透析患者の心臓の特徴とは?狭心症,心肥大,弁膜症を理解しよう。

なぜ心疾患で亡くなるのか

透析患者の死亡原因の1位は、心血管系の合併症です。心不全,心筋梗塞などの心臓の合併症でなくなる患者さんが全体の約30%を占めます。

なぜ、心血管系合併症でなくなる患者さんが多いのでしょうか?

それは、透析患者さんは透析導入に至るまでに既に何らかの心臓系の合併症を抱えている場合が多いからです。

それに加えて透析導入後に、溢水や高カリウム血症など、心臓に負担を与えてしまう状況が重なることにより、心不全、不整脈などを合併しやすく最悪それが原因で死亡してしまいます。

今回は、透析患者さんはどのような心臓の疾患に陥りやすいかを紹介します。

透析患者の心臓の特徴

冠状動脈の狭窄

冠状動脈とは、心臓に栄養や酸素を送る為の血管です。この血管には心拍出量の約4%ほどの血液が流れています。また、心臓は全身で使用する酸素の10%を消費しており、人体で最も酸素をたくさん消費する場所です。

もし、血管が詰まったりして心臓が酸素不足になると、そこの心臓の組織は壊死してしまいます。(心筋梗塞という)心臓の細胞は、一度死ぬと再生しないので壊死した範囲が広いと不整脈が頻発したり、心拍出が十分にできなくなったりして、心移植以外に治療方法がなくなってしまいます。

透析患者の場合は透析導入時に既に、冠状動脈が狭窄(細くなる)している確率が高いと言われています。特に、高血圧患者や糖尿病患者、喫煙者などには、高確率で狭窄をきたしています。狭窄の原因は、血管の壁にコレステロールやカルシウムなどが沈着する動脈硬化が原因です。

さらに、透析患者で狭心症による自覚症状を感じている割合は、半分程度だそうです。自覚症状がない患者は、心電図検査などの以上により発見されることが多いそうです。幸い、冠状動脈の狭窄の場合はカテーテルにより治療することが可能です。

高血圧性心筋症

高血圧性心筋症とは、長い期間血圧が高い状態が続くことにより心肥大(心臓が大きくなる)が起こる病態です。血圧が高いということは、末梢の血管抵抗が高いということを意味します。抵抗が大きいと、心臓(左心室)から全身に血液を送り込むのにより強い力が必要となります。負担がかかるので、心臓はそれに適応して肥大します。

心臓が肥大するとなにがよくないのかと思うかもしれませんが、心臓が肥大すると、心臓が収縮しにくくなり心臓のポンプ機能(血液の拍出量)が低下します。

また、心肥大では心臓の細胞が増えて大きくなるのではなく、心臓の壁のそれぞれの細胞が大きくなります。細胞が大きくなるとその分、心臓の酸素必要量も多くなります。心臓に酸素を運ぶ冠状動脈は大きくなったりしないので、その分心筋虚血に陥りやすくなります。

透析導入の原疾患に多い糖尿病では、いろいろな要因で血圧が上昇しやすくなります。さらに、慢性腎不全になり腎臓の血流が低下すると、レニンという血圧を上昇させるホルモンの分泌量が増加します。このようなさまざまな理由で多くの透析患者は、高血圧の問題を抱えています。多くの患者さんは降圧剤を使用しながら血圧を管理しています。

弁膜症性心筋症

弁膜症性心筋症とは、心臓の弁がうまく機能しないことにより心筋障害が発生する症状です。

周知のとおり心臓には、4つの弁があります。

大動脈弁:大動脈にある弁。大動脈の血液の逆流を防ぐ。
肺動脈弁:肺動脈にある弁。肺動脈の血液の逆流を防ぐ。
僧帽弁:左心房と左心室の間にある弁。左心室から左心房への血液の逆流を防ぐ。
三尖弁:右心房と右心室の間にある弁。右心室から右心房への血液の逆流を防ぐ。

透析患者さんの場合、これらの弁が石灰化して、弁の動きが悪くなることがあります。特に頻度が多いのが、大動脈弁の石灰化による狭窄と僧帽弁の閉鎖不全と言われています。

大動脈弁が狭窄すると左心室から全身に血液を送りにくくなります。(後負荷が増大する。)僧帽弁が閉まりにくくなると、血液が逆流して心臓内で血液が滞留して心臓内での血液が充満して心筋が引き伸ばされて心肥大を引き起こします。

まとめ

今回は、透析患者に代表される心疾患3つを紹介しました。特に、心肥大や弁の石灰化などは不可逆的であり治療が困難な病態です。心肥大については、透析間の体重増加量なども、大きな因子になりますので私たちスタッフが適切に指導することが大切です。弁の石灰化については血中P,Caの管理をしっかりすることが予防になると思われます。

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