透析室でのMRSA感染対策について

細菌
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MRSAとは

MRSAとはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌のことをいいます。名前の通り、抗生物質のメチシリンなどを含む、多くの抗生物質に耐性を持った黄色ブドウ球菌です。

黄色ブドウ球菌は、肺炎や敗血症の起因菌であり、透析患者の死亡の第2位を占める感染症の原因となります。今回は、MRSAの予防と治療の基礎知識について紹介します。

MRSAの基礎知識

感染経路

接触により感染します。透析室の場合は、医療従事者を介して他の患者に感染させてしまう危険性や、ベッドやシーツに付着したMRSAを他の患者が触れることにより感染する危険があります。

潜伏期間

保菌者の20%が6~20か月で感染症を発症するといわれています。また、保菌者は、生涯保菌し続けるという意見がある。

予防策

MRSA予防の基本は、標準予防策と接触予防策です。標準予防策とは保菌者や感染者に直接接触して感染するのを予防すること、接触予防策は汚染物を介した接触で感染するのを防ぐ対策です。

まず、院内感染を予防するために、どの患者がMRSAを保菌しているのか感染しているかを把握します。そして、保菌者および感染者には透析室内ではマスクの着用を依頼します。

透析後は、使用したシーツやリネンは毎回交換して、ベッド柵、ベッド回りなど患者が触れる恐れのある場所は、全て次亜塩素酸系やアルコール系の消毒薬で拭いて消毒します。

医療従事者は、MRSAの保菌者や感染者と接触した場合は、毎回手洗いまたは手指のアルコール消毒をして他の患者に移さないように注意します。

保菌者に対する治療としては、鼻腔内をムピロシンカルシウム水和物(商品名:バクトロバン)を塗ったり、局所消毒薬を塗って菌が消えるまで継続します。

隔離

保菌状態であれば個室隔離は不要といわれています。ただし、腸炎、肺炎、ブドウ球菌性熱傷様症候群(SSSS)を発症している場合は個室管理することが望ましいです。

検査方法

MRSAの検査は、咽頭・鼻腔・感染部位の細菌培養により検査します。

MRSA発症後の治療

MRSAを発症した場合は、バンコマイシン塩酸塩(バンコマイシン)、テイコプラニン(タゴシッド)、アルベカシン硫酸塩(ハベカシン)などの抗菌薬を血中薬物濃度モニタリングしながら、定期的に投与します。

まとめ

透析室では、MRSAを含めてたくさんのウイルスや菌が存在します。医療スタッフの場合は、自分自身が感染しないのはもちろん、医療スタッフを介して他の患者に感染させないように注意しなければなりません。

最近では、病院・透析室の院内感染対策も厳しくなっており、患者と接触した場合は、毎回手指のアルコール消毒を行ったりなど、院内感染には特に注意されています。ただ、スタッフの中には、感染対策について適当におこなっている人もたまに見かけます。

大勢の人がきちんとしていても、誰か一人が適当にしていては院内感染を防ぐことはできません。一人ひとりが感染に対する知識を持って全員が実行することが大切です。

参考文献
(透析ケア2015.2 28-32)

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