iPS細胞の開発は喜ばしいが臨床工学技士は職を失う可能性があるのか?

今回は、iPS細胞について、興味があり調べてみたので紹介します。慢性腎不全により透析治療をしている方は、自分が生きているうちは無理だろうと諦めている人が多いように感じますが、実際のところはどうなんでしょうか。

臨床工学技士の場合も再生医療は、とても興味のある分野だと思います。iPS細胞により腎臓が作れるようになることはよろこばしいですが、ぶっちゃけ自分の仕事がなくなっちゃうのではないかと心配している人もすくなからずいると思います。

iPS細胞とは

iPS細胞とは、人の細胞に、ある刺激を与えたり、因子を導入して培養(人工的に増殖)させることによって、様々な組織や臓器の細胞に変化して、ほぼ無限に増殖する能力をもつ細胞のことを言います。

iPS細胞は、induced pluripotent stem cell(人工多能性幹細胞)の略称で、京都大学の山中伸弥(やまなかしんや)教授が世界で初めて発見して2006年に発表しました。

iPS細胞で何ができる

iPS細胞は、病気の解明や、細胞移植治療などの再生医療に活用できると考えられています。具体的には、難病患者の細胞を取り出して、その細胞を増殖させて分化させることにより、どのように変化していくのかリアルタイムで確認することができ、病気の原因を究明することができます。

再生医療においては、病気や事故で失った臓器や神経などをiPS細胞からつくりだして移植することが期待できます。2013年には、腎臓の組織の一部をiPS細胞から作り出すことにも成功しています。

現段階では、細胞や組織など臓器の一部分までしか作り出せていませんが、今後、臓器全体までiPS細胞により造り出すことができるようになると思われます。iPS細胞は、自分の細胞から作るので、腎移植のような拒絶反応もなく、免疫抑制剤を飲み続ける必要もありません。

iPS細胞とES細胞の違い

ES細胞とiPS細胞の違いを説明できるでしょうか?

ES細胞もiPS細胞と同様の働きをします。ES細胞は、受精卵が細胞分裂を繰り返した5~7日目には胚盤胞と呼ばれる細胞を取り出し、それを培養することによって作製されます。ES細胞の作製に使われる受精卵は、不妊治療で使用されず廃棄予定の受精卵を使用します。ただ、受精卵を使用するということで抵抗を持つ人も多く、国によってはES細胞の研究に規制をかける国も出てきました。

それに対して、iPS細胞は、皮膚や血液の細胞から作りだすことができるので倫理的な問題がなく、だれからでも採取できるというのが最大の長所です。

まとめ

iPS細胞により腎臓が丸ごと作れるようになるのは、そんなに遠い未来ではないように思えます。国のほうも、iPS細胞により透析の必要がなくなれば膨大な医療費を節約することができます。現在、医療費の1位が癌治療で、2位が血液透析です。これらの、医療費を軽減する為にも、国も後押しをしており、日本では京都大学を中心に複数の研究機関でiPS細胞の開発がおこなわれています。横浜市立大学では、小さな肝臓を作りだすことに成功しています。

臨床工学技士会などの公演に行くと、『iPS細胞により臓器がつくられるようになるのは遠い未来じゃない。iPS細胞により腎臓が作られるようになると、透析クリニックで働く技士は職を失う可能性が高い』というようなお話は、良く聞きます。最先端で活躍している人は、数十年先を見て行動していますし、先見の目があると思います。

総合病院で働く技士は、今のうちに透析業務以外の業務を開拓しておく必要があります。特に若い臨床工学技士は、新卒で透析クリニックに的を絞るのではなくいろいろな経験を積める病院に就職したほうが食いっぱぐれはないと思います。

ただ、先のことはだれにも分かりませんし、腎移植の手術に耐えられない患者などもいるわけで、完全に透析がなくなることはないと思います。

臨床工学技士の養成校も、近年爆発的に増えており毎年2000人程度国家試験に合格しています。現在の臨床工学技士は3万人程度なのでこの増加率がどれほど多いのかもわかると思います。臨床工学技士は、全体年齢が低い為まだまだ、退職者も少ない為これから飽和していくと思うので、生き残っていくためにはやはり技術・知識・高い専門性を持つことが必要と思います。