アルブミン漏出量評価の排液採取法(部分貯留・全量貯留)について

試験管
試験管

排液採取の種類

全量貯留法

全量貯留法とは、名前の通り透析中の排液を全て採取する方法です。透析中に排出される排液の量は、4時間透析で透析液流量500ml/minの場合でも、最低120Lと大量の排液が発生します。その為、採取には家庭の風呂と同程度のタンクが必要となります。一般的な透析施設において、そのようなタンクを置くスペースもなく、また、採取された排液からは尿毒素特有の悪臭がありなかなか難しいです。

さらに、全量貯留して、その中から排液を数ミリリットル採取して検査しますが、アルブミンは、容器の側面に付着したり、容器の底面に沈殿する為、採取前にに容器内を十分に混ぜて撹拌させる必要があります。100L以上の排液を撹拌させるのは相当な労力がいると想像します。

全量貯留法は、手間・時間・場所などいろいろな制限があるため一般の施設では行われていません。医療メーカにおけるダイアライザの性能評価には、この方法が用いられているようです。

部分貯留法

CSEM方

CSEM法とは、シリンジポンプを使用して排液を持続的に採取する方法です。通常シリンジポンプは、薬液の注入に使用する為、採取には使えません。そこで、シリンジポンプの駆動機構を改造して、注入する動きから、吸引する逆の動作をするように改造します。
長所としては、採取量も少なく準備や片付けが容易にできる。全量貯留法と同様に正確な測定結果を求めることができます。

短所は、シリンジポンプを自分で改造する必要があります。シリンジポンプの機種によっては、駆動部の配線を逆に接続するだけで簡単に改造できるものもあるようですが、なかには配線をいじくるとさまざまな警報が発生して動作しなくなる場合もあります。
実験用の機器を取り扱っている会社では、注入と吸入を切り替えることができるシリンジポンプを発売されているのでそちらを購入するほうが現実的かもしれません。

補液ポンプ

部分貯留法では、補液ポンプを使用して排液貯留している施設が多いようです。on-lineHDF専用の透析装置が開発される前は、単独のローラポンプを通常の透析装置に組み込んで、on-lineHDFを施行していました。その時使用していた、ローラポンプを使用して、排液ラインからローラポンプ(補液ポンプ)にて排液を採取する方法です。
補液ポンプは、比較的安く入手することができ、安定して採取ができるため広く用いられています。

除水ポンプ

透析装置に組み込まれている除水ポンプから排液を採取する方法です。排液の採取量が除水速度に依存してしまうため、治療途中で除水速度が変更されたり、除水を止めたりすると、一定の速度で排液が採取できなくなってしまうという問題があります。また、装置のメーカによっては除水ポンプが単独で存在していないものもあるようです。

輸液ポンプ

学会の発表で見かけましたが、輸液ポンプを使用して排液を採取している施設もあるようです。ただ、輸液ポンプの場合は初めから回路内のチューブを満たして置かないと気泡警報が発生してしまいます。その為、採取した排液の中にプライミングボリューム分の誤差が生じる恐れがあります。

 

排液の採取部位

排液の採取(サンプリング)する部位は、ダイアライザの戻り口以降であれば、どこでも構いません。ただし、定量的に採取することと、採取した排液の量を把握するために、エアーが混入しない部位から採取する必要があります。

 

タンパク吸着の防止

排液タンクに採取した排液の中のアルブミンは、タンクの側面や底面に吸着する恐れがあります。タンクに吸着されると、実際の測定値よりも低い値になっていしまいます。その為、界面活性剤を採取したタンク内に注入するのが現在では主流の方法となっています。

 

まとめ

排液を採取する方法はいろいろありますが、全量貯留法とシリンジポンプや補液ポンプを使用した部分貯留法では、測定値に誤差がほとんどなかったようです。このような臨床研究は、透析治療などのルーチン業務と同時並行して行わなければならず、スタッフに負担が大きくかかります。
できるだけ、簡単で手もがかからない方法を選択することが必要です。

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