透析看護師の役割は?看護師と技士の業務の違いについて

看護師

今回は、透析室の仕事に興味がある看護師さんに向けて、「透析室で看護師はどのような役割があるのか?」について紹介します。透析室に転職や異動を考えている看護師さんの参考になれば幸いです。

それでは、さっそく紹介します。

 

まず透析業務のメインは看護師と臨床工学技士が中心に行います。医師は、たまに回診するくらいで常に透析室にいるわけではありません。

看護師と臨床工学技士の役割は重なる部分も多く、共に協力しながら行ないます。(※施設により業務分担が異なります。)

透析室の看護師と技士の役割

臨床工学技士が行う業務としては、「機械のメンテナンス・水質管理、あとは透析効率の計算など」です。逆に、看護師しかできない業務もいくつかあります。

技士の場合、法律上「静脈注射や、診療補助行為など」できない業務がたくさんあります。そのような業務は看護師のみが行います。

透析室内の多くの役割は、看護師・臨床工学技士で共通のものも多いです。この傾向は、年々すすんでいます。現在では、シーツ交換・フットケアなど従来は看護師のみが行っていた役割も技士が行うように移行されています。

 

透析室の看護師の役割は、以下の4つに分類することができます。

  1. 透析の実施
  2. 心のケア
  3. 指導や説明
  4. 研究

それぞれについて順番に紹介します。

透析看護師の「透析実施」という役割

医療

最も基本的な透析看護師の役割が、透析を実施することで。これが、透析看護師の基本業務になります。透析室に配属された場合、まず透析を実施するための、「準備・開始・片付け」この3つを中心に学びます。

以下に、順番に説明します。

透析の準備の役割

・薬の準備

薬の準備は、看護師の役割となっている施設が多いです。

透析患者は、腎機能を代償する為に、たくさんの薬を服用します。その中でも、静注する薬は透析終了時に、回路から注射します。

透析が始まって、落ち着いた時間帯にそれぞれの患者さんの薬を用意(アンプルからシリンジに吸ったり)してそれぞれのベッドに配布します。

・プライミング

プライミングは、透析回路とダイアライザーを組み立てして、洗浄・置換する手技です。

手動プライミングの場合は、慣れるまでに少々の練習が必要です。不器用な場合は、最初は苦労しますが毎日練習すると誰でもできるようになります。

ただ、最近では自動プライミング機能が内蔵された装置がほとんどであり、プライミングがかなり容易になりました。とりあえず、セットしてスイッチオンで自動で洗浄されます。

透析室の経験がなくても、自動プライミングを導入している施設では、プライミングで苦労することは皆無だと思われます。

透析の開始の役割

・穿刺

透析室で働くうえで最も心配なのが穿刺だと思います。臨床工学技士の場合は、静脈注射の経験がないのでかなり苦労します。看護師の場合は、静脈注射の経験があるので比較的早く慣れます。

内シャントは、血流が多く、穿刺に失敗すると腫れや内出血が起きりやすいです。ただ、末梢の血管と比較して太く、針が血管に入った感覚が伝わりやすい為、静脈注射より簡単です。

慣れるまでは、ときどき失敗を繰り返すこともあります。患者さんには申し訳ないですが、失敗しながら上手くなるものだと思います。

「穿刺が苦手、穿刺はどうしてもしたくない」という場合は、穿刺は医師のみが行っている施設も、10%程度あります。穿刺しなくてよい施設で働く方法もあります。

・機械の開始操作

透析室の業務は、機械の操作が複雑そう。というイメージがあるようです。結論として、機械の操作は簡単です。

穿刺後に行う機械の操作は、以下の3つくらいです。(自動設定している装置では、開始ボタン1つ押すだけで良いものもあります。)

  1. 血液ポンプを回す。
  2. 抗凝固剤を投与する。
  3. 設定値まで血液流量を上げる。
  4. 運転ボタンを押す。

機械に限った操作は、上記の4点だけです。

スマートフォンを操作できる技術がある人なら、誰でも扱う事が出来ます。

機械の操作に関しては、特に複雑な操作はないので心配いりません。新人の場合は、慣れるまでプリセプターに見てもらいながら行うので心配いりません。

・患者の観察

透析室で忙しいのは、透析開始時と透析終了時くらいです。その他の時間(9時~12時くらい)は、ゆっくりと時間が流れている印象です。

透析が始まったら、30分に1度のバイタルチェック(血圧測定)、1時間ごとに装置の静脈圧などの各種データの記録を行います。

空いた時間は、それぞれ自由に行動できます。

  • 保険点数の入力
  • 患者さんと会話
  • 患者の観察
  • 検査データの確認
  • 注射の準備
  • インターネット(情報収集など)
  • 資料作成(学会など)

 

透析の片付けの役割

・返血、止血

返血とは、透析回路から血液を体内に戻す操作です。エアー返血をしていた時代は、返血が最も事故につながりやすい業務でした。

最近では、指針によりエアー返血が禁止されて生理食塩水により返血をするようになりました。透析装置も、動脈側・静脈側両方に気泡検知器が装着されたりなど、安全機能が義務図けられています。

また、オンライン用の透析装置では、ボタン一つで自動返血が行われます。

止血は、針を抜いて圧迫ガーゼで止血します。患者さんによって、血管内の圧力が異なりますがそれほど苦労はないです。抜針後に、止血ベルトを巻く手技が広まっています。

・掃除・翌日の準備

患者さんが帰宅した後は、コロコロでシーツを掃除したり、床掃除、透析装置の清拭をします。シーツ交換は、1週間に1回程度実施しています。

掃除後は、次回の透析患者の準備をします。それぞれのベッドに物品を配布したり、自動プライミングの準備をします。

 

透析業務の、1つ1つは単純で誰にでもできる内容です。穿刺を除けは、初めて透析を経験する看護師さんでも、2~3か月でルーチン業務はできるようになります。

ただ、透析では大量の血液を循環させる治療なのでちょっとしたミスで、出血したり、大きな事故につながる責任の大きな仕事です。その為、透析のルーチン業務では、ミスや事故を防ぐために念入りなダブルチェックを導入しています。



透析看護師の「指導・説明」という役割

 

・日常生活についての説明

透析導入時には、食事方法・日常生活方法など特に詳しく説明します。透析患者さんが透析療法について知っておかなければならない知識は、たくさんある為、複数回に別けて説明していきます。

・検査データの説明

透析患者は、充分な透析をできていることや、適切な食事ができていることを確認するために、月に2回ほど採血をします。

採血データが悪い場合は、患者さんと話して、食事内容の確認や、食事の注意点などを話します。基本的に検査結果の説明は、医師・看護師の役割です。

特に、医師が忙しくてなかなか患者さんのところに来れない場合は、看護師がしっかりとデータを確認して指導しなければなりません。

・質問の返答

透析室で仕事をしていると患者さんからたくさんの質問を受けます。医師には聞きづらいことでも、いつも接している看護師や技士のほうが気軽に話しやすいようです。

質問された内容を、わかりやすく説明できるようにしっかりと勉強しておかなければなりません。

透析看護師の「心のケア」という役割

心

看護師が透析室で働くうえで、最もやりがいを感じるのが「心のケア」だと思います。心のケアまでできるようになるには、「日常業務が確実に行えること。日々勉強して透析に関する知識を身に着けること。」です。

それらが確実にできたうえで、患者さんを第一に考えて仕事をしていれば自然と患者さんに信頼されるようになります。

長年透析している患者さんの場合、新しい看護師に対してなかなか心を開いてくれなかったり、厳しく当たる方もときどき見られます。ただ、日々一生懸命看護をしていると、ある時からふと患者さんの対応が変わることを何度も経験してきました。

透析患者は、日々心身共にに大きな、負担を感じています。それを、癒せるような看護師がいることは患者さんにとって大きな救いだと思います。

透析看護師の「研究・学会発表」という役割

透析関連の学会は、非常にたくさんあります。

大きな学会としては、日本透析医学会、日本透析看護学会などがあります。さらに、県ごとに透析研究会などがあります。それぞれの学会は、毎年1回ほど学術大会が開催されます。それぞれの発表は、5分ほどのミニ発表ですが、様々な施設が積極的に行っています。

発表など面倒なのでやりたくないという場合は、そのような施設を選ぶとよいです。ただ、学会に参加するとメリットもたくさんあります。

研究会・学会に参加するメリットは、最新の情報を得ることや、情報の共有です。自分の施設で役立った方法を他の施設に紹介することでその方法は、何万人という患者さんに還元される可能性もあります。

また、透析クリニックは医師同士の付き合いや、クリニックの宣伝の為にも、積極的に発表するように依頼されることもあります。私も、はじめは人前で話すことは苦手で死んでもやりたくないと思っていました。

しかし、やらざるを得ない状況になり発表することになりました。はじめのころは緊張していましたが、何度かするとほとんど緊張しなくなりました。まずは、一回経験しておくことが大切です。

透析看護師の役割のまとめ

透析看護師の役割について、たくさん紹介しましたがどうだったでしょうか?透析室の仕事は、単調で飽きる。などといった意見もあります。ただし、それはルーチン業務しかしていないスタッフだけの話で、患者さんに良い透析室を提供しようとすると勉強しなければならないことは沢山あります。

透析室の看護師は、患者さんにとっては家族と同じくらい長い時間過ごすことになります。患者さんの人生にっとって透析室の看護師が与える影響は非常に大きく、患者さんの人生の一部になります。

透析看護師の仕事は奥が深く、やりがいも十分にあります。興味がある看護師さんは、透析室で働いてみてはどうでしょうか。

透析病院に転職を考えている場合は、看護師転職サイトの利用が便利です。以下に使い方をまとめましたので、よかったら読んでみてください。

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