透析患者に必要な食事のエネルギー量・食事方法について説明します

今回は、透析患者に必要な栄養素とエネルギー量について説明します。透析患者さんがどのように食事をすればいいか、どの程度のエネルギー量が必要なのかをまとめました。

透析患者のエネルギーの重要性

食事は、空腹を満たしたり、美味しいものを食べて幸福感を感じたりなどありますが、食事の一番大切な目的は、生きるために必要な栄養素を体内に補充することです。

私たちが生きていくためには、『炭水化物・タンパク質・脂質の三大栄養素の他に、ミネラル・ビタミン・水』が必要です。

  • 炭水化物・・エネルギーとなる
  • タンパク質・・エネルギーや、体の構成成分になる
  • 脂質・・エネルギーとなる
  • ミネラル・ビタミン・・生体機能を調整する。

特に、バランスの良い食事から十分なエネルギーをとることが大切です。

エネルギーは、歩いたり、運動したりするのには、もちろん。それ以外にも、基礎代謝といって、何にもせずにゆったりしているときでも、呼吸・心臓・内臓の活動、など生体内の活動にエネルギーとしても使われます。

消費カロリーよりも摂取カロリーが多過ぎると余分なエネルギーは、脂肪として体内に蓄積してメタボの原因になります。

逆に、摂取カロリーが消費カロリーより少な過ぎるのも問題です。人間の体は、エネルギーが不足すると体の脂肪と骨格筋を分解してエネルギーとして利用します。このように骨格筋が減少していくことを「サルコペニア」と呼びます。

サルコペニアは、要介護・用支援状態になる大きな原因につながり問題視されています。寝たきりになると、認知機能の低下、食欲低下、筋力の低下などさまざまな問題を抱えることになります。

関連記事:エネルギー不足によるMIA症候群について

バランスの良い食事からエネルギーを摂る

食事

必要な栄養素を採るには、朝・昼・晩の食事に主食、主菜、副菜を採りいれることが大切です。主食とは、ごはん、パン、麺類です。主菜は、魚、肉、卵、豆腐などです。副菜は、野菜などです。

主食、主菜、副菜を3食に取り入れることにより、各食材についての栄養素の知識がなくても大まかな栄養素のバランスが採れて栄養素が偏ることが少なくなります。

具体的にエネルギーとは

エネルギーとは、炭水化物・蛋白質・脂質が体内で発生させる熱量を数字で表したものです。kcal(キロカロリー)と表されます。分かりやすく言えば、体を動かす原動力のことです。

以下の栄養素1gに含まれるカロリーを紹介します。
・炭水化物・・・4kcal
・蛋白質・・・4kcal
・脂肪・・・9kcal

透析患者に必要なエネルギーの量は?

透析患者が1日に必要なエネルギー量は、30~35kal/kg標準体重/day(日本腎臓学会)と提唱されています。

これは、体重1kgにつき30~35kcalのエネルギーが必要という事です。

30~35kcalと幅があるのは、筋肉量が多い人や活動量の多い若い人などは、35kcalで計算するといいとうことです。

例えば、標準体重が40kgの人が1日に必要なカロリーは

40(kg)×30(kcal)=1200kcal

と計算します。

ちなみに標準体重は以下の式により、計算します。

標準体重(kg)=身長(m)×身長(kg)× 22

透析患者は炎症、二次性副甲状腺機能亢進症などにより代謝が亢進されやすいです。その為、目標摂取カロリーが一般の人よりも少し多めに設定されています。

摂取するエネルギーの量と消費するエネルギーは、同程度であることが望ましいです。消費エネルギーより摂取エネルギーが多くなると脂肪が体に蓄積され肥満になります。

逆に、摂取エネルギーが不足すると、体の蛋白質が分解されて、やせてしまいます。また、エネルギー不足により蛋白質が分解されると、BUN上昇、高K血症、高P血症も亢進します。

透析患者がエネルギーを充分に摂るために

透析患者の場合、リン、カリウム、水分量、塩分量の制限があるため、食事量を抑えてしまいエネルギー不足になることが多いです。特に、高齢者のエネルギー不足が目立つように感じます。

エネルギー不足により、筋肉量が落ちて歩けなくなり、車いすやストレッチャーで透析室に入室してくる透析患者が増えています。しっかり、食事をとって元気な状態で透析をしてQOLを上げるように指導しなければいけないと日々感じます。

透析患者の食事中のエネルギーを上げるには、蛋白質を含まない調味料である砂糖やマーガリン、植物油を有効に使うことです。ご飯をバターでいためてバターライスにしたり、おやつに飴を食べたりしてエネルギー量を増やします。

夜間透析の食事に、金平糖などのおやつが出たりしています。なぜ、こんなのが一緒に出されてるのかと疑問に思ったことがありますが、今考えれば、エネルギー量を上げる為だと分かりました。(糖尿の方は注意)

1日に必要なエネルギー量をしっかり守ることが透析をしながら元気でいるために非常に大切です。透析スタッフは、透析患者の採血結果や体重増加量を見て患者が適切な食事ができているか確認したり相談することが大切です。

エネルギー摂取量を増やす補助食品

エネルギーを十分に取るためには、揚げ物や炒め物など油を多く使った調理方法が有効といわれています。ただ、体調がよくないときやどうしても食欲がないときは、油っこい食事は苦痛だと思います。

そこで、足りたいエネルギーはゼリーやジュースなどの栄養補助食品で補給するという方法が有効です。いろいろ透析関連の書籍をみていると以下の補助食品が紹介されていましたので搭載しときます。

プチロイシンプラスは、100mlのジュースで、エネルギー200kcal,タンパク質8.0gが含まれています。食事量が全体的に低下することにより、血中アルブミン,リンなどの値が低下してきた場合などに有効です。

その他にも、以下の栄養補助食品はエネルギーとタンパク質を効率よく補給することができます。

クリミール

ジュース状のものやゼリーなど、食べやすいように工夫された食品はたくさんあります。味も飽きないようにたくさん発売されています。

食欲がないときや、エネルギーの補給に役立つのでお勧めです。

最後に

散歩

最近の透析現場の問題としては、通院や介護に関する問題が増えています。自力で歩いたり、日常生活を送ることが困難な患者さんが増加しており、家族やスタッフの負担も大きくなります。

自力で行動ができなくなると、患者さん自身のQOLも大きく低下することや、下肢の骨格筋が減少すると血液循環にも影響があり、透析中の血圧低下や下肢の引きつり、むくみが発生しやすくなります。

延命するだけでなく、元気で長く生活するためには、しっかりとと食事をとり、ほどほよく運動をして下肢の筋肉を鍛えることが大切だとつくづく思います。

(参考文献)
透析患者の生活指導ガイド

 

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