nPCR(蛋白異化率)の求め方と意味について

計算
nPCRとは、normalized protein catabolic rateの略称で、日本語で標準化蛋白異化率を表します。蛋白異化とは、体内で古くなった蛋白質を壊すことです。逆に、蛋白同化とは、アミノ酸から蛋白質を合成して作りだすことです。

通常、体内では蛋白異化と蛋白同化が同時に行われて、日々新しい組織に代謝されています。それにより、生体の蛋白質(筋肉、内蔵)量を一定に保持しています。

さて、透析の現場ではなぜnPCRを求めるのでしょうか?それは、患者さんがしっかり食事により十分な蛋白質を摂取していることを確認する為です。

実際の、蛋白質の摂取量を調べるには食るものの重さを測って、全て記録しなければなりません。実際の日常においてそのように細かく記録することは困難です。

したがって、nPCRを求めることにより、患者さんが、どの程度の蛋白質を摂取しているのかを推測することができるのです。

nPCRは、蛋白質が壊されている量を表します。基本的に、透析の条件が変わらない条件で、クレアチニンの値が一定であれば、蛋白異化率と蛋白同化率は、同じであるとみなせます。なぜなら、クレアチニンの値は、筋肉量に比例するからです。よって、蛋白異化率=蛋白質の摂取量と考えています。

PCRの求め方

PCRは、蛋白異化率で一日に何gの蛋白質が壊されたかを表します。nPCRは、体重1kg辺りの壊されたたんぱく質の量を表します。
PCRを求める計算式は、複数ありますがSargentらの式が簡単に計算できて便利です。計算式は、以下のようになります。

・Sargentらの式
PCR=(Gu+1.2)×9.35
nPCR=PCR/体重

・木村の式
Gu=ドライウェイト(kg)×[中日透析前BUN(mg/dL)-週はじめ透析後BUN(mg/dL)]÷[透析間時間(h)×10]

Guは、尿素産生速度のことです。蛋白質が分解されると最終的に尿素窒素になるので、蛋白異化率の計算には、尿素窒素が使われます。

先に、木村の式でGuを求めて、Sargentらの式にGuを代入することでPCRまたは、nPCRを求めることができます。

このnPCRが蛋白の摂取量と近い値になります。ただ、nPCRは実際の蛋白摂取量よりやや低い値になるようです。

nPCRを計算しよう

上に紹介した計算式を元に、nPCRを実際に求めてみましょう。

問題

月水金の週に3回に4時間の透析をしている男性がいます。月曜日の透析前、透析後のBUN値は、それぞれ80.0mg/dL、20.0mg/dL、水曜日の透析前、透析後のBUN値は、それぞれ90.0mg/dL、25.0mg/dLです。患者のDWは、60kgです。さて、この患者のnPCRは、いくらになるでしょう?

どうでしょうか?簡単にできたでしょうか。問題の解答を解説します。

まずは、木村の式からGu(尿素酸性速度)を求めます。
木村の式は

Gu=ドライウェイト(kg)×[中日透析前BUN(mg/dL)-週はじめ透析後BUN(mg/dL)]÷[透析間時間(h)×10]

でしたね。

上の式に、数値を入れていきます。
ドライウェイト(kg)は60,中日透析前BUN(mg/dL)は、水曜日の透析前のBUNなので、90.0です。週はじめ透析後BUN(mg/dL)は、月曜日の透析後BUNなので20です。
透析間時間(h)が少しややこしいかもしれません。透析間の時間は、月曜日の透析後から水曜日の透析前の時間です。透析時間が4時間なので、仮に毎回透析が8:00から始まったとすれば、いつも透析が終わるのは12:00です。したがって、月曜日の12:00かた水曜日の8:00までの時間が透析間時間となります。数えると44時間となります。

これらを式に代入すると
Gu=60×(90-20)÷(44×10)
Gu=9.54

となります。

このGu=9.54を、Sargentの式に代入します。
PCR=(Gu+1.2)×9.35
PCR=(9.54+1.2)×9.35=100.41

さらにPCRをドライウェイトで割るとnPCRが求められます。
nPCR=PCR/体重=100.41÷60=1.67

nPCRは1.67[g/kg/day]となりました。少し高めの値ですね。

nPCRの目標値は?

透析患者の蛋白質摂取量の目安は、体重1kg当たり1.0~1.2gとなっています。ただし、nPCRの値は実際の蛋白摂取量より少し低めの値を採る為1.0~1.2g/kgより低くても大丈夫です。

日本透析医学会のnPCRの目標値は、0.9~1.4g/kg/dayとなっています。あまり、値が高すぎても蛋白質の過剰摂取によりリンなどの値が上がってしまう為良くありません。

nPCRが高すぎる場合は、リンの値が高すぎないか、低い場合は栄養障害がないかを注意する必要があります。

TAKAの一言

nPCRは、透析患者の栄養状態を把握するうえで大変重要な値です。透析の現場でも、KT/Vと同様に定期的に測定していると思います。

計算するのが少し面倒という方は、nPCRを求めるiフォーン向けの無料アプリもあるようです。

臨床工学技士の為の電子工作よりダウンロードできます。

あぷり1

 

アプリ2

現役の臨床工学技士が作成したiフォーン向けのアプリで、数値を入力するだけでnPCRが簡単に求められたり、他に検査値の解説なども見れるようです。

 

スポンサードリンク