透析室での『B型肝炎』の基礎知識

細菌

B型肝炎とは

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルス(HBV)が血液を介して感染することで発症するウイルス性肝炎一です。

成人の場合は、感染すると90%は急性肝炎を発症した後、ウイルスが排除されて治癒します。残りの10%の人はウイルスが体内に残り、慢性肝炎となります。

まれに、急性肝炎が増悪して、劇症肝炎を発症する場合がありますが、高い確率で死亡してしまいます。

過去に、透析施設でB型肝炎の院内感染により劇症肝炎を発症して死亡した事故は複数あります。(参照C型肝炎・B型肝炎

B型肝炎ウイルスに感染

(肝炎情報センターHPより引用)

透析患者のHBV陽性率

全国でのB型肝炎の陽性率は、約1%です。それに対して、透析患者のB型肝炎の陽性率は男性2.12%、女性1.78%(2007年末)です。透析患者の場合、一般の人の2倍の陽性率になります。個人的には、もっと多いように感じます。

透析患者に、肝炎陽性患者が多い理由としては、1990年にエリスロポエチン製剤が発明されるまでは、貧血の透析患者は輸血の選択しかありませんでした。輸血製剤の検査も今のように厳格ではなく、輸血により肝炎に感染するリスクが非常に高かったようです。

現在では、貧血患者に対してはエリスロポエチン製剤での治療が行えるようになったことや、輸血製剤の検査も厳格になり、輸血により肝炎に感染することはなくなりました。

ただ、輸血以外にも肝炎に感染する危険性があります。B型肝炎ウイルスは、非常に感染力が強いため院内感染の危険性が高いためです。特に、透析室は、一般病棟とは異なり、血液が頻繁に飛散する環境ですので注意が必要です。

B型肝炎ウイルスの感染力が強い特徴として、空気中では最低1週間生きていることができます。そして、飛散して目には見ることのできない血液量でも十分に感染させる力があります。

透析室のスタッフを媒体としてウイルスが運ばれたり、シーツやオーバーテーブルに付着したウイルスが体内に侵入することにより感染する危険性があります。

透析スタッフの場合は、ウイルスが傷口や粘膜から侵入して感染する場合や、針刺し事故により感染するリスクがあります。B型肝炎の患者に使用した注射針の針刺し事故による感染の確率は、約30%と非常に高率です。(C型肝炎の場合は3%、HIVは0.3%と言われています。)

 

ガイドラインを厳守しよう

このように、B型肝炎ウイルスの感染力は非常に強く、院内感染の危険性が高いことから、これらを防ぐために様々なガイドラインが作成されています。

透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン(四訂版)
日本透析医会にり発行されたガイドラインです。透析室に対する感染予防は、このマニュアルを参考にすると良いです。B型肝炎・C型肝炎についてはP81より記載されています。

院内感染対策マニュアル(2010年度版)
東京都福祉保健局により作成された院内感染対策マニュアルです。ネットで探すとたくさんのガイドラインが見つかります。

感染予防のガイドラインは、いろいろあります。これらを参考に院内の業務マニュアルを作成・実施するといいと思います。

 

B型肝炎予防ワクチン

A型肝炎とB型肝炎は、ワクチンがあります。事前にワクチンを摂取して、ウイルスによる抗体をつくっておくことにより肝炎に感染することを防ぎます。

ちゃんとした病院では、スタッフに対するワクチンの接種が強制されますが、適当な病院では希望者のみだったり、料金が自己負担だったりします。針刺し事故や血液に触れる恐れのある業務を行う場合はワクチンの接種をしておくことをお勧めします。

ちなみにB型肝炎のワクチン接種は、複数回必要です。初回接種して、約4週間後に2回目の接種、4~5か月後に3回目の接種を行います。3回の接種が終わると、交代が作られているかの検査をします。作られていない場合は、ワクチンの接種が必要です。

B型肝炎のワクチンは、比較的高く一回6千円~8千円です。やや高額ですが、感染のリスクを考えると必ず摂取することをお勧めします。過去に劇症肝炎で亡くなった医療スタッフもたくさんいますので。

 まとめ

スタッフは、自分が感染しないようにするのは自己責任です。ワクチン接種することや、安全な手技を心がけましょう。患者さんの場合は、スタッフや病院のされるがままです。患者さんが不利益をこうむらないようにしっかりと感染症対策をしましょう。

感染症対策についておろそかな透析施設は、まだまだたくさんあるのが現状です。

 

(参考文献)

肝炎情報センターHP(http://www.kanen.ncgm.go.jp/forpatient_hbv.html)

B型肝炎の症状と検査完全ガイド

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