臨床工学技士の業務内容について(投稿者:てへぺろ)

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「臨床工学技士の業務内容」について、てへぺろさんより記事を書いていただいたので紹介します。まだまだ、記事を書いていただける方を募集しておりますので、詳細はフリーライター募集をご参照ください。

 

臨床工学技士の業務内容について

1.勤務施設について

いくつもの透析クリニックを経営し、介護系にも着手する医療法人に在籍。クリニックは県内に点在し、一施設30〜50床ほどの透析ベッド数を有する。総透析患者数は1000名程度。臨床工学技士(以下、ME)は現在40名ほど在籍している。

2.業務内容

外来透析(血液透析:HD)がメインであるが、症例によってはDFPPやLDL吸着なども行う。穿刺や返血などのルーチン業務のほか、水質管理委員や医療機器安全管理委員などを兼任している。コンソールのオーバーホールやRO装置のフィルター交換、輸液ポンプの定期点検などは空いた時間や就業後(残業)に行うことが多い。また役職がついているため所属施設のマネジメントも行う。

当法人では、すべてにおいてMEが中心的役割を担っており、患者の治療方針(透析条件・内服薬など)の決定などにも積極的に意見を出している(逆に、看護師が何もしないとも言えるが)。また法人全体のマネジメントにも参加している。

3.MEになって苦労した点・辛かったことなど

我々MEがどんなに正論(きちんと根拠などを示して)を言ってAにすべきだと主張しても、医師がBと言えば、Bとなる。そして患者にもAであると丁寧に説明しても、医師がBと言えば患者は医師の意見に賛同する。つまり、我々コメディカルは意見は言えるものの、最終決定権は医師にある(当然ではあるが)。このことで歯痒い思いを何度したことか。だったら医者になればいいという意見もあるが、そこまでの気力はない。

4.MEになってよかった点・やりがいなど

上記のように歯痒い思いもあるが、やりがいはすごく感じている。

5.MEを目指す学生達へ

私の思いをここに集約したいと思う。二つの項目について述べたい。

①社会に出て目指すべき姿

学生時代ある教師に「君たちが社会に出た後スペシャリストを目指すべきなのかジェネラリストを目指すべきなのかよく考えるように」と言われた。この言葉は今でも思い出す。果たして、どちらを目指すべきなのか。総合病院では当然透析業務のみならず、心肺や呼吸器・高圧酸素・カテ・機器管理など多くの業務に携わることができる。幅広い知識を得ることができるであろう。しかし各業務を数年でローテーションする総合病院の勤務システムでは、全て中途半端に終わるかもしれない。血液浄化はいわば全身疾患であり、膨大な知識を必要とする。そのスペシャリストになるだけでも相当な努力が必要である。この広いとは言えない分野かもしれないが深く深く掘り下げていくことが、結果的にはジェネラリストに結びつくのではないかと、今は考えている。

近い将来透析治療自体がなくなるのではないか、透析しか知らないMEは危機感を持った方がいいのではないかという話もあるが、私は血液浄化のスペシャリストを目指すという目標を変えるつもりはない。この手の話は色んな意見があって当然であり、これらの意見を否定する人もいるはずであるが、自分が何を目指したいかという目標を見失わないことが大切である。スペシャリスト(職人)を目指すのか、ジェネラリスト(何でも屋)を目指すのか、自分なりに考えてもらいたい。

②今後のMEに求められるもの

今後のMEには研究能力が求められていると私は考えている。近年日本の医療においてもEBMが推進されおり、根拠を見出すための研究が求められている。私の学生時代は、MEになるには専門学校がほとんどで研究が何たるかを学ぶ機会はなかった。今は大学も徐々に増え学士を有するMEが増えてきたが、研究能力が十分だとは言い難い。研究のノウハウは大学院で学ぶほかない。研究能力があるということは、論理的かつ理論的な思考が身につくことを意味する。根拠が全てではないが、少なくとも今通例的に行なわれている行為を研究によって明らかにするのは必要なことである。今やっている行為は妥当なのか?と常に考えることが、医療業界の概念を大きく変えることになるかもしれない。

学会や研究会などで行われている学術発表のほとんどは、査読(第三者による評価)がなく極端に言えばどんな内容であっても発表することができる程度のレベルである。この学術発表を数十回やったところで業績にはならない。論文レベルの高度な学術発表が求められていると私は考えている。それがMEの社会的地位を高めることにもつながると思う。

(てへぺろ)