透析患者の貧血の治療方法とは!腎性貧血の投薬について

透析患者さんの貧血の治療では、ESA製剤の投与、鉄剤の投与、輸血が行われています。それぞれの方法について、透析医学会の「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」を参考に簡単にまとめました。

SPONSORED LINK

ESA製剤投与について

ESA製剤とは

腎性貧血の一番の原因は、末期腎不全により腎臓からの血液を造るのを助けるホルモンである『エリスロポエチン』の分泌が少なくなるためです。

そこで、腎性貧血の場合は、人工のエリスロポエチン製剤を投与する必要があります。エリスロポエチン製剤は、透析患者の約83%が使用しており、1989年に米国のアムジェン社が開発し、現在でも多くの透析患者に使用されています。

透析患者の、エリスロポエチン製剤投与は、透析終了時に静脈回路から注射します。

ESA製剤の投与開始基準

2008年版日本透析医学会の『慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン』によれば

投与開始基準は、Hb値10g/dL 未満で、目標Hb値を10~11 g/dL(週初めのHD前の仰臥位採血による値)、Hb値12 g/dL を超える場合を減量・休薬基準とするとあります。

ガイドラインでは、貧血の判断及び、目標値にはHt(ヘマトクリット)は含まれておらず、Hbのみの判断となっています。

ESA製剤の投与により高血圧症の合併の恐れがあるため、Hbは一カ月に1~2g上がるように調整して投与する必要があります。

鉄剤投与について

鉄剤の投与開始基準

鉄やフェリチンが低下して、鉄欠乏性貧血を起こしている場合は、鉄剤の投与をします。透析患者では、鉄が不足している患者が比較的多くいます。

トランスフェリン飽和度(TSAT)と血清フェリチン濃度を標準的検査として用い,鉄補充療法の開始基準は、TSAT20%以下、および血清フェリチン濃度100ng/mL以下の場合が、鉄剤投与の開始基準です。また、MCVによる小球性貧血の確認も診断の助けになります。

TSAT(%)=〔血清鉄(mg/dL)/総鉄結合能(TIBC)(mg/dL)〕×100

鉄剤の投与方法

透析患者への鉄剤の投与は、透析終了時に静脈回路より注射します。注射量は40~50mgで、週一回で最大3カ月間にわたって投与するか、毎透析時に計13日投与する方法があります。

静注鉄剤は、投与直後にショックを起こすことがあるので、ゆっくり投与する必要があります。

鉄剤を投与して、一週間後の採血結果を確認して再評価します。

鉄過剰にならないように注意!!

鉄剤の投与では、鉄の過剰投与にならないために、総不足Hb鉄量を計算して投与する必要があります。総不足Hb鉄量とは、Hbを造るのに不足している鉄分の量です。

透析患者の場合は次の式で計算できます。

※総不足Hb鉄量=[(12-患者Hb値)/100]×体重×65×3.4

上記の方法で、鉄の投与量をきめます。あとは、大切なのは鉄剤投与禁忌の患者さんがいることです。鉄剤によりアナフィラキシ―の既往、鉄剤過敏症は禁忌です。また、C型肝炎などでは、鉄過剰では肝炎の悪化を促進する恐れがあるため慎重に投与しなければなりません。

輸血

ESA製剤の、開発により腎性貧血の治療のための輸血は減少しています。しかし、急激なHbの低下や、ESA製剤が利かない患者さんには、輸血を行う場合があります。

 

参考文献:2008年版日本透析医学会「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」

スポンサードリンク