HITとアルガトロバンについて紹介します

血液透析での抗凝固剤には、ヘパリン・低分子へパリン・メシル酸ナファモスタットが多くつかわれます。ただし、これらの抗凝固剤が使用できない場合が稀にあります。そのようなときにアルガトロバンが使用されます。私が、透析室で勤務してからアルガトロバンを使用した患者は2人しかおらず、めったに使いません。

ただ、透析医療ではとても有名な抗凝固剤なので作用や特徴について知っておく必要があります。今回は、『HITについて・アルガトロバンの作用と特徴』について紹介します。

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HITとは

HIT(ヒット)は、非免疫学的に発生するⅠ型とへパリン依存性に自己抗体が出現するⅡ型に分類されます。HITⅡ型はヘパリンにより免疫学的機序を介して血小板減少が引き起こされ、時にトロンビンの過剰生成に起因する至死的な血栓閉塞症を併発することがあります。

へパリン使用者の1~3パーセントがHITに至るといわれており、HITⅡ型の発症時には、まずへパリンの投与を中止して、ほかの抗凝固剤に切り替えることが重要です。

アルガトロバン(合成トロンビン剤)とは

ヘパリンは、アンチトロンビンⅢ(AT-Ⅲ)と結合してXa、トロンビンなどの凝固因子を抑制します。
それに対して、アルガトロバンは、アンチトロンビンⅢを必要とせず、直接トロンビンの作用を阻害します。

2011年5月よりへパリン起因性血小板減少症(HIT)Ⅱ型における血液透析時の抗凝固薬として適応が拡大されました。
ちなみに、アルガトロバンの半減期30~40分程、分子量は530と小さいので、透析で除去されやすいサイズです。

アルガトロバンの適応

・先天的アンチトロンビンⅢ欠乏症
・後天的アンチトロンビンⅢ欠乏症
・へパリン起因性血小板減少症(HIT)Ⅱ型
・閉塞性動脈硬化症における四肢潰瘍・疼痛の治療

ヘパリンは、アンチトロンビンⅢと結合して効果が表れる薬剤なので、アンチトロンビン欠乏症では、ヘパリンが効きません。他には、HITのようなヘパリンに対して悪い反応を起こす場合に、アルガトロバンが保険適応となります。

アルガトロバン使用上の注意

原液のまま血液に投与すると溶血の恐れがあるため、生理食塩水で希釈して投与する必要があります。また、薬剤に起因すると考えられる出血性脳梗塞や脳出血に十分に注意し、血液凝固能検査などで出血管理を行うことが必要です。

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