透析患者の運動療法の必要性について

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a0003_001635透析患者の運動療法

はじめに

近年、透析患者への運動療法が生命予後の改善やQOLの向上に有効であるという報告がされています。透析患者の場合、貧血による持久力の低下やアミロイドーシスなどの合併症のため、ますます運動量が減ってしまいます。

人は、年を重ねると筋力が低下するのが自然です。しかし、全く運動していない人と、定期的に運動している人では、筋力や持久力の低下具合が大きく異なります。

筋力が低下すると、最終的には自分で日常生活を送ることができなくなり、風呂に入ったり、トイレに行くのにも介護が必要となります。歩行ができなくなり、車いすの生活になると、自分の思い通りに行動しにくくなり、大きくQOLが下がります。

また、筋力が低下して運動ができなくなると自然に食事量も減って栄養状態も悪くなり生命予後が悪くなります。寝たきりを予防するために、歩けるうちから運動する習慣をみにつけることが必要です。

運動療法の有効性

HD患者において活動度は生命予後と直接関係します。ほとんど運動しない患者は、運動している患者と比較して年間1.62倍死亡率が高いと報告されています。
また、運動を定期的にしている患者は、睡眠障害の比率も低いといわれています。これは、透析患者だけにかかわらず、適度な運動をしていると肥満の防止や、血糖値の安定などの改善につながり心血管の合併症の発生を抑えることができるためです。

運動方法

運動の種類は大まかに3つに分類できます。持久力をつける運動、筋力をつける運動、柔軟性を保つ運動です。これらの運動をバランスよく行うことにより、筋力の低下や持久力の低下を防ぐことができます。

持久力

持久力とは、歩行したり、階段を上ったりなど長く活動ができる体力のことです。持久力をつける運動としては、歩行や軽いジョギングを30分~60分行います。運動は非透析日に、週に2回~3回行うのが望ましいです。

筋力

透析患者では、特に下半身の筋力が低下しています。その為、筋力の低下が進行すると、座ったり立ったりなど日常動作ができなくなり、介護が必要となってしまいます。

透析患者の筋力トレーニングは、下半身を中心とした筋力トレーニングを行います。現在の体力に合ったトレーニングから初めて、できるようになれば徐々に負荷を大きくしていきます。
初めは、その場足ふみなどから始め、慣れてきたらハーフスクワットなど負荷を少しずつ増やします。

柔軟性

けがの予防を防ぐためにも、柔軟体操が必要です。歩行・ジョギング前や筋トレ前の準備運動として行うといいです。

まとめ

近年透析患者の高齢化に伴い、自力で歩行できなくなって、介助が必要な透析患者の割合が大幅に増えたように感じます。透析アミロイドーシスによる破壊性脊椎関節症による神経障害などでは、治療が困難ですが、単純な筋力低下の場合は、高齢者であってもリハビリや運動療法により筋力アップが可能です。

寝たきりになった透析患者からよく、「自分で何もできなくなっては、死んだほうがまし」などと愚痴られることがあります。このような患者を減らすためにも、透析室での運動療法を積極的に行ったり、患者指導をしていくことが必要です。