LCAP(白血球除去療法)とは?潰瘍性大腸炎、慢性リウマチへの適応について

セルソーバE

LCAP(白血球系細胞除去療法)は、患者末梢血液から炎症細胞や免疫担当細胞を除去することにより病態を改善させる治療法です。類似の治療方法には、顆粒球除去療法(GCAP)、リンパ球除去療法(CF-LA)などもあります。

これらの治療法は、従来の免疫抑制剤による治療と比較して副作用が少なく安全性が高いと報告されています。今回は、その中でも潰瘍性大腸炎、関節リウマチの治療に適応があるLCAPについて紹介します。

LCAP(白血球除去療法)の原理と特徴

【カラムの特徴】

LCAPで使用する吸着器は、旭化成クラレメディカル社より販売されています。潰瘍性大腸炎の治療には、『セルソーバE』、関節リウマチ治療には『セルソーバCS』が保険適応されています。

セルソーバEの吸着剤としては、繊維径0.8~2.8μmのポリエステル不織布に繊維径10~40μmのプレフィルタを円筒状に巻いたものが使用されます。GCAPでは、顆粒球と単球の吸着が中心となりますが、LCAPでは、リンパ球や血小板まで吸着します。ちなみに1回のLCAPで、顆粒球・探求の90~100%、リンパ球の30~60%、血小板の一部を吸着できると報告されています。
セルソーバE2

LCAP(白血球除去療法)の適応疾患

潰瘍性大腸炎(UC)

潰瘍性大腸炎とは腸粘膜に潰瘍ができる炎症性腸疾患です。大腸粘膜が侵され、びらんや潰瘍を形成します。下痢、下血、熱、腹痛などの症状が出現します。また、長期間UCを患わっていると大腸癌んなどの悪性腫瘍の発生率が上昇します。

若年から青年層に好発して、原因は解明されていません。完治が難しく、特定疾患(難病)に指定さてており、安部総理やオリックスの安達了なども患わっています。日本全国で約16万人の患者さんがいます。

炎症性腸疾患患者の病変部腸管内粘膜には、活性化された好中球・好酸球・リンパ球が集まっています。これらをLCAPやGCAPにより除去することにより病態を改善させます。平成28年度改定版 潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針によると、ステロイド抵抗性や重症度が中等度の場合に、LCAPが推奨されています。

慢性関節リウマチ(MRA)

関節リウマチは、免疫異常により関節内で自己免疫応答が生じ、滑膜内血管造生や滑膜の増殖を起こし、軟骨・骨の破壊や変形をおこす病態です。

慢性関節リウマチ(MRA)は、これら関節障害に加えて、皮膚潰症、胸膜炎、心筋炎、など関節以外の症状を合併した病態です。

リウマチ患者の炎症関節部には、活性化T細胞が集まっており、炎症に活性化T細胞が関与していると考えられています。LCAPでは、このような炎症に関与しているリンパ球を除去することにより病変の改善を目指します。

LCAP(白血球除去療法)の実際

LCAPの準備方法・プライミング

【物品の準備】

  • 血液浄化装置(動脈圧と静脈圧が監視できる装置)
  • 回路
  • 吸着器(セルソーバEX,セルソーバEL,セルソーバCなど)
  • 抗凝固剤

【プライミング手順】

  1. 吸着器を生理食塩水1000mlで洗浄する。(LCAPは、膜の目詰まりがしやすいのでしっかりとエア抜きをする。
  2. 吸着器を抗凝固剤添加生理食塩水500ml(メシル酸ナファモスタット20mg添加)で洗浄する。
  3. 吸着器の上から下に血液が流れるようにセットする。

LCAPの治療条件

【治療条件】

  • 潰瘍性大腸炎の治療には、セルソーバEを使用します。通常は、セルソーバEXを使用する。体重が30kg未満では、セルソーバELを使用する。
  • 関節リウマチの治療には、セルソーバCを使用します。CS-100とCS-180の2つのサイズがあり、血漿処理量により使い分けます。
  • 血液流量:15~25ml/min(EI),30~50ml/min(EX)
  • 時間:約1時間
  • 血液処理量:1800~3000ml(潰瘍性大腸炎)、2000ml or 4000ml(関節リウマチ)
  • 抗凝固剤:メシル酸ナファモスタット20~50mg/h(生食500mlに50㎎を添加して輸液ポンプで投与)

LCAP(白血球除去療法)の保険適応〔平成28年〕

【潰瘍性大腸炎の場合】

  • 潰瘍性大腸炎の重症・劇症患者及び難治性患者に対しては、活動期の病態の改善及び緩解導入を目的として行った場合に限り算定可
  • 潰瘍性大腸炎に関して、一連につき10回を限度に算定できる。劇症患者の場合は、11回算定できる。
  • 材料価格は、123000円(一般用)126000円(小児用)、手技料2000点

【慢性リウマチの適応】

  1. 活動性が高く、薬物療法に抵抗性がある場合
  2. 発熱などの全身症状と多関節の激しい滑膜炎を呈し薬物療法に抵抗する急速進行型関節リウマチ患者であって、以下の2項目を満たすもの

『腫脹関節数6カ所以上、ESR50mm/hまたはCRP3㎎/dl以上』

  • 1クール週一回として、5週間に限って算定できる。
  • 材料価格は、123000円、手技料2000点

LCAP(白血球除去療法)の注意点

  • ACE阻害薬との併用は禁止。吸着器は、陰性荷電しておりブラジキニンを誘導する作用があります。ACE阻害薬を併用している場合、ブラジキニンの代謝を阻害して血圧低下のショックを起こす恐れがあります。
  • 治療中は、血液が吸着器の上から下に流れるようにセットする。
  • LCAPは、膜の目詰まりが起こりやすい為、圧力(入口圧と出口圧の差)をこまめにチェックする。入口圧と出口圧の差が100mmHgを超えた場合は、膜や回路の目詰まりを疑い返血操作を行う。
  • メシル酸ナファモスタットを500ml生食に添加する場合は、5%ブドウ糖液で溶解してから添加する。(そのまま生食に溶かすと沈殿ができる)
  • LCAPでは、膜が詰まりやすいので抗凝固剤を500ml生食に添加して、輸液ポンプにて投与する。(血液を希釈させる効果がある)
  • 返血時は、吸着した物質を遊離させないように、治療中と同じポンプ速度で運転する。また、吸着器をゆすったり、たたいたりしない。
  • 比較的多い副作用として、頭痛がある。
  • ブラッドアクセスとしては、療法の正中皮静脈や大腿静脈を使用することが多い。脱血が弱い場合は、上腕を軽く駆血する。
  • 「感染症、貧血、心血管疾患、アレルギー既往、白血球3000/mm3未満、血小板10万/mm3以下」おの患者は、症状を悪化させる恐れがあるので慎重に適応する。

※細かな注意点は、セルソーバ(添付文章)を確認して治療を行うようにしてください。

LCAP(白血球除去療法)のまとめ

LCAPは、総合病院で務めていた時に、何度も施行したことがあります。治療で一番大変なのは、膜が目詰まりを起こしやすいことです。早いときは、治療開始から5分くらいで入口圧が上昇して返血をしなければならないようなこともありました。そういう点では、目詰まりが起こりにくいGCAPのほうが血液浄化療法を施行する技士にとってはやりやすいです。

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