護休暇まで付いています。

病院勤務では、年末年始、盆正月も関係なく出勤しなければなりません。カレンダー通り休めるというのも憧れますね。

デメリット

初任給は下がる

臨床工学技士としての臨床経験は、医師や患者とのコミュニケーションやカルテを見たりするのに間接的に役立ちます。ただ、即戦力というわけにはいかず、研修社員としてスタートします。その為、転職後の給料は下がる傾向にあり、300万円前後など言われています。

30代前半なら転職後、数年で追いつけるかもしれませんが、40代50代のCEの場合は大きく年収が下がるので大きな賭けになると思います。また、転職の年齢が高くなると採用も難しくなります。

忙しい

  • 書類作成などの事務作業も多い為、慣れないうちは残業が発生することもある。
  • 定時に帰れないことがある。(月平均残業時間10~20時間)
  • 薬の知識など、覚えなければならないことが多い。
  • 病院の関係者や患者さんなど、人とかかわることが多いので精神的に疲れることがある。

確かにクリニックなどの維持透析では、ひとたび業務を覚えればほとんど勉強しなくてもルーチンならできます。(それが物足りなかったりするのですが・・・)

CRCでは、新薬の作用や働きなど常に勉強を続けなければ業務がスムーズに行えません。

治験コーディネータのやりがい

治験コーディネータの仕事は、透析クリニックの勤務と比較するとハードです。それでも、多くの医療従事者がCRCとして働くのには、たくさんの魅力があるからです。

新薬の登場を待ち続ける多くの患者に貢献できる

治験者の悩みの相談に乗ったりなど人と接することが多い分、役立っていると自覚出来てやりがいを感じやすい。特に、治験が完了したときの達成感や周囲との一体感の共有がおおきなやりがいになるようです。

新しい知識が入ってきて勉強になる・新鮮である

医師、医療従事者、製薬会社のスタッフなどと、接する中で数多くの疾患や薬の知識を学ぶことができる。次々と新しいことを学ばなければいけないということは、一見するとつらい、しんどいと思うかもしれませんが、勉強することなく毎日同じように働いているほうが退屈でつまらないこともあります。

 

治験コーディネータになるには?

CRCとして働くには、SMO企業に所属してCRCとして医療機関に派遣されて働く形と、医療機関に就職して、CRCとして働く方法があります。一般的には、CRCの会社に就職して医療機関に派遣されて働くという求人が多いようです。

CRCとして働くには、特別な資格は不要ですが、求人の応募資格には、『看護師、臨床検査技師、薬剤師、臨床工学技士など医療国家資格を保有して、2~3年以上の臨床経験のあるもの』という条件を提示しいる企業が多いです。

治験業務では新薬の理解や説明のために医療知識が必要だったり、治験者に対するコミュニケーション能力が大切です。それらの必要性から、治験コーディネータになるには医療国家資格が必要とされます。

まとめ

個人的に、治験コーディネータの仕事は、大変そうだがやりがいがあり楽しそうだと思います。また、今後10年で半分程度の仕事がロボットに取られてなくなるといわれていますが、このような複雑でコミュニケーションが必要な仕事はなくならない可能性が高いでしょう。

新薬の開発に時間がかかる原因もこうした治験を扱う業種が不足しているのが原因かもしれませんし、薬はこれからもどんどん増えていくので今後も需要が高い職業だといえます。

更にCRCについて詳しく知りたい方、CRCになりたいという方は、求人サイトに登録して相談してみるのもオススメです。実際に多くの、医療従事者をCRCに転職させた経験がある為、現場のリアルの情報を知ることができます。

看護師⇒マイナビ看護師

薬剤師⇒リクナビ薬剤師

他には、日本SMO協会のHPも参考になります。

CRCの業務に関する書籍の販売もあります。

CRCテキストブック 第3版
CRC(治験コーディネーター)という仕事

臨床工学技士の中には、病院就職後数年で幻滅して全くほかの職種に転職する人もいます。仕事の選択肢が少ない為、病院勤務ができない場合は、メーカー、卸などの業務しかありませんでした。

その為、このような企業で働くという新しい道ができているのは素晴らしいことだと思います。学会、連盟、そして先人達の努力によりCEの活躍が認められた結果だと思います。