透析で使われるリン吸着剤のまとめ

公開日: : 最終更新日:2016/09/19 薬(透析), 血液透析

透析患者さんにとってリンは目の上のたんこぶであり、日々リンを上げないように必死に食事制限をしています。製薬会社からもリンを下げるための薬が日々開発されています。リン吸着剤は、複数あり特徴が全然違うのでそれぞれの特徴をしっかり覚えて患者さんに説明することが大切です。それでは、早速説明しますね。

販売名 一般名 製造販売 販売日
フォスブロック セベラマー塩酸塩 協和発酵キリン 2003年6月
レナジェル セベラマー塩酸塩 中外製薬 2003年6月
カルタン 沈降炭酸カルシウム マイラン製薬(製造販売)
ファイザー(販売)
2010年5月
ホスレノール 炭酸ランタン バイエル薬品 2012年5月
キックリン ビキサロマ‐ アステラス製薬(製造販売)
三和科学研究所(販売提携)
2012年6月
リオナ クエン酸第二鉄水和物 日本たばこ産業(製造販売元)
鳥居薬品(販売元)
2014年5月
ピートル スクロオキシ水酸化鉄 キッセイ薬品工業 2015年9月

それぞれの薬についてもう少し詳しく説明します。

<フォスブロック、レナジェル(セベラマー塩酸塩)>

・効果

セベラマー塩酸塩が消化管内でリンと結合して、便と一緒に排出することでリンの吸収を減らす。

・用法

1日3回食事前に飲む

・副作用(透析患者)

便秘・・・21.6%
腹部膨満・・・6.6%
腹痛・・・2.3%
悪心・・・1.6%

・説明

副作用を見て分かるとおり、とにかくこの薬を使用すると便秘になる患者さんが多いです。透析患者さんは、飲水量の制限などありもともと便秘気味の方が多いので、便秘の患者さんには注意が必要です。便秘が続くと、腸閉塞(腸が塞がる)や腸穿孔(腸に穴が開く)などの危険な合併症を起こす恐れがあります。

<カルタン(沈殿炭酸カルシウム)>

・効果

消化管内でリンと結合して、リン酸カルシウムとなり、便と一緒に排泄することによりリンの吸収を減らす。

・用法

1日3回食直後に飲む

・副作用

高カルシウム血症(血中カルシウム濃度11mg/dl以上)・・・0.1~5%
下痢・便秘、尿路結石・・・頻度不明

・説明

セベラマー塩酸塩と比較して、下痢や便秘などの副作用が低いのが長所です。ただし注意が必要なのは、この薬はカルシウムが主成分なので、多少なりとも血中カルシウム濃度が上昇する可能性が高いです。血中カルシウム濃度が上昇すると、異所性石灰化のリスクが上がるため注意が必要です。

<ホスレノール(炭酸ランタン)>

・効果

消化管内でリンと結合してリン酸ランタンとして、便と一緒に排泄されることによりリンの吸収を防ぐ。

・用法

1日3回食直後に噛み砕いて飲む

・副作用(透析患者)

嘔吐・・・38.1%
悪心・・・35.7%
胃不快感・・・21.4%
腹痛・・・16.7%
消化不良・・・9.5%
下痢・・・7.1%

・説明

この薬を飲むときに、水は必要なく、錠剤を噛み砕いて飲み込むといった方法で摂取します。嘔吐、胃の不快感などの副作用が多く、食欲がなくなったと訴える患者さんが多くいます。また、炭酸ランタンは、金属が主成分であり長期使用により骨、肝臓、脳などに蓄積するようです。蓄積による副作用は、いまのところ大丈夫ということですが、何十年か後に影響があるかもしれません。また、リンに結合されなかった、炭酸ランタンは肝臓から胆汁により排泄されるので、肝臓の悪い方の使用にも注意が必要です。

<キックリン(ビキサロマ‐)>

・効果

消化管内でピキサロマーとリンが結合して便と一緒に排泄されることによりリンの吸収を減らす。

・用法

1日3回食直前に飲む

・副作用(承認時)

便秘・・・15.9%
硬便・・・2.6%
腹部不快感・・・1.8%
腹部膨満・・・1.0%

・説明

ビキサロマ-は、アミン機能性リン酸結合性ポリマーといって、アミノ酸がたくさん結合した大きな分子でできています。副作用としては、便秘が多いようです。注意しないといけないのは、ビキサロマ-は、非吸収性ポリマーといって、消化管で全く吸収されないため、便秘などで腸に溜まってしまった場合、腸閉塞や腸穿孔を引き起こす可能性が高くなります。添付文書でも、便秘や腹部膨満感がある場合は、直ちに減量または、中止するように大きく書いています。

<リオナ(クエン酸第二鉄水和物)>

・効果

クエン酸第二鉄水和物が消化管内でリンと結合して便と一緒に排出することにより、リンの吸収を減らす。

・用法

1日3回食直後に飲む

・副作用(承認時)

下痢・・・10.1%
便秘・・・3.2%
腹部不快感・・・2.5%
血清フェリチン増加・・・2.7%

・説明

今のところ一番新しいリン吸着剤です。まだまだ、透析患者に使用したデータは、少なくこれからどのような報告がされるか楽しみな薬です。使用に関しての注意は、薬中の鉄が一部吸収されるようで、鉄過剰の患者さんは慎重に使用することが必要です。また、C型肝炎患者は肝臓に鉄が蓄積されやすい状態になっており、鉄が肝臓に溜まることにより、肝炎を悪化させるのでC型慢性肝炎の患者の使用も注意です。

<まとめ>

リン吸着剤もたくさんの種類があります。それぞれの薬の特徴を理解して患者さんに最も適した薬を選択することが大切です。看護師、臨床工学技士など透析室で患者さんとよく会話をして、薬が合っているか、副作用はないかを聞いて、採血データも確認して、なにか変わったことがあった場合は、主治医に迅速に報告して、患者さんによりよい治療を行えるようにできたらいいなと思います。

あと、注意しなければならないのが吸着剤によって服用の時間が違うことです。こないだ、当院の患者さんで吸着剤を飲んでいるのになかなかPが下がらない人がいました。詳しく話を聞くと、吸着剤を食前に飲まないといけないものを食後に飲んでいました。

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