透析での抜針・出血時の対処と予防法について紹介します

血液透析の事故で、頻度が多く大変危険な事故が抜針による出血事故です。私の勤務する施設でも、年間2~3件程発生しています。

原因は、『痴呆患者による自己抜針、透析回路の接続部外れによる出血、穿刺部位からの出血』などありますが、痴呆患者の自己抜針の頻度が高いように感じます。

今回は、抜針により出血を発見した時の対応方法と予防方法について紹介します。

出血発見時の対応

透析中は、血液ポンプによりたくさんの血液が流れています。回路離脱や、抜針が起こると、急速に失血が起こります。

循環血液量の20%を急速に失血すると出血性ショックとなり、30%以上の失血では生命の危険が生じます。出血発見時に、いかに素早く対応するかが以後の患者の容体を左右します。
出血時には、たくさんすることがある為、一人で対応せずに複数人で対処することが大切です。

それでは、以下に自己抜針による出血を発見した場合の対応手順を紹介します。

<初めの行動>

1.警報音を消音
2.血液ポンプを止める
3.応援を呼び、患者側、装置側、Drに連絡するの3人に分かれて対応を行う。

<患者側>

1.患者側の対応は、2人程度いることが望ましいです。
2.一人が、出血部位の止血をする。
3.血圧を測定してバイタルの確認を行います。
4.患者のバイタルに異常があったり、ショックになっている場合は、蘇生処置(呼吸確保、酸素吸入、緊急輸血、強心剤、症圧剤)を行います。

<装置側>

1.装置側の対処は、患者の容体をDrに報告してDr指示で行動を決めます。
2.返血を行う又は、そのまま、透析を再開するかの2パターンです。
3.出血量が少なく、患者バイタルに変化がなければ、透析再開をします。
4.出血量が多く、バイタルに異常があったり、患者がショックになっている場合は、医師の指示で、返血・生食の急速補液を行います。
5.透析を再開する場合は、抜針部の止血が終わって、再穿刺後に透析を開始する必要があります。
6.止血して、再穿刺するまでに時間がかかります。透析回路の血液ポンプを停止したままにしておくと、血液が固まってしまいます。
7.再穿刺して、バスキュラーアクセスの確保ができるまで血液回路を外回し(空回し)させておきます。
8.止血して、バスキュラーアクセスの確保ができたら透析を再開します。

<Drに連絡>

1.透析中に抜針したことを伝える。
2.どの程度出血したか、患者の血圧・意識の有無等を伝える。
3.返血するか?透析を継続するか?補液するか?をまず早急に確認して、現場のスタッフに伝えます。
4.採血をして、貧血になっていないかなど(ヘマトクリット、ヘモグロビン)を調べるか?など確認します。

抜針の予防方法

抜針の原因で多いのが、自分で針を抜いてしまう自己抜針と、透析回路と患者刺した針との接続が緩んで外れてしまう回路の離脱がおおいです。

回路の離脱については、他の人が接続部をダブルチェックすることを業務のマニュアル化することで対策することができます。

患者の自己抜針には、自己抜針を防ぐ器具が販売されています。販売されている器具以外にも透析回路の袋で自作している施設もあるようです。

NEホルダー及び、NEホルダー用抜管防止カバー

NEホルダー日本衛剤株式会社HPより引用
(http://www.eizai.co.jp/?p=957)

まとめ

透析中に抜針や回路の接続外れによる出血は、あってはならない事故ですが完全に防げていないのが現状です。『どうすれば、抜針事故を減らせるか?もし、抜針した場合どうすれば早期に発見できるか?』を日頃から考えて業務を改善していくことが必要です。

例えば、透析装置の警報設定値を変えてみたり、出血を検知する機器が発売されているのでリスクが高い患者に使用したらいいかもしれません。

現状の手技や方法に、問題がないかをよく考えて、抜針したときにどのように対応するかなどのマニュアルを作成しておくことが必要だと感じます。

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2 件のコメント

  •  58歳、男 透析開始から約2年ほどになります先日針を刺すときに間違えて血管を傷つけれられてしまい左腕上腕、ひじから手首までパンパンに腫れてしまいました、痛みが酷いので夜間救急で見てもらいました、とりあえずシップと痛み止めをもらって帰って来ました、病院サイドからお詫びの電話だけでした、自分は腕が使えず仕事を休みましたがお見舞いもありません、こういう場合は何も請求出来ないのでしょうか。
    誰か教えて下さい、泣き寝入りはしたくありません、またこのようなことはよくあるのでしょうか。

    • 穿刺時に、血管をつらぬいたり、血管内に確実に針が入っていないのに血液ポンプを回転させて透析すると、血管から血液が漏れたり、透析回路内の生食が血管外にもれて腕がパンパンになります。
      そこまで腫れたということは、返血側の穿刺部位が血管内に入っていないのに血液ポンプを回して、血管外に生食がたくさん入って腫れたのでないでしょうか?おそらく、静脈圧上限警報が発生して、腕を確認されたときには、すでにパンパンに腫れていて、抜針したのではないですか?

      このようなミスを犯すのは、経験の短い技士ではときどき見かけます。私自身も、2,3年目くらいの時に数回犯してしまったことがあります。また、後輩を見ていても、このような失敗をしたことがない人は皆無です。ただ、そこまで腫れるまでに気付いて対処するのが、殆どですが。。。

      穿刺した後に、絶対に血管に入っていると確認する方法は、超音波装置やエックス線で撮影しない限り不可能ですし、確実に針が血管に入っていたとしても、針と血管の隙間から血液が漏れる場合もあります。経験年数が多い技士では、このようなミスをする確率は数年に1回あるかないかだとおもいますが、経験が少ない技士の場合、針が確実に血管に入っているという感覚が分かっていない人も多いように感じます。

      訴えてもおそらく、賠償金などの請求は難しいと思います。穿刺に失敗して、内出血したり腫脹することは、透析業務ではよくあることだからです。絶対に100%穿刺で成功することは、どんなにうまい人でも不可能です。

      おそらく、このようなことに、再び遭遇する可能性は0ではないと思います。どのようなタイミングで腕が腫れたかわ分かりませんが、穿刺した瞬間に腫れたのであれば、対処の使用がありません。うまい人に刺してもらうしかありません。

      透析のポンプを回しだして腫れたのであれば、穿刺部をよく観察して、腫脹していたら早めにスタッフを呼んで対処をしてもらうということで、被害を小さく抑えることができると思います。

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