ダブルルーメンカテーテル(中心静脈カテーテル)の透析での管理方法と「挿入の介助方法」について

ダブルルーメンカテーテルの管理

ダブルルーメンカテーテルとは

緊急での血液透析が必要になった場合、ブラッドアクセスの確保に、ダブルルーメンカテーテルを挿入します。病棟では、中心静脈カテーテル(CVC、バスキャス)と読んだりします。

中心静脈とは、血液が心臓にもどる手前の、太い静脈のことを言い、鎖骨下静脈、内頸静脈、大腿静脈などがあります。中心静脈カテーテルは、血液透析ではブラッドアクセスとして使用しますが、他の診療科では高カロリー輸液をする為に挿入ししたりします。

ブラッドアクセス
<東郷メディキット株式会社HPより>

カテーテル挿入部位

血液透析で使用する場合のダブルルーメンカテーテルの挿入場所の第一選択として、右内頸静脈もしくは、大腿静脈が使用されます。
鎖骨下静脈を痛めてしまって、狭窄させると、今後内シャントを作製した場合に、内シャントからの血液の戻り道が狭くなり、静脈高血圧になる恐れがある為、透析患者の場合は、鎖骨下静脈を使用しません。

静脈
<ゆめとあより>

私の経験上、内頸静脈より大腿静脈のほうが、血流をより多く採れて、脱血不良になる頻度が少ないように感じます。ただし、感染症のリスクから、右内頸に挿入されることが多いです。左内頸静脈を使用しない理由としては、心臓が近辺にある為、後穿刺してしまうと危険だからだと思います。

CVCカテーテルの管理方法

中心静脈カテーテルは、感染の頻度が高く清潔操作にはかなり慎重に行う必要があります。アメリカの統計では、1000日で約3回ほどの感染を起こす頻度があるそうです。また、CVCからの感染では、それが原因で死亡するリスクも高いようです。

フラッシュ

透析で使用する為に、ダブルルーメンカテーテルを挿入した場合は、透析をしない日も、カテーテル内をフラッシングして、カテーテル内の血栓を除去してやる必要があります。
基本的に、透析日以外も、一日一回行います。

具体的な方法は、カテーテルのシリンジ挿入部をイソジンなどで消毒後、シリンジで血液を、3~5cc程引いて、血液をガーゼの上に破棄して、カテーテル内の血栓の除去・確認をします。血栓除去後に、シリンジでへバリンの原液を、2cc程挿入します。これを、AV両方とも行います。

注意しなければならないのは、カテーテルの素材によっては、アルコールで消毒すると破損する場合があるので、アルコールをを使用する場合は、使っても大丈夫か製品の添付文章をしっかり確認しましょう。

CVCカテーテル挿入部の消毒

挿入部の消毒頻度は、施設により異なるようです。毎日行っていたり、週に1回だけの施設もあります。私の施設では週に1回、ポビドンヨード(イソジン)で消毒して、フィルム型ドレッシングを貼ります。週に1回で大丈夫なのか?という意見がありますが、この方法で、感染はほとんど起こしていません。消毒頻度を多くすることにより、感染のリスクが少なくなるという事は、立証されていないようです。ただ、血液浄化療法ハンドブックには、
『トンネル感染の予防には、CAPDと同様に毎日の消毒と、出口の観察が必須』と記載されています。

入浴

入浴は、挿入部位を濡らさないように注意する必要があります。右内頸静脈に挿入している場合は、胸以下をシャワーで流すことができますが、胸から上は、清拭をすることになります。

透析開始の手技

透析開始の手技は、上記のフラッシュ後に、血液回路に接続します。

CVCカテーテルトラブルの対処

【脱血不良】

血液透析において、ダブルルーメンのトラブルで一番多いのが、脱血不良です。原因としては、血管内の血流不足や、カテーテルが血管などの壁に当たっていることです。壁にカテーテルが当たっている場合は、患者の頭の向きを右や左に向きを変えてもらったり、枕をはずして、首の角度を変えたりします。それでも駄目な場合は、カテーテルの固定をDrに外してもらい、カテーテルを回転させたり、ひいたりして調整してもらいます。

低アルブミン血症による血管内脱水の場合は、アルブミンの補液が効果が出る場合もあります。

【感染】

ダブルルーメンは、感染のリスクが非常に高く、感染を起こした場合は、直ちにダブルルーメンを除去する必要があります。その後に、抗生剤等を注射して、感染症の治療を行います。

近年透析においては、長期型留置カテーテルが開発されて多くの施設で使用されています。長期型カテーテルでは、10cm程の皮下トンネルを作製することにより挿入部からの感染のリスクを低減させます。

【詰まった場合】

血栓でカテーテルが詰まった場合は、ウロキナーゼをカテーテル内に挿入して、30分から60分後に、吸引する方法が効果的です。

挿入の介助

必要物品

(カテーテル挿入に必要な物品)

・カテーテルキット

(https://www.terumo.co.jp/medical/equipment/me34.htmlより)

(https://www.terumo.co.jp/medical/equipment/me34.htmlより)

・ディスポーザブル処置用シーツ
・消毒薬
・局所麻酔薬
・ヘパリン生食
・絆創膏
・セーフティボックス(使用済み針入れ)

(術者の準備)

・滅菌ガウン
・滅菌手袋
・マスク
・アイシールド
・帽子

介助・CVカテーテル挿入の流れ

※介助者が行うであろう手技は、茶色で色を付けています。

①患者に仰臥位になってもらい、肩の下に処置用シーツを挿入する。
②超音波エコーで静脈の位置を確認する。
③処置台の上に不織布(清潔なシート)を広げて清潔野を作成する。ヘパリン生食、CVカテーテルキットを処置台の上に出す。
④マスク、帽子、滅菌手袋を着用する。
⑤介助者は、滅菌ガウンを無菌的に医師に渡して、着用の介助を行う。
⑥医師は、カテーテル挿入部位を消毒する。
⑦穴あき滅菌布で穿刺部を覆う。
⑧局所麻酔薬を開封し、医師にシリンジで吸ってもらう。
⑨医師は、局所麻酔を行う。
⑩ヘパリン生食を入れたシリンジの先に穿刺針を接続して、静脈に穿刺する。
⑪内筒を抜去し、ガイドワイヤーを外筒に挿入する。
⑫外筒を抜去し、ガイドワイヤーを介してCVカテーテルを挿入する。
⑬挿入部位を縫合する。
⑭CVカテーテル挿入部位を消毒する。
⑮接続部を滅菌ガーゼで包み、穴あき滅菌覆布を除去する。
⑯絆創膏でカテーテル挿入部位を固定する。
⑰CVカテーテルの挿入位置確認のためX線撮影を行う。
⑱挿入部位に問題がなかったら、絆創膏をはがして、消毒薬で再度消毒する。
⑲消毒薬が乾いたら、透明フィルムドレッシング材で覆う。

まとめ

近年、透析患者の高齢化や、重症な透析患者が増えて、内シャントが作製できない症例が多くなっています。その為、ブラッドアクセスとして長期留置カテーテルを選択せざるを得ないことが多くなっています。

私たちスタッフは、感染を起こさない為に、患者にしっかり教育すると同時に私たち自身も誤った操作で感染を起こさないよう注意する必要があります。

日本透析医学会のバスキュラーアクセス留置のガイドラインも参考にしてください。

参考文献
血液浄化療法ハンドブック