LCAP,GCAPとは?潰瘍性大腸炎の治療で行われる白血球除去療法について

白血球系細胞除去療法は、患者末梢血液から炎症細胞や免疫担当細胞を除去することにより病態を改善させる治療法です。除去する対象の違いにより顆粒球除去療法(GCAP)、白血球除去療法(LCAP)、リンパ球除去療法(CF-LA)に分類されます。今回は、血液浄化療法で良く施行されるGCAP,LCAPについて紹介します。

<適応疾患>

炎症性腸疾患(IBD)

白血球除系細胞去療法が適応される炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)があります。共に腸粘膜に潰瘍ができる炎症性腸疾患です。若年から青年層に好発して、原因は不明とされています。完治が難しく、特定疾患(難病)に指定さてており、安部総理大臣が潰瘍性大腸炎を患わっていることは有名です。

それぞれの特徴として、クローン病(CD)は、小腸、大腸だけでなく、口腔から肛門に至るあらゆる部位に発生します。潰瘍がひどくなると腸穿孔を起こすこともあります。

潰瘍性大腸炎(UC)は、大腸粘膜が侵され、びらんや潰瘍を形成します。下痢、下血、熱、腹痛などの症状が出現します。また、長期間UCを患わっていると大腸癌んなどの悪性腫瘍の発生率が上昇します。

炎症性腸疾患患者の病変部腸管内粘膜には、活性化された好中球・好酸球・リンパ球が集まっています。これらをLCAPやGCAPで除去することにより病態を改善させます。

慢性関節リウマチ

関節リウマチは、免疫異常により関節内で自己免疫応答が生じ、滑膜内血管造生や滑膜の増殖を起こし、軟骨・骨の破壊や変形をおこす病態です。

慢性関節リウマチ(MRA)は、これら関節障害に加えて、皮膚潰症、胸膜炎、心筋炎、など関節以外の症状を合併した病態です。

リウマチ患者の炎症関節部には、活性化T細胞が集まっており、炎症に活性化T細胞が関与していると考えられています。LCAPでは、このような炎症に関与しているリンパ球を除去することにより病変の改善を行います。

 

<白血球除去療法の実際>

GCAP施行の実際

【カラムの特徴】
吸着器には、JIMRO社の『アダカラム』が使用されます。吸着剤として、酢酸セルロースビーズの小さな粒が3500個程詰め込まれています。この、セルロースビーズの間に血液を流すことにより、病因物質である顆粒球、単球が吸着されます。ビーズが充填されているだけなので、膜の目詰まりがほぼ起こらないのが良いところです。治療中は、吸着器の上から下に向けて血液を流します。

アダカラム
<JIMROのHPより引用>

【適応】
潰瘍性大腸炎の重症・劇症患者及び難治性患者
1患者につき、2クールまで算定可(1クールは、週1回の5週間、劇症患者には初めの1週のみ週に2回可能)。
材料価格は、123000円、処置料2000点

【治療条件】
・血流量:30ml/min
・時間:1時間
・血液処理量:1800ml
・抗凝固剤:ヘパリン又はナファモスタットメシル酸塩
ヘパリンでは、初回1000~3000を初回ワンショットして、持続500~1500単位/h投与。
ナファモスタットメシル酸塩では、持続20~40mg/h投与する。

【プライミング方法】
1.吸着器を生理食塩水1500mlで洗浄。
2.吸着器を抗凝固剤添加生理食塩水500ml(ヘパリン2000単位又は、メシル酸ナファモスタット20mg添加)で洗浄。

【注意点】
・メシル酸ナファモスタットを500ml生食に添加する場合は、5%ブドウ糖液で溶解してから添加する。(そのまま生食に溶かすと沈殿ができる)
・濾過器内のエアーを十分に除去すること(エア抜き不十分だと治療中にチャンバーの液面が下がる。)
・治療中の吸着器に血液を流す向きは、下から上に流れるようにセットする。

・LCAP施行

【カラムの特徴】
潰瘍性大腸炎の治療での吸着器には、旭化成クラレメディカル社の『セルソーバE』が使用されます。関節リウマチ治療では『セルソーバCS』を使用します。
吸着器の吸着剤としてポリエチレンテレフタレートを材料とする繊維径10~40μmのプレフィルタと0.8~2.8μmのフィルタからなる極細繊維不織布を円筒状に巻いたものが使用されます。顆粒球と単球以外にも、リンパ球や血小板も吸着します。それぞれの吸着量も、GCAPの2倍程度あります。

セルソーバ2セルソーバ
<旭化成クラレメディカルHPより引用>

【適応】
潰瘍性大腸炎の重症・劇症患者及び難治性患者、慢性関節リウマチ患者
1患者につき、2クールまで算定可(1クールは、週1回の5週間、劇症患者には初めの1週のみ週に2回可能)。
材料価格は、123000円(一般用)128000円(小児用)、処置料2000点

【治療条件】
血液流量:30~50ml/h
時間:1時間
血液処理量:1800~3000ml
抗凝固剤:メシル酸ナファモスタット20~50mg/h

【プライミング手順】
1.吸着器を生理食塩水1000mlで洗浄する。
2.吸着器を抗凝固剤添加生理食塩水500ml(メシル酸ナファモスタット20mg添加)で洗浄する。

【注意点】
・治療中は、血液を吸着器の上か下に流れるようにセットする。
・LCAPは、膜の目詰まりが起こりやすい為、圧力をこまめにチェックする。入口圧と出口圧の差が100mmHgを超えた場合は、膜の目詰まりを疑う。
・メシル酸ナファモスタットを500ml生食に添加する場合は、5%ブドウ糖液で溶解してから添加する。(そのまま生食に溶かすと沈殿ができる)