ダブルチェックの有効性と注意点について

チェック

ダブルチェックとは

医療の業務では、単純なルーチンも多いですがミスをすると患者さんにとって大きな影響を与えることが多いです。その為、ミスや事故を防止する目的でダブルチェックが行われています。

プライミング後の確認や、除水計算のチェックなどAさんが行った業務に対して、Bさんがが確認する。このような確認方法をダブルチェクといいます。ダブルチェックをすることによりミスの発生率を下げることができます。

例えば、1%(1/100)の確率で除水計算の失敗をするとします。その場合、ほかの誰かに後から確認してもらう場合

事故が発生するのは、2人が連続でミスした場合です。二人が同時にミスをする確率は

(1/100)×(1/100)=1/10000 ⇒0.001%となります。確認しなかった場合は、100回に1回の事故が発生しますが、ダブルチェックをすることにより理論上は10000回に1回の事故に抑えることができます。

ダブルチェックの注意

ダブルチェックは有効ですが、ロボットでなく人間が行うので理論通りにいかないこともあります。

1つのチェックを2人でするのは、ミスの確率が増える

ダブルチェックをする場合に二人で一つのチェックを(直列で)するとミスの発見率が低下するので注意が必要です。

これは信頼度計算を学んでいれば簡単に思いつくと思います。臨工の国試でも出題されます。

例えば、透析後の設定確認を2人で行っている施設があります。Aさんが装置データを読み上げる。そしてBさんがそれを聞いてチェック表に記載する。

こういうチェック方法であれば、一人で確認したほうが効果が高いです。

チェックの信頼度が2人とも95%と仮定して信頼度の計算してみます。

その場合、2人で上記のようにチェック(直列のチェック)した場合の信頼度は

0.95×0.95=0.9025 ⇒90.25%となります。

1つの確認を2人で直列の確認をすることにより。Aさんの言い間違い、見間違い。Bさんの聞き間違い、聞き逃し。さらに自分のペースで確認できない。など、ミスする要因が増える為、1つの確認を2人で分けて行うのは良くありません。

2人がそれぞれ独立した確認をする(並列のチェックをする)ことが大切です。

トリプルチェックの有効性は低い!?

トリプルチェックとは、ダブルチェックに加えてさらにほかの誰かが確認をする方法です。

確認をすればすするほど、ミスの発見率が増えるのでトリプルチェックはダブルチェックより有効では?と考えるかもしれません。信頼度計算により理論上は、ダブルチェックよりトリプルチェックのほうがミスの確率が軽減します。

しかし、様々な実験によりトリプルチェックは有効ではないという意見も多いです。(「安全の仕組みの落とし穴」電気通信大学 教授 田中健次

確認する人が増えることにより、ほかの誰かがチェックしてくれるから大丈夫だろう。という心理になり、ダブルチェックよりも効果が軽減してしまう恐れがあるようです。

そういえば、イソップ物語でこのような話がありました。「村で長年お世話になっているお坊さんが事情により遠くに行ってしまうことになりました。村人は、何かお礼がしたいと考えてお酒をプレゼントしようと考えます。貧乏な村人であり、一つの容器にみんなで少しずつお酒を集めて渡そうと考えます。そして、みんなで集めたお酒をプレゼントします。お坊さんは、プレゼントに対して喜びます。しかし、実際にお酒を飲んだところただの水でした。自分だけなら大丈夫だろうと、村人全員が水を入れていたようです。」

このように人が増えれば増えるほど、倍々に効率が増えるのではなく手を抜いてしまう人が増えるので注意しなければなりません。

また、チェック方法も違う視点からの確認のほうが効果があるようです。透析室であれば、看護師と技士など他職種でチェックするというのもよさそうですね。

上司のミスは報告しにくい

経験豊かな上司の業務に対するチェックの場合、この人なら大丈夫だろう。と確認が甘くなってしまうことがあります。私も、新人時代はそのような考えが心のどこかにあり事故につながってしまったことがあります。また、上司とのコミュニケーションが不十分だったり職場内の雰囲気が悪い場合は、上司のミスに対して報告しずらい・・・という弊害も生じます。

最後に

医療従事者としてスタッフ・患者さんから信頼されるには、安定感というのが非常に大切です。ミスが多い場合は、「指差し呼称、自分の業務をダブルチェック、チェックリスト作成」これらを活用して安定して業務が行えるように努めましょう。また、現在のシステムに問題がないのか改めて確認することも必要かもしれません。