i-HDF(間歇補充型血液透析濾過)についてのまとめ

公開日: : 血液透析, 透析治療に役立つ知識

i-HDFについて

はじめに

ニプロのNCV-3など、各社からi-HDFの機能を搭載した透析監視装置が発売されて数カ月経過しました。今年の透析医学会でもi-HDFについての研究発表が臨床工学技士を中心にたくさん行われました。

今回は、i-HDFについて治療条件と効果について学術大会で聞いたことを中心に簡単にまとめましたので紹介します。

i-HDFとは

i-HDFとはIntermittent Infusion Hemodiafiltrationの略称で日本語に訳すと、『間歇補充型血液透析濾過』といいます。

言葉だけを聞くと複雑そうな治療に聞こえますが、やってることは非常に単純です。

i-HDFでは間歇的(30分に1回程度)に逆濾過による補液を定期的に行い、補充液と同量の濾過(除水)を計画的に行う治療です。

オンラインHDFの一法として認められた治療法で、プラズマリフィリング促進により、治療中の血圧低下を抑制する効果があると報告されています。(参照:浅間コスモクリニック(i-HDF機能)

オンラインHDFと異なり、逆濾過により、ダイアライザの透析液側から血液側に直接補液されるのが特徴です。膜の逆濾過によりファウリング(タンパク成分の膜付着)の抑制が期待できるという長所もあるそうです。

ちなみにこの治療は、オンラインHDFと同様に「慢性維持透析濾過(複雑なもの)を行った場合」として保険請求が可能です。

i-HDFの条件設定

以下は、一般的に設定されるi-HDFの設定条件です。2016年の透析医学会でも以下の条件設定で施行している施設が大半でした。

条件

間歇補液開始時間: 20~30分
間歇補液間隔: 30分
間歇補液速度: 150ml/min
間歇補液量: 150~200ml
間歇補液後除水復帰時間: 10~20秒

30分に1回の間隔で、150~200mlの補液では、4時間の透析では7~8回の補液回数になります。7回×200ml で合計1.4L程度の補液しかしません。この程度の補液で、いったいどれほどの効果があるのだろうか?と疑問に感じていました。

i-HDFの物質の除去特性

I-HDFは大分子量物質の除去性能(α-1MG)において、HDとオンラインHDFの中間であるという報告がありました。小分子量物質~β2MG領域の除去特性については、HD、O-HDF、i-HDFで有意差は少ないそうです。まあ、膜や補液量の条件により大きく変わると思います。

i-HDFの効果

日本透析医学会学術大会では、以下の効果が報告されていました。

①血圧低下時の処置(10%NaCl投与,下肢挙上)回数の軽減
②透析による末梢循環障害の軽減(耳朶血流,右母血流)
③透析後倦怠感の軽減・痙攣の軽減
④血圧低下予防
⑤貧血改善効果(Hb値,ERI[週間EPO投与量/Hb/DW])21ヶ月後より改善

 

まとめ

i-HDFの効果として、HDと比較すると「血圧低下の予防、末梢循環障害の軽減」の効果が多く挙げられていました。少量の補液でも、効果的なタイミングで施行すれば患者によっては効果があるんだろうと思います。

診療報酬も、on-lineHDFと同様の点数を取得できるので、補液量が少ない分コスパのよい治療方法ではあります。近年、透析液の値段もあがっていますので・・・

臨床効果について、on-lineHDFよりi-HDFが優れているという点については、今のところ報告されていないので、on-lineHDFを施行している施設が今更、i-HDFを導入しようかとういのはどうかと思いました。

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Comment

  1. you より:

    はじめまして

    私も透析施設に勤務しているものです

    私の施設では、on-lineを辞めてi-HDFに移行しています

    当院は、患者の年齢層も高いことも理由なのかなとも思います

    感覚的な部分で、申し訳ないですがKt/Vはi-HDFがHDよりは優れているかと思います

    補液分の効果はあるのかなと思います

    ただ、個人的には循環動態のメリットがi-HDFのそもそもの目的なので

    on-lineとは、目的が違うので、どちらが優れているかとのでは無く、使い分けの技術なのかなとも思います

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