透析導入時のスタッフの注意点

血液透析の導入患者の治療時は、どのような点に注意して看護・治療を行っているでしょうか?今回は、透析導入時の注意点について「透析準備時、透析前、透析中、透析後」に分けて紹介します。

透析準備時の注意

透析条件の設定

透析導入時は、不均衡症候群を予防する為や、透析の行為自体に慣れてもらうために短時間で効率が低めの透析を行うことが多いです。

具体的な透析条件としては、ダイアライザ膜面積は1.0㎡前後、透析時間は3時間、血流量は150ml/min程度で開始します。

何回か、透析をして慣れてきたら一般的な透析条件にアップさせます。

抗凝固剤の種類については、出血傾向のない場合はヘパリンが選ばれます。ヘパリンは、低価格で抗凝固作用が良好の為です。抗凝固剤の使用量については、患者の体格によらず適当な量(初回ワンショット1000単位、持続500~1000単位/h)で開始しています。

透析回路内の、血液凝固は、ダイアライザの膜の素材や、血液流量、静脈圧、患者のヘマトなどさまざまな影響を受けます。実際に、透析をして目視で残血を確認しなければ、その患者にとっての適正な抗凝固剤の投与量は分かりません。

透析を終えて、残血が多ければヘパリンの持続投与量を少しずつ上げたり、逆に、残血がなくて投与量を減らせそうなら、投与量を減らしています。

ヘパリンは、副作用もあり、脂質代謝・骨代謝・糖代謝に悪影響を与えることが知られています。できる限り、投与量は少なくしたいものです。

 

透析室入室時の注意

丁寧な説明

透析室に入室して、初めての血液透析です。患者さんは、とても緊張しています。不安を和らげるために、これから、どのようなことをするのか、易しく丁寧に説明しましょう。

 

透析開始時の注意

穿刺時の注意

内シャントを作成して、日が浅い場合は、血管が十分に発達しておらず穿刺が困難な場合があります。できるだけ、導入患者の穿刺は熟練者がしたほうが良いように思われます。

十分に発達していない内シャントの場合、吻合部付近を穿刺失敗して腫脹させると、直ぐにシャント閉塞を起こす危険性があります。吻合部付近の穿刺もできるだけ避けましょう。

また、導入時の新しい内シャントは、血管がやわらかく、血管壁が薄い為、穿刺が成功しても針と血管の隙間から血液が漏れることもあります。透析中も定期的に穿刺部の観察が必要です。

穿刺による痛みのストレスは患者により異なります。耐えられない人には、ペインレスシールや、ペインレスニードルによるボタンホール穿刺等を検討してみることも良いかもしれません。キシロカインスプレーなどの麻酔のスプレーも発売されています。

 

透析開始直後の注意

アナフィラキシ―ショック

ダイアライザの膜素材が、体に合わずにアレルギー反応を起こして、急激に血圧低下する患者がたまにいます。ダイアライザのポリスルホン膜、ダイアライザ内の残留物などに過敏に反応して、透析開始時に急激に血圧低下を起こしたり、ショック状態になる場合が稀にあります。

一過性の白血球減少症

透析開始時には血液がダイアライザや血液回路など異物に接触することにより、末梢血中の白血球の減少(一過性の白血球減少症)が起こることが知られています。そして、透析開始15分~30分がそのピークとなります。

末梢血の白血球が減少するのは、補体の活性化の影響で、肺の毛細血管に白血球が停滞する為と言われています。一過性の白血球減少により、血圧低下・酸素飽和度の低下が起こる患者もいるので注意が必要です。

 

透析治療中の注意

透析中には、患者のバイタルや状態を確認をしていますが、特に導入中の患者は注意深く観察する必要があります。

血圧の観察

透析中の血圧測定の通常の頻度は、30分に1回~60分に1回程度の施設が多いと思います。これらは、今まで何回も透析をしていて大丈夫であった為、頻度を減らしています。

導入患者の場合は、間隔をさらに短くして、15分おきに測定します。透析開始時に血圧を確認して、アナフィラキシ―ショックはないか?
15分~30分後は、一過性の白血球減少症による血圧低下はないか?
透析後半では、除水による循環血液量減少による血圧低下はないか?
など、それぞれの場面で注意深く血圧を確認する必要があります。

心電図の観察

血液透析中は、不整脈が出やすくなると言われています。その為、循環器に病気を抱えている患者や、透析導入患者の場合は、3誘導をとって、透析中に継続的に心電図を確認することがあります。

心電図モニタを装着していれば継続的に、患者の状態(心電図・呼吸数)を監視できるので、スタッフの数が厳しい施設ではかなり有効だと思います。

脈拍の観察

脈拍も、患者の循環状態を確認するには良い指標になります。脈拍数60回/min以下を除脈、100回/min以上を頻脈といいます。脈の間隔が一定か?除脈や頻脈はないか?を確認します。

意識レベルの観察

意識レベルの観察も透析中の患者の状態を確認するには大切です。透析での意識レベルの確認は、患者の顔色を見ることです。

呼吸しているか?
顔の血色はどうか?
呼吸しているか?(胸が動いているか?)

上記の確認を目視で行います。モニターの数値ばかり見るのではなく、患者さんをしっかり観察することが大切です。

まれに、血圧が低下して白目をむいている患者を発見したり、血圧が低下して顔が青白くなっている患者などいます。患者さんの性格によっては、異変があっても我慢したりして、スタッフになかなか言い出せない人もいるので、近くによって話しかけることも大切です。

痛み、気分不良がないか

穿刺部位に痛みはないか?
気持ち悪くないか?
筋肉の引きつりはないか?
頭痛はないか?
などなど、患者さんに定期的に話しかけて、確認します。

透析回路の観察

透析の初回時には、抗凝固剤の量が適正かはっきり分かっていません。患者により、透析の途中でダイアライザや回路内の血液が固まってしまうこともあります。

透析中は、静脈圧の確認も大切です。ただ、静脈圧からは、ダイアライザの凝固は分かりません。

静脈圧が上昇するのは、静脈チャンバが凝固したり、返血側回路が詰まったり、折れ曲がったりしたときです。

回路の動脈側や、ダイアライザの凝固を確認するには、動脈圧の上昇を確認する必要があります。ただ、血液透析において動脈圧の測定をしている施設はほとんどないと思います。
したがって、ダイアライザや回路内に凝固がないかの観察は、目視で行う必要が合います。

毎時間に、ダイアライザの入口・出口・側面を観察して、開始時から変化していないか確認します。

異変があったり、凝固されていたら、早めに透析を終えたり、回路を組みなおして再開する必要があります。

透析後の注意

初めての透析を受けたことにより、心身共に疲労していると思います。起立性低血圧に気をつけて、歩行時の転倒など注意する必要があります。また、新しい内シャントは内出血をしやすい為、シャントの穿刺部位の止血は、指で押さえて確実に行うようにします。

まとめ

透析スタッフの仕事の基本は、医師の指示に従い透析を安全に実行することです。

いかに、無事・安全で、患者に不安を与えることなく透析を行えるかを考えて、行動していく必要があります。

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