初めに覚えたい透析患者の採血の基準値

公開日: : 最終更新日:2015/05/28 基礎知識(透析), 検査, 血液検査, 血液透析

透析患者さんは、月に2回、週初めの透析の直前に採血を行います。これは、透析で毒素の除去が十分に行われているのかを確認するために行っています。

なぜ、週初めに採血を行うのかというと、週初めは透析をしてから2日間空く為、1週間で最も毒素がたまった状態です。もっとも悪い血液の状態の時の血液データが基準内であれば、その他の日も安心ということです。

採血データは、たくさんの項目がありますが、まず1番初めに覚えてもらいたい項目について説明したいと思います。
K(カリウム)、P(リン)、Ca(カルシウム)、Hb(ヘモグロビン)、Alb(アルブミン)、CRP、BUNの7つについて説明します。

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K(カリウム)

基準値

3.5~5.5mEq/L

説明

Kは、透析患者さんにとってもっとも注意しなければならない電解質です。透析患者さんの場合、Kが腎臓から排出できないため、Kが高くなることに注意が必要です。

Kが上昇すると、体の脱力感、口唇周囲の痺れ、知覚異常が発生します。そして、もっとも危険な症状は不整脈をきたし、心臓停止を起こすことです。年に数回、Kが高くなりすぎて、救急車で搬送されてくる患者さんがいます。

P(リン)

基準値

3.5~6.0mg/dL

説明

PはCaと結合してリン酸カルシウムとなり骨を作る主成分になります。しかし、透析患者さんの場合、腎臓からPを排出できないため、Pの値が高くなります。Pの値が高くなると異所性石灰化のリスクが高くなります。

異所性石灰化とは、骨以外のところにリン酸カルシウムが沈着して石灰化(骨になる)が起こります。具体的には、血管や心臓、脳に異所性石灰化が起こります。血管が、石灰化を起こすと、動脈硬化になり、心筋梗塞(心臓の血管が詰まって心臓が壊死する)や脳梗塞(脳の血管が詰まって脳細胞が死ぬ)を起こします。

異所性石灰化を防ぐには、Pの値を基準値内に収めることが大切です。Pの値を基準値内に収めるには、Pを含む食べ物を食べすぎないこと、十分な透析でPを除去すること、透析だけでPの除去が不十分の場合は、P吸着剤を適正に服用することです。

Ca(カルシウム)

基準値

8.4~10.0mg/dL

説明

Caは、P(リン)の項目で書いた通り、CaとPで結合してリン酸カルシウムとなり骨を作ります。Caの値が基準値以上になると、異所性石灰化のリスクが上昇します。Caは、乳製品に多く含まれるので、牛乳、チーズ、ヨーグルトの摂取は控える必要があります。

Hb(ヘモグロビン)

基準値

10~11mg/dL(通常透析患者)
11~12mg/dL(活動性の高い若年者)

説明

Hb(ヘモグロビン)は、血液の中に含まれる血球です。酸素を運ぶ働きがあります。透析患者さんでは、腎臓でエリスロポエチン(血液を作るのを助ける物質)があまり作られなくなります。その為、透析患者さんは、Hbの値が低下して貧血になってしまいます。

Hbの値を上げる為に、人工の造血ホルモン剤を注射する必要があります。透析患者さんのHbの基準値は、透析をしていない人の基準値に比べると低めに設定されています。

透析で急激に除水(水を抜く)為、透析後では血液が濃くなります。その為、血液がドロドロになって血管が詰まってしまう恐れがあるため、Hbの値は透析をしない人と比べると、低めに設定されています。

Alb(アルブミン)

基準値

3.5g/dL以上

説明

アルブミンは、栄養摂取量の指標(きちんとしょくじできているか)として使われます。アルブミンの値が3.5g/dL以上であれば、長生きできるということが学会で報告されています。

アルブミンは、タンパク質を含む食事を食べることにより、上昇します。アルブミンの値を維持するためには、1日60g(正確には体重1kgあたり1.2g)のタンパク質を摂取する必要があります。

CRP(C反応性蛋白)

基準値

0.5g/dL以下

説明

感染症(風邪)などの感染症で上昇します。CRPが上昇した場合は、原因を調べてそれに対する治療が必要です。

BUN(血中尿素窒素)

基準値

90mg/dL以下

説明

BUNは、体内でタンパク質が分解されてできる最終の物質です。透析患者さんでは、腎臓から排出されないため上昇する為、血液透析で除去します。BUNの値は、透析の量が十分に足りているかという指標になります。BUNが高い場合は、透析時間の延長や血液流量を上げる必要があるかもしれません。

まとめ

採血の検査値は、他にも多数ありますが今回紹介したものが最重要項目です。とりあえず、これを覚えましょう。採血の検査値は患者さんにもよく聞かれるので、分かりやすく説明できるようにしておきましょう。これらの基準値は、透析医学会のガイドラインを参考にしています。

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