単純血漿交換療法の設定、治療条件について紹介します

今回は、血液浄化療法で良く行われる単純血漿交換療法について紹介します。血漿交換療法は、他にも二重濾過血漿交換療法がありますが、文字数が多くなる為、単純血漿交換のみ紹介します。それではさっそく紹介します。

血漿交換療法とは

単純血漿交換(PE)とは

単純血漿交換(PE)は、血漿成分分離器で血球成分(赤血球、白血球、血小板)と病因物質を含む血漿成分とに分離し、分離した血漿成分を廃棄して、新鮮凍結血漿(FFP)もしくは、5%アルブミン溶液を補充する治療です。

PEでは、小分子物質から、アルブミンやグロブリンなど大分子までの幅広い物質の除去ができることが特徴です。病因物質の特定ができない、病因物質が大きい場合に施行されます。

図をクリックすると大きくなります。

PE

適応疾患

単純血漿交換療法の適応疾患は、かなりいっぱいあります。ただ、疾患として多いのは肝不全が多いように感じます。適応疾患と除去物質を以下に表示します。

適応疾患 除去物質
多発性骨髄腫 腫瘍細胞より産生される腫瘍タンパク
マクログロブリン血症 腫瘍細胞より産生される腫瘍タンパク
血栓性血小板減少性紫斑病 血管内皮細胞場外因子
血小板活性化因子
vWF-cleaving proteaseの補充
vWFCP阻害因子の除去
溶血性尿毒症症候群 血管内皮細胞場外因子
血小板活性化因子
vWF-cleaving proteaseの補充
重症筋無力症 自己抗体
多発性硬化症 不明
慢性炎症性脱髄性多発神経炎 不明
ギラン・バレー症候群 自己抗体
悪性関節リウマチ リウマトイド因子
免疫複合体
クリオグロブリン
全身性エリテマトーデス 免疫複合体
抗dsDNA抗体
カルジオグロブリン
重症血液型不適合妊娠 抗D因子抗体
同種腎移植 抗A,B抗体除去
既存抗リンパ球抗体
劇症肝炎 肝性昏睡起因物質
エンドトキシン
サイトカイン
術後肝不全 肝性昏睡起因物質
エンドトキシン
サイトカイン
急性肝不全 肝性昏睡起因物質
エンドトキシン
サイトカイン
家族性高コレステロール血症 LDLコレステロール
閉塞性動脈硬化症 LDLコレステロール
巣状糸球体硬化症 LDLコレステロール
天疱痘・類天疱瘡 自己抗体
薬物中毒 薬物

<clinical Engineering2008年4月 P372適応疾患と除去物質・治療目的を改変して引用>

血漿交換療法の実際

血漿交換療法を施行する際の治療条件を説明します。

抗凝固剤

・ヘパリン
初回1500~2000単位、持続1000単位

・メシル酸ナファモスタット(フサン)

出血傾向がある場合は、フサンを使います。
20~40mg/h

補充液の量

凝固因子の補充が必要な、急性肝不全、劇症肝炎、術後肝不全などの肝疾患、溶血性尿毒症症候群には、FFPを使用します。その他の疾患の場合は、アルブミン製剤を使用します。
PEでの補充液の量は、循環血漿量の1倍~1.5倍(3000ml~5000ml)が、目安とされています。

装置の設定

・血液流量
50~150ml/min
・血漿流量
20~50ml/min(血液流量の30%未満)

治療中の注意

低カルシウム

他人の血漿を補充する為、アレルギー反応や肝炎・HIVなどの感染症の危険がある。また、FFPは、凝固を防ぐためにACD液が含まれています。ACD液には、クエン酸が多く含まれ、血液中のカルシウムがクエン酸と結合することにより、低カルシウム血症になる恐れがあります。

低カルシウム血症になると、手指・唇の痺れ、不整脈、全身痙攣など、危険な症状が現れます。したがって、FFPを大量投与する場合は、血液中のカルシウム濃度を定期的にチェックすると同時に、なんらかのカルシウム溶液を持続投与する必要があります。

溶血

溶血を防ぐために、血液から血漿を分離する速度は、血流の30%以下にする。

膜の目詰まり

臨床工学技士が特に注意しなければならないのは、PE施行中の回路内の圧力です。時間経過とともに血漿分離器が目詰まりを起こす場合がおおくあります。膜が目詰まりを起こしてくると、TMPが上昇して血漿成分に負荷を与えてしまいます。TMPが50mmHを超えると治療の限界であり、治療の終了を検討するか、血液流量や血漿流量を下げてTMPを下げるなど方法があります。

新鮮凍結血漿(FFP)とは

新鮮凍結血漿とは

FFPとは採血後4時間以内の全血から遠心分離によって得た血漿を凍結したもののことをいいます。血液凝固因子の補充と、循環血漿量の減少を改善と維持のために用いられます。

取り扱いの注意

FFPは、溶解後に時間が経過すると凝固因子などの活性が低下する為、溶解させたら直ちに使用しなければなりません。よって、使用する直前に溶かすことが望ましいようです。

保険と償還価格

処置料

4200点

材料費(償還価格)

血漿交換用血漿分離器 29100円

施行回数

各疾患により、保険適応可能な回数が異なります。
詳細は旭化成のホームページに記載されていますので参考にしてください。

まとめ

血漿交換療法は、急性血液浄化療法の中では頻繁に行われる治療です。血漿交換療法は、単純血漿交換の他に、二重濾過血漿交換療法があります。それぞれ、短所・長所があるのでそれぞれの特徴を理解して、患者の疾患に合った治療を選択できるようにしたいです。



1 個のコメント

  • こんにちは!
    アフェレイシス系の算定ってどうなっているのか調べてたら、
    またTAKAさんのサイトに辿り着きました。神だ…。
    毎度ありがとうございます。
    疾患毎にかなり複雑なんですね…。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です