透析患者の抜針後の止血方法について

はじめに

透析が終わった後は、2本穿刺している針を抜いて抜針します。ただし透析患者に穿刺している針は動脈と静脈を吻合した内シャントや、人工血管、動脈表在化などが使用されているため、とても勢いがよいので、上手に止血しないと勢いよく出血します。

また、内シャントには、内シャントならではの止血のコツがあります。今回は、『透析後の抜針・止血の方法について』簡単に紹介します。

 

抜針の手順

  1. 手指消毒後にマスク、手袋、ガウン、ゴーグルを装着する
  2. 針の上に圧迫綿をのせる。
  3. 針を抜くと同時に圧迫綿を押さえつける。
  4. 2本とも上記の手順で抜針する。

 

抜針のちょっとしたポイント

圧迫する力

内シャントや、グラフの止血時の圧迫は、出血がない力の強さであり、かつ内シャントのスリルを感じられる圧迫の強さでなければなりません。スリルが感じられない場合は、圧迫の強さが強すぎて、シャント血流が完全に止まっています。強すぎる圧迫は、シャント血流を止めてしまい、血栓形成による内シャント閉塞を引き起こしてしまいます。

止血時間

止血時間は、患者やバスキュラーアクセスの種類により異なります。

内シャント→10分
グラフト→15~20分
動脈表在化血管→30分
が止血時間の目安です。

時間の経過とともに、圧迫の強さを弱め、時間が来たら、完全に止血できていることを、圧迫綿をめくって目視で確認します。

AVどちらから抜針するか

どちらから抜くか決まりはありませんが、動脈側から抜いたほうが出血しにくいように感じます。
静脈側を先に抜いて、圧迫して、動脈を後から抜くと、腕を圧迫された感じ(駆血された)ようになる為、動脈側から抜く方が出血しにくくなります。特に、血液の勢いが強く、抜針後によく出血してしまうような患者に試してみてください。

出血しやすい患者の場合は

上手に抜針しても、止血に失敗して出血してしまう患者もいます。いろいろ原因がありますが以下の原因が考えられます。それぞれの原因を確認して、原因究明して対処が必要です。

同一部位の反復穿刺

同一部位を繰り返し穿刺すると、血管壁が薄くなったりして、針孔が大きくなり、止血困難になることがあります。

シャント肢中枢側の血管の狭窄

シャント肢の中枢側の血管が狭窄すると、シャント血管内の圧力が上昇します。そうなると、血管内の圧力が上昇するため止血時に出血しやすくなります。

抜針まえの消毒は必要?

抜針前に針先を消毒する施設と、消毒しない施設があると思います。以前は、私の施設でも抜針前に消毒していましたが、消毒しても消毒しなくても感染のリスクが変わらないということが報告されているので、抜針前に消毒はしなくなりました。

透析施設における標準的な操作と感染予防に関するガイドライン(四訂版)においても、抜針時に穿刺部位を消毒することは記載されていません。

 

まとめ

患者によっては、透析が終わったら早く帰りたいため、十分な時間を止血せずに帰ってしまう場合もあります。ただ、止血が不十分だと帰宅中に出血して大変な目に合う場合があります。止血の大切さを患者にしっかり理解してもらい、止血後は、聴診器でシャント音がすることを確認して帰宅することが大切です。



2 件のコメント

  • しがない田舎の透析医療関係者ですが、上肢から抜針時の消毒が必要ない根拠をさがせと命令されました。

    ネットでさがすとこのサイトでしか消毒が必要ないと言い切っているところがなかったので、おたずねします。

    消毒しても消毒しなくても感染のリスクが変わらないということが報告を探していますが、どちらで報告されているか教えてください。

    大変お忙しいとは思いますがよろしくお願い申し上げます。

    • 「透析施設における標準的な透析操作と感染予防に関するガイドライン」というのがグーグルで検索すると出てきます。これには抜針時に、消毒するということは記載されていません。それにより、消毒しなくていいと解釈しました。それ以外の文献は私もわかりません。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です