透析液の清浄度の水質管理基準を覚えていますか?

透析液の水質については、ほとんどの透析施設で定期的に検査をしていると思います。ただ、なぜそのような基準値になっているかや、基準値の正確な値などはうる覚えだったりします。今回は、透析液の水質の基準値について簡潔にまとめたので紹介します。

<透析液の水質>

・透析液の水質について

透析液の水質は、性菌数ET(エンドトキシン)の値により定められています。そして、透析液をどこまで清浄化しなければならないかといった基準は、透析で使用するダイアライザの種類や治療法により異なります。

現在の血液透析では、Ⅳ型・Ⅴ型のハイフラックス膜が90%使用されています。このような、ハイフラックス膜のダイアライザでは、膜の穴が大きい為、逆濾過、逆拡散などにより透析液が、ダイアライザの血液側に数百ミリリットルは入ると言われています。

したがって、汚染された透析液を使用するとそのまま体内に入ることになるので、このような、ハイフラックス膜を使用した血液透析や、オンラインHDFのように直接的に透析液を血液側に補液するような治療では、より清浄化した透析液を使用する必要があります。

ちなみに、ETの人体への収容値は、1時間で体重1kg当たり5EU/mlと報告されています。50kgの患者では、1時間に250EUまで耐えることができるそうです。ET濃度0.05EU/mlの透析液であれば、1時間に5000ml以上の透析液が体内に入ると、ショックを起こすという計算になります。

・透析液の清浄度の分類

透析液は清浄度により以下のように分類されています。

細菌数(CFU/ml) エンドトキシン濃度(EU/ml)
透析用水 100未満 0.050未満
標準透析液 100未満 0.050未満
超純水透析液 0.1未満 0.001未満
オンライン補充用透析液 10-6未満 0.001未満

 

透析用水とは、RO装置の出口から採取したRO水の水質基準を表しています。透析液は、透析器入口での透析液の水質基準を表しています。それぞれ順番に説明します。

・標準透析液

標準透析液の水質基準は、細菌数100CFU/ml未満、ET0.05EU/ml未満と定められています。これは、透析で使用する透析液の最低ラインの基準値です。

・超純水透析液

超純水透析液の水質基準は、細菌数0.1CFU/ml未満、ET0.001EU/ml未満と定められています。超純水透析液は、Ⅳ型・Ⅴ型のハイフラックス膜を使用する血液透析を対象として定められた基準です。

・オンライン補充用透析液

オンライン補充用透析液の水質基準は細菌数10-6CFU/ml、ET0.001EU/ml未満と定められています。細菌数に関しては、数値が小さすぎて測定困難の為、ETカットフィルタ手前の透析液の性菌を測定して、それが0.1CFU未満であれば、ETカットフィルタにより性菌数は1/1000000程度カットできるので、細菌数10-6CFU/mlを満たされると判断します。

 

<透析液清浄化加算>

2012年度より『透析液水質管理加算1』、『透析液水質管理加算2』が定められました。それぞれの、加算基準は以下のようになります。

透析液水質管理加算1

・点数

8点(患者1人の透析1回につき)

・加算基準

①関連学会から示されている基準に基づき、水質管理が適切に実施されていること。
②透析機器安全管理委員会を設置し、その責任者として専任の医師または専任の臨床工学技士が1名以上配置されていること。

・説明

これは、標準透析液の水質が確保されていれば、患者一人に対して透析毎に8点請求できます。関連学会とは、透析医学会または、臨床工学技士会のことをいいます。

透析液水質管理加算2

・点数

20点

・加算基準

①月1回以上水質検査を実施し、関連学会から示されている基準を満たした血液透析濾過用の置換液を作成し、使用していること。
②透析機器安全管理委員会を設置し、その責任者として専任の医師または専任の臨床工学技士が1名以上配置されていること。

・説明

これは、透析液の水質をオンライン補充用透析液の基準を満たし、患者の1人以上がオンライン透析を実施している場合において、透析液水質管理加算2を請求することができます。オンラインHDFを施行する患者が1人でもいれば、他の患者も透析液水質管理加算2で請求することができます。

 

<まとめ>

汚染された透析液を使用すると、サイトカインの上昇やETショックなど様々な弊害が起こります。逆に、清浄化された透析液を使用することにより患者の合併症(炎症反応、透析アミロイド)を防ぐことができます。

このようなことが、厚生労働省にも認知されることにより、透析液水質管理加算等の診療報酬が作成されました。

透析液を作製したり、透析液の清浄度を保ったりすることは臨床工学技士が診療報酬を得られる数少ない業務であり、本当に大切な仕事です。細菌の測定やETの採取など日々流れ作業で行っていますが、なぜこのような基準値になっているのか?どうすればより透析液をより清浄化できるのか?など考えて、消毒方法など考察していくことによって、より業務が充実して、楽しく仕事ができると思います。

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