透析での計画除水の方法と有効性について

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透析中の合併症のうち、血圧低下はもっとも頻度が高く、スタッフを悩ませます。多量の除水により、急激な血圧低下を起こし循環動態を保てなくなった場合、途中で透析中止しなければならなくなります。

その為、透析中いかに血圧を下げないように工夫して目標時間まできっちり透析をするかが私たち透析スタッフの最大の務めとなります。

透析中の血圧低下を予防する方法はいくつかありますが、その中の一つに計画除水というものがあります。今回は、『計画除水の方法とその有効性』について紹介します。

均等除水と計画除水

まず、均等除水と計画除水とありますが、それらの違いは、除水速度のかけ方の違いです。それぞれについて説明します。

均等除水

均等除水は、一般的な除水方法です。患者の体重増加量である、除水総量を透析時間で割った、均等の速度で除水します。ようは、透析開始から透析終了までずっと同じ速度で除水する方法です。たとえば、4時間透析で2000ml除水する場合は、2000÷4=500 となり、一時間に500mlずつ除水します。

計画除水

計画除水は、除水速度を時間帯によって早くしたり、遅くしたりする方法です。一般的によく設定される計画除水の方法は、透析前半の除水速度を早くして、透析後半の血圧が低下しやすい時間帯は、除水速度を遅くする方法です。たとえば、4時間透析で2000ml除水する場合、前半の2時間を600ml/hの除水速度、後半の2時間を除水速度を400ml/minに設定します。

計画除水のかけ方

計画除水では、30分単位で除水速度の設定が可能です。計画除水のかけ方は無限にあります。患者それぞれに適した方法があるので、計画除水をかけた場合は、クリットラインモニタなどのBV計で、循環血液量の変化を確認して、いろいろな方法を試して適した方法を見つけることが必要です。
計画除水のかけ方の一例を以下に紹介します。
計画除水

透析後半に除水を減らす方法

上の図の①と②がこの方法です。計画除水の設定で一般的に使用される方法です。透析前半は、体内に水分が多くたまっているため、プラズマリフィリングがよく利いて血圧が下がりにくい状態です。それをうまく利用して、血圧が下がりにくい前半に多く除水をかけて、透析後半の血液循環量が下がって血圧が下がりやすくなった時には除水速度を少なくする方法です。

ただし、透析前半だからといってあまりにも除水をかけすぎると、透析前半に血圧が下がってしまう場合もあります。

透析開始時に除水を減らす方法

患者によっては、透析開始時に急激に血圧が下がる場合があります。原因としては、透析開始時に血液を透析回路に取り出したことによる体内の循環血液量の低下や、血液が透析回路や透析濾過器などの異物に接触することにより、一過性の白血球減少症などがあります。

そういった患者の場合は、透析開始の血圧が下がりやすい時間を除水速度を少なめにして、透析開始からしばらく時間が経過して血圧が落ち着いたら除水速度を増やすといった設定もあります。上の図では③の設定方法です。

計画除水の有効性

計画除水の効果については、そこまで劇的に効果があるわけではありません。やはり、透析間の体重増加量が多すぎると計画除水をしても血圧が下がります。透析医学会のガイドラインにおいても、『平均除水速度は体重1kg当たりで15ml/h以下を目指すこと』とあります。

この値は、4時間透析においては体重増加6%以下となります。12.57ml/h/kg以上の除水をかけると死亡率が上昇するといった文献もあります。

話がそれてしまいましたが、計画除水の有効性については、循環血液量低下改善の効果はないようですが、透析後半の血圧低下の抑制効果はあるようです。詳しくはこちらの文献を参考にしてください。均等除水と二段階除水の比較

まとめ

個人的にも、計画除水は効果があるように思います。同じ除水量でも計画除水をかけたほうが、楽だと訴えられる患者が多くいます。もしかしたらプラセボ効果もあるかもしれませんが。

ただ、血圧低下をしない為に、透析中にスタッフがいろいろ工夫をすることは大切ですが、一番の血圧低下の予防は、患者自身が体重増加量を抑えることです。そして、それが難しい場合は、透析時間を延ばして、時間除水速度を下げるしかありません。

平成26年度の診療報酬では、4時間未満2030点、4~5時間が2195点、5時間以上で2330点と時間帯による点数の差は少ないです。特に、4時間透析と5時間透析では135点(1350円)しか違いません。透析時間を1時間時間を延ばせば、余分に1時間分の人件費がかかります。正社員における看護師または臨床工学技士の人件費は1時間当たり1300~3000円程度だと思います。したがって、透析時間を延ばせば延ばすほど病院にとっては赤字になります。

患者にてとってよい透析を提供するためには、時間区分による診療報酬の点数をもっと大きくしたほうが良いと思います。