高気圧酸素療法(HBO)とは?

HBOとは?

HBOとは、Hyper baric oxygen therapy の略称で、日本語で高気圧酸素治療といいます。HBOでは、閉鎖された空間に患者を入れて、高い気圧をかけることにより、血液中に溶解する酸素の量(溶存酸素)が増えることにより治療効果が期待されます。

もう少し詳しく説明しますと、血液中に含まれる酸素は、酸素含有量といいます。
酸素含有量は以下の式により表されます。

酸素含有量1

式を見て分かるとおり、酸素含有量の式の左半分は、ヘモグロビンに結合している酸素の量を表し、式の右半分は血液中に溶けている溶存酸素の量を表します。

式に一般的な値を代入してみます。

Hb(ヘモグロビン)=15mg/dl
SaO2=97
PaO2=100

これらを代入すると・・・

酸素含有量=1.34×15×97÷100+0.003×100となり計算すると
酸素含有量=194(Hbに結合している酸素)+3(溶存酸素)=197

となります。

このように溶存酸素は、体内の酸素のうち1~2%程度しか占めておらず、酸素含有量のうち溶存酸素はごくわずかなのです。

ただし、溶存酸素の量は、気圧に比例します。気圧にほぼ比例するため、通常の大気圧である1気圧から、加圧していくと、加圧した気圧に比例して溶存酸素が上昇します。2気圧にすれば2倍、3気圧にすれば3倍、4気圧にすれば4倍・・・と簡単にあげることが出来ます。

これが、高気圧酸素療法による血液の酸素化の原理です。

 

装置の種類

第1種装置

わが国において一般的に用いられているのが、第1種装置といって、患者一人のみを収容する小型のカプセル状の装置です。1種装置では、酸素にて加圧する酸素加圧と空気により加圧する空気加圧を選択することができます。

患者1人のみしか収容できないため、患者の容態を観察しにくいといった欠点があります。また、閉所恐怖症の患者では使用することが困難です。

1種装置

(相澤病院HPより引用)

第2種装置

第2種装置は、大型の装置で6人以上の患者及びスタッフが入れる装置になります。安全基準により酸素加圧が禁止されている為、空気加圧しかできません。

2種装置 (2)

(斎藤労災病院HPより引用)

 

BOの適応疾患

救急的疾患

救急的疾患については、以下の疾患を発症して1週間以内に実施することができます。

救急的適応疾患
急性一酸化炭素中毒その他のガス中毒
ガス壊疽
空気塞栓または減圧症
急性末梢血管障害(重症の熱傷、広汎挫傷、中程度異常の血管断裂を伴う松商血管障害)
脳塞栓、重症頭部外傷、開頭術後の意識障害または脳浮腫
重症の低酸素性脳機能障害
腸閉塞
網膜動脈閉塞症
突発性難聴
突発性の急性脊髄障害
急性心筋梗塞その他の急性冠不全
ショック

非救急的疾患

非救急的適応疾患では、疾患発症から1週間以上経過した以下のものが治療の対象となります。

非救急的適応疾患
放射線または抗がん剤治療と併用される悪性腫瘍
難治性潰瘍を伴う末梢循環障害
皮膚移植
スモン
脳血管障害、重症頭部外傷または開頭術後の運動麻痺
一酸化炭素中毒後遺症
脊髄神経疾患
骨髄炎または放射線性壊死

 

HBO施行時の注意点

火災

高気圧酸素療法を実施するうえで一番注意する必要があるのは、酸素療法を実施するカプセル内に火気類を持ち込まないことです。

過去に、高圧酸素治療中にホッカイロを持ち込み、カプセルが爆発して臨床工学技士を含む、数名が命を落とした事故も発生しています。患者の持ち物については、念入りに確認する必要があります。

鼓膜の損傷

高圧酸素治療中には、中耳腔内圧と外圧に圧力差が生じるため、っ耳抜きを実施する必要があります。これを適切に実施しないと、鼓膜が損傷したり、耳痛が生じる原因となります。

酸素中毒

酸素は、人間にとって必要不可欠なガスであるため、体に良いものという誤解がありますが、実際には高濃度の酸素は人体にとって有害な作用がたくさんあります。

酸素中毒になると、めまい・視覚障害・痙攣などの症状が出たり、台棒幕の損傷や、DNAの損傷など不可逆的な障害を与えてしまうことがあります。


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1 個のコメント

  • 興味深く拝見しました。
    高気圧酸素治療のこととして読むと、錯誤は
    酸素含有量=1.34×15×97÷100+0.003×100となり計算すると
    酸素含有量=194(Hbに結合している酸素)+3(溶存酸素)=197
    正しくは、高気圧酸素治療環境下では
    酸素含有量=1.34×15×1(高気圧酸素下ではSpO2は完全飽和します)+0.0031×1,433(760×2.0 ATA-(PH2O:47+PACO2:40))となり、計算すると酸素含有量(CaO2)=20.1 vol%(Hbに結合している酸素量)+4.4 vol%(血漿に溶解した酸素量)=24.5 vol%
    高気圧酸素治療では、大気圧空気呼吸での酸素化に比べPaO2:100 Torr ➩1,433 Torr (14 倍の分圧を持つ拡散力)と溶解型酸素:0.31 vol% ➩4.4 vol%(14倍の溶解型酸素量)で合わせて28倍もの強力な酸素療法の1つです。

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