透析導入のショックから立ち直るまでの透析患者心理について

なやみ

慢性腎臓病の患者の場合は、残った腎機能をできるだけ長く維持して、透析導入を避ける為に、食事制限や運動など行います。

しかし、徐々に腎機能が低下してとうとう透析導入を告知されます。その時の、患者の心理はどうでしょう?また、透析導入を告知されてから、透析を受け入れるまでどのような心理的過程を経過するのでしょうか?

患者の心理過程をしっかり理解して、看護・傾聴していくことが透析患者を支えて、患者との信頼関係を気づいていくためにとても大切です。

今回は、透析患者が、透析導入を告知されてそれを受容するまでの心理過程について紹介します。これらは、癌患者が癌の宣告を受けた時の心の変化の過程を表していますが、透析患者にも同様に当てはめることができます。

心理的過程

衝撃、ショック

医師に「透析が必要です。」と告知された患者は、初めに『衝撃』という感情を受けます。慢性腎臓病の患者は、いずれ透析導入が必要なことを早い段階で分かっている場合も多くあります。しかし、事前に分かっていたとしても、いざ告知を受けると、大きなショックを受けるようです。

否認

「なにかの間違いでは!?」「本当に透析が必要なのか!」「医者の間違いではないのか」といった、病気を否認します。否認することで、透析導入のショックを和らげようとする心理が働きます。

怒り

「なぜ自分だけが」「医者の治療が悪かった」などと、他人に対して怒りをぶつけます。また、他人だけでなく「もっと治療をまじめに受ければよかった」「もっと、はやくから気をつけておけばよかった」自分自身を責めたり、罪悪感を感じたりします。

取り引き

どうにかして、透析をしなくていい方法を考えます。民間療法や漢方、宗教などあらゆるものにすがって、透析を避けようとします。

抑うつ

透析を避けようとしても、生きるためには透析は避けられないことが分かります。これから、一生透析をしなければいけないことが分かり、抑うつの気分になります。

しかし、透析を受け入れて立ち直って活動している方は、全てこの「抑うつ」を経験しています。「抑うつ」は、透析導入によるショックから立ち直った人全てが経験する感情です。「抑うつ」から、いかに立ち直っていくかが、今後透析をしながら充実した生活を送ることができるかにかかります。

ただし、実際には、透析を導入しても2年3年と経過しても「抑うつ」の状態から抜け出せていない患者が多いように感じます。

「透析をするようでは、人生は終わりだ。」
「透析をするくらいなら死んだほうがまし。」
「一生透析をしなければならないのか・・・」
上記の言葉は、私自身が患者から言われたセリフです。

このような言葉を言われても、正直、安易に励ますことはできません。実際に、透析導入になった患者の気持ちは、本人にしか分からない為、安易な言葉はかけられないためです。

このようなことを言われた場合の、返答の答えはないと思います。まずは、しっかり相手の話や、悩みを聞くことが大切です。患者は、悩みを話しながら自分自身で気持ちを、整理することができます。最終的には、抑うつから脱出するには、患者自身で解決するしかありません。

抑うつ時の解決には、患者自身には認知行動療法なども効果的かもしれません。

受容

抑うつな状態で透析をしながら生活していても、日々は刻々と流れていきます。だんだんと透析にも慣れて、心にも少し余裕ができてきます。透析をしなければならないことについて諦めの感情が出て、やがて透析について受け入れるようになります。

希望

透析について受け入れて、「透析をしながら楽しく生活しよう。」「楽しめることを探して充実した人生を送ろう。」と希望を持てます。

実際に、この段階の心理まで到達できている患者は、そう多くないと思います。しかし、落ち込んでいても、楽しんでいても、時間は同じように流れます。全ての人間はいずれ死んで消えていきます。死ぬまでに、後悔のないように憂鬱や抑うつから抜け出してやりのこしたことがない人生を送れたら大変素晴らしいことだと思います。

まとめ

透析室の看護師・臨床工学技士は、透析患者と接することは、とても多く、家族以上に一緒にいる時間が長いと思います。そのなかで、患者さんにとって悩みを話せたり、信頼できる看護師や臨床工学技士がいることは、透析人生や透析生活にとって大変大きな支えになると思います。

透析施設で働く場合は、患者にたいしての精神的ケアについても十分に勉強する必要があります。特に、臨床工学技士の場合は、精神的ケアについては、養成校でもほとんど勉強していないと思うので時間があれば何か本を一冊購入して勉強してみるといいと思います。腎不全患者の心理について書かれた書籍はサイコネフロロジーマニュアル―腎不全患者の心理面へのアプローチがあります。

患者さんの場合は、〈増補改訂 第2版〉いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法が、立ち直る強い味方になると思うので強くお勧めします。

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