糖尿病の透析患者の血糖値管理について紹介します

公開日: : 糖尿病, 血液透析

透析患者の原疾患は、糖尿病性腎症が1番です。透析スタッフは、透析の指導だけではなく糖尿病についてもしっかり管理する必要があります。

透析患者の糖尿病の管理には、透析医学会から『血液透析患者の糖尿病治療ガイド2012』が公開されています。ただ40ページ近くあり読むのが大変です。

臨床工学技士、看護師が最低限知っておけばいいかなという内容について抽出してみました。
血糖の目標値と測定頻度・血液透析前後の低血糖時の対処について順番に紹介します。

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<血糖の目標値と測定頻度>

要点

<血糖値の目標値>
・透析患者のHbA1c値は、参考程度とする。
・随時血糖値(食後2時間血糖値)180~200mg/dl未満
・GA値20%未満を目標とする。

<血糖値測定頻度>
・インスリン製剤使用中の場合
透析前と透析後の随時血糖値を毎回測定
・経口血糖降下薬使用中の場合
透析前血糖値を週1回測定
・薬物療法を使用せずに血糖が良好な場合
透析前血糖値を1ヶ月1回以上測定・GAは糖尿病患者の場合1ヶ月に1回測定
・非糖尿病患者
1年に1回透析前血糖値およびGAを測定する。

解説

血糖値のコントロール及び、脂質・血圧の管理を適正に行うことにより、微小血管症(網膜症,神経障害)・心血管イベント(心筋梗塞,閉塞性動脈硬化症,脳梗塞など)の発症・促進を抑制できることが統計上で証明されています。

糖尿病性腎症の透析患者は予後が悪いと言われています。それを少しでも改善できるよう、私たちスタッフはしっかり指導・教育する必要があります。

まず、HbA1cは、血液中のヘモグロビンの中で、ブドウ糖が結合しているヘモグロビンの割合を表します。過去1~3ヶ月の平均血糖値を反映するため、通常の糖尿病患者の血糖値管理では、広く使用されます。

ただし透析患者では、赤血球寿命の短縮(60日と半分になる)に加え、ESA製剤投与により、新しい赤血球の割合が増えます。したがってHbA1cの値が低く測定される為、HbA1cは参考程度とします。

GA(グリコアルブミン)は、血液中のアルブミン中でブドウ糖と結合しているアルブミンの割合のことをいいます。アルブミンの半減期は約17日なので、GAは過去2~4週間の血糖状態を反映します。

透析患者の場合は、HbA1cの値は参考程度にしかならないため、GAを使用して血糖管理をします。

<血液透析前後の低血糖時の対処>

要点

・血液透析開始時に血糖値60mg/dl未満、または、低血糖症状を認める場合は緊急の対処が必要
・経口摂取可能な場合は、5~10gのブドウ糖を摂取させる。
・経口摂取不可時は、50%グルコース注射液20ml(10gブドウ糖含有)を透析回路静脈側より1分間程度かけて注入する。
・以後30分~60分おきに血糖値を測定し、血糖値が60mg/dl未満の場合は上記処置を繰り返す。
・血液透析終了時に低血糖を認めた場合も同様処置をする。

解説

インスリン使用患者で、血糖値60mg/dl未満、または、低血糖症状を認める場合は、緊急の対処が必要になります。低血糖症状の初期には、自律神経症状(冷汗、動悸、手指振戦、空腹感)が現れます。
自律神経症状があらわれた時に、適切な処置が行われないと、中枢神経障害(頭痛、異常行動、けいれん、意識レベル低下、昏睡)が現れ大変危険です。

私の施設では、透析前に低血糖が認められた場合は、その患者を優先的に透析を開始します。私の施設では透析に使用している透析液には、150mg/dlのブドウ糖が含まれています。透析液から血液中にブドウ糖が拡散により補充されることにより、低血糖を治療するわけです。

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