透析室での音楽療法の有用性について

音楽

音楽療法について

はじめに

音楽を聞くことにより気持ちを落ち着かせたり、気分転換することは私たちの日常でもよく行われる習慣です。医療の世界でも、音楽が痛みを和らげたり、抑うつを緩和したりなどさまざまな効果が報告され、治療に使われています。

最近では、「メンタル心理ミュージックアドバイザー、音楽療法インストラクター」といった音楽の専門家としての資格もつくられ、音楽療法士という専門の職業も誕生しました。

今回は、音楽療法の効果とどのような現場で使われているのか、透析施設でも活用できるのかについて紹介します。

音楽療法とは

日本音楽療法学会によると、「音楽療法とは、音楽のもつ生理的・社会的・心理的はたらきを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的・計画的に使用すること。」とあります。簡単に言うと、音楽を聴いたり演奏したりする治療方法です。

音楽療法は、「受動的音楽療法」と「能動的音楽療法」の2つに別けられます。受動的音楽療法は、音楽を聴くことによる方法です。手軽に誰にでも行える治療方法です。

受動的音楽療法は、自らが歌を歌ったり、楽器を演奏したりする方法です。老人ホームでカラオケをしたり楽器演奏したりなどのレクレーションが行われたりしますが、これらも音楽療法の一つです。

音楽療法の効果は、幅広いこともあり医療・福祉・教育など数多くの分野で実施されています。精神科、透析室などでのストレス軽減、OP室での医師の集中力アップ、終末期医療での痛み軽減・精神安定、福祉の分野では、高齢者のQOL向上、発達障害児童に対する運動機能・コミュニケーション能力改善などなど、多くの効果が期待されています。

透析における音楽療法の効果

音楽療法は、いろいろな分野で効果がありますが今回は、透析の分野に絞って紹介します。

透析中のストレス軽減

透析治療中の騒音や周囲の話し声に対して、苦情を受けることが多いです。確かに、長時間拘束されてシーンとした部屋で治療を受けている最中は、普段以上にストレスがたまるのでしょう。

寝ていたり、何もしていないと周りの状況が気になってストレスになります。音楽を聴いたり、テレビを見たり、映画を見たりなど、自分の行動に集中すればストレスが減るかもしれません。

透析室で癒される音楽をかける(音楽療法を実施する)のも、ストレス軽減に役立つかもしれません。以下の文献では、透析中に音楽を流すことにより、「時間を短く感じる、イライラが改善する」などの効果があったそうです。

参照:透析中のストレスに対する音楽の効果

透析中の血圧安定効果

「透析中に音楽を聞かせることにより、血圧変動が安定するか」を調査した研究があります。結果は、クラッシック音楽を聞かせた場合は、効果なし。患者の好みの音楽を聞かせた場合に、血圧が安定したそうです。

参照:人工透析による不均衡症候群に対する音楽療法

脳性麻痺患者に対する音楽療法

脳性麻痺患者にトランポリンをしながら、音楽を聞かせる治療法で脳性麻痺の回復に効果があるそうです。トランポリンによる上下運動による脳刺激をしながら、同時に音楽を聞かせることにより、脳の神経を覚醒させ、脳神経網を拡大させることができるそうです。

透析患者は、脳梗塞脳・出血による後遺症を抱えている方も多いです。音楽療法で少しでも改善する可能性があるのであるのであればチャレンジする価値がありそうです。

以下の論文では、低酸素脳症、水頭症による脳性麻痺患者の機能回復に効果があると報告されています。ちょっと長めですが搭載しときます。

参照:重度脳性麻痺患者の音楽運動療法

音楽療法の資格

音楽療法の民間資格もいろいろ出ています。メンタル心理ミュージックアドバイザー、音楽療法インストラクターなどは、通信講座で取得できます。現在の職業と別にプラスαの特技を身に着けたいと考えていたら是非チャレンジしてみましょう。作業療法士や看護師さんにお勧めです。

今後は、希少性がその人の市場価値につながります。プラスαの能力をどんどん身に着けることは、これから先の見えない社会で安定して稼いでいくために必要です。

音楽療法をメインの仕事にしたいと考えるなら、日本音楽療法学会が認定している音楽療法士の資格を取得するべきでしょう。指定の大学や専門学校を卒業して受験資格を得られる本格的なものです。こちらは、国家資格化を目指しているそうです。

ただし、現在のところ音楽療法士の求人は、非常勤が大半で募集も少ないようです。日本音楽療法学会のホームページでも音楽療法士としての求人もポツリポツリと出ています。(非常勤が大半ですが・・・)何かの医療職種+音楽療法士というのが、生活していく上では安泰でしょう。

まとめ

透析中の音楽療法は、リラックス効果・ストレス軽減効果があります。さらに、自分の好みの音楽を聴くことにより血圧低下抑制効果もあります。音楽療法を活用して透析患者さんのストレスを少しでも軽減できたらいいですね。

あと、音楽の好みは千差万別です。個人個人にヘッドホンと音楽プレーヤーなどを貸し出すサービスを提供すると有効かもしれません。