GCAP(顆粒球除去療法)の適応疾患と治療条件

アダカラム

白血球系細胞除去療法(GCAP)は、患者末梢血液から炎症細胞や免疫担当細胞を除去することにより病態を改善させる治療法です。除去する対象の違いにより顆粒球除去療法(GCAP)、白血球除去療法(LCAP)、リンパ球除去療法(CF-LA)に分類されます。

今回は、その中でも「潰瘍性大腸炎、クローン病、膿疱性乾癬」に適応のあるGCAPについて紹介します。

GCAPの原理と特徴

【カラムの特徴】

GCAPの吸着器には、JIMRO社の『アダカラム』が使用されます。吸着剤として、酢酸セルロースビーズの小さな粒が3500個程詰め込まれています。この、セルロースビーズの間に血液を流すことにより、病因物質である顆粒球、単球が吸着されます。

ビーズが充填されているだけなので、膜の目詰まりがほぼ起こらないのが良いところです。治療中は、吸着器の下から上に向けて血液を流します。

一回の治療で、顆粒球・単球を30~50%除去します。

アダカラム<JIMROのHPより転載>

GCAP(顆粒球除去療法)の適応疾患

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎(UC)は、腸粘膜に潰瘍ができる炎症性腸疾患です。若年から青年層に好発して、原因は不明とされています。完治が難しく、特定疾患(難病)に指定さてており、安部総理大臣が潰瘍性大腸炎を患わっていることは有名です。

潰瘍性大腸炎(UC)は、大腸粘膜が侵され、びらんや潰瘍を形成します。下痢、下血、熱、腹痛などの症状が出現します。また、長期間UCを患わっていると大腸癌んなどの悪性腫瘍の発生率が上昇します。

炎症性腸疾患患者の病変部腸管内粘膜には、活性化された好中球・好酸球・リンパ球が集まっています。これらをLCAPやGCAPで除去することにより病態を改善させます。

クローン病

クローン病(CD)は、潰瘍性大腸炎とよく似た疾患です。異なる点は、小腸、大腸だけでなく、口腔から肛門に至るあらゆる部位に発生する点です。

 膿疱性乾癬(のうほうせいかんせい)

乾癬は、皮膚の表面に膿疱が発生する皮膚病です。その中でも、発熱、全身倦怠感、発赤を伴いながら全身に膿疱が出現するタイプを「膿疱性乾癬」といい、難治性であり特定疾患に指定されています。

GCAP(顆粒球除去療法)施行の実際

GCAPの準備方法・プライミング

【物品の準備】

  • 血液浄化装置
  • 吸着器
  • 回路
  • 抗凝固剤

【プライミング方法】

  1. 吸着器を生理食塩水1500mlで洗浄。
  2. 吸着器を抗凝固剤添加生理食塩水500ml(ヘパリン2000単位又は、メシル酸ナファモスタット20mg添加)で洗浄。
  3. プライミング完了後は、血液が下から上に流れるように吸着器をセットする。

※ GCAPのプライミングは、とにかくエアーが抜けにくい。抜いても抜いてもボコボコと出てきます。頑張ってエア抜きをしましょう。

GCAPの治療条件

【治療条件】

  • 血流量:30ml/min
  • 時間:1時間
  • 血液処理量:1500~2000ml
  • 抗凝固剤:ヘパリン又はナファモスタットメシル酸塩
    ヘパリンでは、初回1000~3000を初回ワンショットして、持続500~1500単位/h投与。
    ナファモスタットメシル酸塩では、持続20~40mg/h投与する。

※ 出血傾向がある場合は、ナファモスタットメシル酸塩を使用する。

GCAP(顆粒球除去療法)の保険適応〔平成28年〕

材料価格は、123000円、処置料2000点

潰瘍性大腸炎

重症・劇症患者及び難治性患者に対して、活動期の病態の改善及び緩解導入を目的として行った場合に限り算定できる。

一連につき10回を限度とする。ただし、劇症患者は11回を限度として算定できる。

クローン病

栄養療法及び既存の薬物療法が無効又は適用できない、大腸の病変に起因する明らかな臨床症状が残る中等症から重症の活動期クローン病患者に対しては、緩解導入を目的として行った場合に限り算定できる。

実施回数は、一連につき10回を限度として算定する。

膿疱性乾癬患

薬物療法が無効又は適用できない、中等症以上の膿疱性乾癬患者に対しては、臨床症状の改善を目的として行った場合に限り、一連の治療につき1クールを限度として行い、1クールにつき週1回を限度として、5週間に限って算定できる。

GCAP(顆粒球除去療法)の注意点

【注意点】

  • 顆粒球数2000/mm3以下の患者、感染症を合併している患者には、禁止。
  • ACE阻害薬との併用は禁忌!(ショック発生の報告あり)
  • 濾過器内のエアーを十分に除去すること(エア抜き不十分だと治療中にチャンバーの液面が下がる。)
  • 治療中の吸着器に血液を流す向きは、下から上に流れるようにセットする。
  • 返血時は、カラムに振動を与えないように反転させて行う。

※ その他、注意点についてはアダカラム添付文章をご確認ください。

GCAP(顆粒球除去療法)のまとめ

GCAPでは、吸着器にビーズが使用されている為、治療中に回路内が上昇することがほとんどなく、安定して実施することができます。顆粒球・単球の吸着量は、LCAP(白血球除去療法)の方が高いですが、潰瘍性大腸炎に対する効果はどちらも同程度に認められています。