透析患者さんのDW(ドライウェイト)の設定方法を分かりやすく説明します

透析患者のDWの設定方法

今回は、透析患者さんのDW(ドライウェイト)の設定方法を説明します。DWは透析にとってとても大切です。看護師さんや臨床工学技士さんに最低限知ってもらいたいDWの知識をまとめました。しっかり覚えてDrに助言できるようにしたいですね。

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ドライウェイト(DW)とは

DWとは、透析患者さんの適正な水分量の時の体重のことです。人間の体は55%~60%は水分でできています。末期腎不全の患者さんの場合、尿が排出されない為、飲んだ水分がそのまま体に溜まります。口から飲んだ水分は、大腸の毛細血管から吸収され、肝臓を通って、心臓に運ばれ全身の組織に水分が分散します。

その為、体に含まれる水分の割合が多くなりすぎてしまいまい体中がむくみます。これを、透析により水を抜いて適正な体の水分量に設定する必要があります。

ドライウェイトの決め方

DWの決定は、以下の検査項目や、臨床症状を見て決定します。

心胸比

心胸比とは、心臓の大きさを表す指標です。正確には、心胸比ではなく、心胸郭比と言います。心胸比とは、胸郭の横幅のうち、心臓の横幅が占める割合が何パーセントかを表します。

維持透析患者さんでは、月に1回、胸部エックス線を撮影して、心胸比を測定します。心胸比の正常値は個人差がありますが、透析後の心胸比で、男性で50%以下、女性で55%以下となっています。

体に水分が過剰になると、心臓に水が溜まり心臓が大きくなり、胸郭に占める心臓の割合が大きくなり心胸比が大きくなります。逆に体の水分が少なくなりすぎると、心臓が小さくなり心胸比が低くなります。心胸比が小さくなりすぎた場合は、DWをあげる、心胸比が大きくなりすぎたらDWを下げる必要があります。

心胸比

胸部エックス線検査

胸部エックス線検査では、心胸比の測定の他に、胸に異常がないかも確認します。肺がんになれば、影が映るなど良く耳にしますよね。

他にも、体に水分が過剰になると、血管から肺に水が入ることがあります。これを肺水腫といいます。肺に水が入ると、胸部エックス線写真で、肺門部を中心に、チョウが羽を広げたような白い影が映ります。これをバタフライシャドウといいます。肺水腫の場合も、DWを下げる必要があります。

むくみ

透析患者さんは、水分の除去ができない為、顔(まぶた)や足が水分でむくむことがあります。DWが適正に設定されていれば、透析後などはむくみはとれます。

透析後にも関わらず、顔や足がむくむようであれば、体にまだまだ余分な水分が溜まっている可能性がありますので、DWを下げる必要があります。足のむくみの確認は、足首の4~5cm上を指で押さえて確認します。通常この部分はほとんど肉がないので抑えてもへこまず、骨が確認できますが、指で押さえたときに弾力がありへこむ場合は、水が溜まっています。

血圧

血圧は、さまざまな要因で上がったり、下がったりするので、一概に言えませんが、体に水分が過剰になっている状態では、心臓がパンパンになり血圧が上昇する傾向になり、体の水分が少なすぎると血圧が低くなります。

収縮期の血圧(最高血圧)が200mmHg近い場合は、水分の過剰も疑う必要があります。その他に、透析中の血圧の変化も注意してもらいたいところです。通常は、血液透析では水分を血管から抜くので、透析時間が経過するに従って、血圧が徐々に低下するのが一般的です。それなのに、透析中にほとんど血圧が変化なかったり、逆に、血圧が上昇してきたりする患者さんは、まだまだ体に水分が溜まっている疑いがあるので、DWを下げることが必要かもしれません。

他には、透析中にそれほど多く除水をしていないのに血圧が下がる場合は、体の水分が少なすぎるかもしれませんので、DWを上げる必要があります。体の、水分量の変化は、クリットラインモニターなどのBV計などで測定するとよくわかります。

HANP(ハンプ)

HANPとは、正式名称は、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドと言います。HANPは、心臓から分泌されるホルモンで、腎臓に働きかけて尿を出すのを促進する働きがあります。

透析患者さんでも、心臓から分泌されるホルモンなので正常に分泌されます。これは、体に水分が過剰になり、心臓が膨らむと分泌が多くなりますのでDWを決める指標になります。HANPは、半年に1回程度測定して、透析後の採血で測定します。正常値は、50pg/ml前後です。100pg/mlを超える場合は、体に水分が過剰と判断できます。少なすぎる場合は、脱水状態なのでDWを上げる必要があります。

DW設定についてまとめ

心胸比は、以上の検査値や臨床症状などを総合的に見て決定ます。1つの検査値にとらわれず、複数の要因が重なった場合に、判断することで正確に診断することができます。

DWは、日々変化します。特に、手術したり、合併症などで入院して、食事量が下がった時は注意です。DWが不正確であると、心不全や脳出血、シャント閉塞など重篤な合併症を引き起こすリスクが上昇します。患者さん一人一人をよく観察して、DWが適正であるかを判断して、変更したほうがいいと考えた場合は、すばやくDrに報告して変更することが大切と思います。

1 個のコメント

  • DWについて教えてください。
    DW を設定するのに透析後に胸写を撮りますとのことですが透析前に胸写を撮る施設もあると聞きました。確かに透析前の体重は何kgとはわかりますが心胸比が出ても大きいのは当たり前だし前月とは体重も違います。どのようにして比較しているのでしょうか。胸写は透析前と後ではどちらに撮るほうがいいのでしょうか。

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