末梢血幹細胞採取とは?採取時期と治療法について

毛細血管

末梢血幹細胞採取療法は、「自家末梢血幹細胞肝移植(auto-PBSCT)、同種末梢血幹細胞移植(allogeneic-pbsct)」に用いる造血幹細胞中の単核球層を採取する方法です。

自家末梢血幹細胞肝移植は、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫の患者に対して用いられる標準治療です。原因となる骨髄腫細胞を抗がん剤で死滅させた後、事前に採取した自分の造血幹細胞を移植します。

同種末梢血幹細胞移植は、主に白血病などの治療に用いられます。自分の幹細胞ではなく、ドナーから採取した幹細胞を移植します。

これらの治療は、骨髄移植と比較してドナーに対して全身麻酔化の手術が不要というメリットがあります。

末梢血幹細胞採取の適応疾患

白血病

白血病は、血液のがんです。血液は骨髄内で作られますが、骨髄内で作られる過程で癌化してしまいます。

癌化した血液が増えると正常の血液が少なくなり、貧血、免疫力低下など様々な症状が現れます。日本では、1年間に約2万人が診断されています

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は、白血球中のリンパ球が癌化する疾患です。頸部、腋窩、鼠径などに発生することが多いです。

多発性骨髄腫

白血球中のB細胞から分かれてできる形質細胞が癌化するのがこの疾患です。

胚細胞腫

生殖器、胸・お腹の中、脳などに発生しやすい悪性腫瘍。胎児期にいろいろな内臓に分化することのできる原始胚細胞が悪性腫瘍になったものと考えられている。

神経芽腫

神経芽腫は、子供にできる固形腫瘍です。神経芽腫は、交感神経のもとになる細胞です。交感神経節や副腎などの体の背側から発生します。

小細胞肺癌

小細胞肺癌は、気管支入口に発生しやすい癌です。進行が速いが、抗がん剤が効きやすいという特徴があります。

小細胞肺がんの治療法として『末梢血幹細胞移植併用大量化学療法』が用いられることがあります。

採取が不適格なドナーについて

末梢血幹細胞を採取するには、造血幹細胞を骨髄から末梢血に移動させなければなりません。それには、granulocyte-colony stimulating factor(G-CSF)をドナーに大量投与します。したがって、G-CSFの投与ができない患者はドナーになることができません。

<G-CSF投与による副作用発生が懸念されるドナー>

  • G-CSF製剤に対するアレルギーのある人
  • 血栓症の既往あるいはリスク:基礎疾患として高血圧、冠動脈疾患、脳血管障害、糖尿病、高脂血症などを有する人
  • 脾腫を認める人
  • 白血球増多、血小板増多など骨髄増殖性疾患が疑われる人
  • 間質性肺炎を合併あるいは既往として有する人。
  • 癌の既往をゆする人(G-CSFによる腫瘍の再発や新たな発生を否定できない為)
  • 自己免疫疾患を有する人
  • 妊娠中あるいは妊娠している可能性のある人
  • 治療を必要とする心疾患、肺疾患、腎疾患を有する人
  • 肝機能障害を有する人
  • 神経障害を有する人

(※1より転載)

末梢血幹細胞採取療法のドナーの準備

1.G-CSFの投与

G-CSF投与により、骨髄から末梢血に幹細胞を移動させることを『末梢血幹細胞動員』と呼びます。末梢血幹細胞動員は、1日1回または2分割で連日皮下注射します。保険では以下の量まで認められています。

  • lenograstim・・・10µg/kg/day
  • filgrastim・・・400µg/m2/day

2.採取日の決め方

G-CSF投与後は、毎日白血球および分画を調べます。だいたい、G-CSF投与後4~5日後に末梢血中のCD34陽性細胞が上昇します。その為、4~5後に採取日とすることが多いです。

以下の項目が採取の目安となる。

  • 急速な白血球の上昇
  • 単球比率の上昇
  • 網状赤血球数上昇
  • LDH上昇

注意:白血球数50000/μlを超えた場合は、減量もしくは中止を考慮する。

また、患者のHtにも注意が必要です。Htが25%以下では、単核球層の分離時に赤血球層が作ることができず分離がうまくできない可能性があります。

採取開始時には、Ht30%(Hb9g/dl)以上ない場合は、輸血を考慮する必要があります。

 

末梢血幹細胞採取療法の実際

装置

スペクトラオプティア

装置は、スペクトラ オプティアなどがあります(写真はterumobctのHPより)。

プライミングは全自動であり、使用方についてはメーカーより研修が設けられています。

バスキュラーアクセス

末梢血幹細胞採取療法では、血流量を多く必要としない為、両腕の肘静脈を脱血と返血に使用できます。静脈でルート確保が困難な場合はダブルルーメンカテーテルを挿入します。

採取条件設定

  • 処理血液量・・・150~200ml/kg又は循環血液量の2~3倍
  • 採取の目標値・・・auto-PBSCTで1×106個/kg,allo-PBSCTで2×106kg/個,HLA不一致例やtandem transplantation予定では3×106個/kg以上を目標とする

採取した幹細胞は、作製した保存液で希釈して冷却保存する。

アフェレシス施行中の注意点

低カルシウム血症

抗凝固剤のACD液による、低カルシウム血症が発生する恐れがあります。予防で、グルコン酸カルシウムを持続投与するか症状が現れたら投与できるように準備をしておきます。

血小板の減少

単核球以外にも、血小板なども採取されるため、採血後は血小板数を確認します。治療前の血小板数は、50000μl個あることが望ましいと言われています。

その他の合併症

吐き気、嘔吐、アレルギーなど他のアフェレシス療法でも発生するような合併症が起こる危険性があります。

 

(参考文献・引用)

※1)同種末梢稀有幹細胞移植のための健常人ドナーからの末梢血幹細胞動員・採取に関するガイドライン.日本造血細胞移植学会・日本輸血学会.2003年4月21日改定第3版.

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