二重濾過血漿交換療法(DFPP)の適応と治療条件

二重濾過血漿交換療法(DFPP)とは

DFPPとは、double filtration plasmapheresisの略称で、二重濾過血漿交換療法のことをいいます。
DFPPでは、体内から取り出した血液を血漿分離器により、血漿成分と血球成分に分離します。そして、分離された血漿成分をさらに血漿成分分画器により、濾過を行い血漿中から選択的に病因物質を除去します。

DFPP
<clibucal Engineering P370より引用>

二重濾過血漿交換療法(DFPP)の利点

DFPPを単純血漿交換(PE)と比較した利点について紹介します。

1.置換するFFPを少なくすることができる

PE(単純血漿交換)では、血液成分から血球と血漿を分離して、血漿をそのまま廃棄していた為、多量の置換液(FFP)が必要でした。DFPPでは、分離した血漿をさらに濾過することにより、必要な血漿成分は患者にもどし、不必要な血漿成分のみを廃棄することで置換液の量を、1/3程度に減らすことができます。

2.置換液にFFPでなくアルブミン製剤が使用可能

PEでは、血漿成分をそのまま破棄するので、血漿中に含まれる、血液凝固因子などが除去されて、出血傾向になります。そのため、補充液にFFPを使用して血液凝固因子の補充が必要となります。

それに対してDFPPでは、置換液の量も少ない為、置換液にFFPではなくアルブミン製剤を使用することができます。FFPを使うと、感染症やアレルギーなどのリスクがあることや保存液に含まれるクエン酸ナトリウムの影響で、低カルシウム血症や酸塩基平衡に障害を与えることにより血液透析が必要になることがあります。

 

二重濾過血漿交換療法(DFPP)の点数と保険適応疾患

DFPPの手技料は、4200点(平成28年)

材料費は、血漿分離機29100円、血漿成分分離器24300円(平成28年)となっています。

適応疾患については、以下の疾患が認められています。

移植(同種肝移植、同種腎移植)

ABO不適合移植をする場合に、抗体による拒絶反応を防ぐ目的で、抗A抗B抗体除去、既存抗リンパ球抗体除去DFPPを行います。また、移植後の急性拒絶反応の治療にも保険適応となっています。

肝疾患(術後肝不全、急性肝不全)

術後肝不全、急性肝不全による、ビリルビン除去目的に施行されます。ただし、劇症肝炎は、DFPPの保険適応外となっています。
劇症肝炎は、PE(単純血漿交換)、PA(血漿吸着)が保険適応となっています。劇症肝炎では、ビリルビンの他に胆汁酸の除去が必要の為です。

神経疾患

重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、多発性硬化症など

膠原病

悪性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、川崎病

※ 適応疾患・適応回数の詳細は、旭化成メディカルHPに詳しく紹介されています。

 

二重濾過血漿交換療法(DFPP)の施行方法

DFPPの「血漿成分分画器」選択

血漿成分分画器は、血漿をさらに濾過して病因物質をふるい分けで除去する膜です。血漿成分分画器は、除去する対象の物質により選択します。一般的に、DFPPでターゲットとなるタンパクはγグロブリンに含まれる免疫グロブリンです。

それぞれの分子量の大きさは、IgM(97万)>IgE>IgD>IgA(16万)>IgG(14~17万)となります。(※1)

血漿成分分画器は、旭化成社のカスケードフローまたは、川澄化学工業社のエバフラックスが発売されています。どちらも、膜孔径が0.01μm、0.02μm、0.03μmで選択できます。一般的にIgGをターゲットとする場合は、小さな膜口径を、IgMやLDLをターゲットにする場合は、大きな膜口径の血漿分画器を選択します。

膜口径が大きいほど、アルブミンなどの体に必要な物質の除去量も増える為、病因物質が除去できる範囲でできるだけ小さい膜口径の血漿分画器を選択することが望ましいです。

DFPPでの「置換液」の選択方法

DFPPでは、廃棄する血漿の量が比較的少ないことからFFPの代わりにアルブミン製剤で代用することができます。
損失するアルブミンの量は、血漿成分分画器の種類や、置換量によりかわりますが、一般的には、8~12g/dlに調整したアルブミン液が使用されます。

DFPPの「抗凝固薬」の選択方法

抗凝固剤は、ヘパリン、低分子ヘパリン、メシル酸ナファモスタットなどが使用されます。出血傾向がある場合は、ナファモスタットメシル酸塩を使用します。

ヘパリンの場合は、活性化凝固時間(ACT)が180~220秒になるように調整します。

バスキュラーアクセス

血流量が50~100ml/min確保できれば、DFPPは施行可能の為、肘静脈などを使用することも可能です。静脈穿刺で血流確保が難しい場合は、ダブルルーメンカテーテルを、内頸静脈や大腿静脈に挿入します。

DFPPの治療条件

  • 血液流量:50~150ml/min
  • 血漿流量:血液流量の20~30%(10~45ml/min)
  • 血漿(二次膜)流量:血漿流量の20%(2~10ml/min)
  • 目標血漿処理量:(除去物質の目標除去率により設定)

DFPPでは、回路内のプライミングボリュームが多く血液が凝固しやすい為最低でも50ml/minの血液流量を確保します。血漿流量は、血流量の20~30%に設定します。回路内の圧力、患者のバイタルを確認しながら徐々に設定値まで上げていきます。

 

二重濾過血漿交換療法(DFPP)の注意点

回路凝固・出血

DFPPでは、回路内のプライミングボリュームが大きく、血液の体外循環時間が長い為、回路内凝固に注意が必要です。抗凝固剤を使用する場合は、ACTを測定して180~220秒になるように調整します。置換液に、アルブミン製剤を使用する場合は、凝固因子も低下する為、治療の都度、抗凝固剤を調整する必要があります。

治療中の監視・操作は臨床工学技士が実施します。回路内の圧力を常に監視して溶血しないように各圧力を調整します。膜凝固などの異変があれば、設定値を変更したり、治療終了したりなど、回路内凝固により返血不可という状況だけは避けなければなりません。

アレルギー

アフェレシス療法によるアレルギーの発生率は、0.1~0.5%と言われています。アレルギーの原因は、血液製剤、抗凝固剤、吸着器による場合があります。アルブミン溶液を置換液とする場合は、FFPを使用する場合と比較してアレルギーの頻度は低いです。

血液製剤に起因するアレルギーが発生する場合は、補液されてから10分以内に発生します。したがって、置換液が投与され始めるときには特に患者のバイタルに注意しなければなりません。もしアレルギー反応(蕁麻疹、血圧低下、循環器症状、呼吸器症状、アナフィラキシー)が発生した場合は、直ちに治療を中断して症状に応じた処置が必要です。

膠質浸透圧の低下

DFPPでは、破棄した血漿の置換液としてFFPもしくは濃度調整したアルブミン溶液を使用します。ただ、補液するアルブミン溶液と除去されるアルブミンのバランスがくるっていた場合には、血中アルブミン濃度低下(膠質浸透圧低下)による血圧低下を起こす場合があります。

これらの予防法として、クリットラインモニターを使用して治療中の循環血液量をモニタリングする方法があります。

 

二重濾過血漿交換療法(DFPP)まとめ

DFPPの特徴が分かったでしょうか?PEとDFPPのそれぞれの特徴を理解してPEとDFPPを使い分けることにより、患者に有益な治療ができます。DFPPの長所は、置換液を少なくできることやFFPを使用しないことができることですが、施設によってはDFPPの長所を生かせれてない場合もあります。

DFPPは、単純血漿交換療法(PE)と比較して、膜選択や置換液量、補液するアルブミン溶液の濃度など、治療条件の設定が複雑です。これらを適性に設定するには、アフェレシス療法ポケットマニュアルアフェレシスマニュアルなどが参考になります。

(参考文献・引用)

※1:アフェレシス療法ポケットマニュアル

Clinical Engineering2008.4、アフェレシスマニュアル

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