特定集中室管理料1,2の施設基準に臨床工学技士が含まれた!

<特定集中室管理料1,2の概要>

特定集中室管理料1,2とは

2014年度の診療報酬改定により特定集中室管理料1,2が創設されました。これは、一定の基準を満たした、手厚い治療の行える集中治療室に高い診療報酬を支払うと言うものです。
施設基準については、これがぜんぶではないですが大まかに下の通りです。

【点数】

4000点/1日

【施設基準】

  1. 専任医師が常時、特定集中治療室内に勤務していること。また、当該専任医師に、特定集中治療経験を5年以上有する医師を2名以上含む。
  2. 専任の臨床工学技士が、常時、院内に勤務していること(専任とは就業時間の5割以上、当該診療に従事している)
  3. 1床当たりの面積が20m2あること
  4. 特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度についてA項目3点以上かつB項目3点以上である患者が9割以上

[A項目]

(各1点)
・心電図
・輸液ポンプの使用
・動脈圧測定
・シリンジポンプの使用
・中心静脈圧測定
・人工呼吸器の装着
・輸血や血液製剤の使用
・肺動脈圧測定
・特殊な治療法(CHDF,IABP,PCPS,補助人工心臓,ICP測定)

[B項目]

項目

0点 1点 2点
寝返り できる 何かにつかまればできる できない
起き上がり できる できない

座位保持 できる 支えがあればできる できない
移乗 できる 見守り・一部介助が必要 できない
口腔清掃 できる できない

 

<説明>

診療報酬の背景

2003年に医療事故の頻発により、厚生労働省において、手術室、集中治療室(ICU)などハイリスク施設における、リスクを明確化して、安全ガイドを作成することになりました。
そして、2007年の3月30日に『ICUにおける安全管理指針』が発表されました。その中には、臨床工学技士に関する内容も含まれており

・生命維持管理装置の操作並びにトラブル処理を行うにあたっては、臨床工学技士が関与することが望ましい。
・臨床工学技士がICU内に常時勤務することが望ましいが、その体制ができない場合でも緊急時に臨床工学技士が適切に対応できる体制であることが望ましい。

とありました。
そして、それがとうとう2014年の診療報酬に反映されました。特定集中室管理料1,2の施設基準に『専任の臨床工学技士が、常時、院内に勤務していること』と含まれています。
今まで、臨床工学技士が診療報酬で得られる点数は、透析液水質加算、医療機器安全管理確保加算、呼吸ケアチーム加算など、少数でさらに点数の低いものばかりで、『臨床工学技士を増員してくれ』と、病院内で依頼しても、『臨床工学技士を増やしても、お金にならないやん』と言われて、悔しい思いをしてきました。

しかし、今回は1床当たり1日に4000点ということで、1点が10円として1日に1人4万円になります。病院内に、ICUのベッドが10症あり、患者さんが平均5人程度入院していたとしても、年間で5(人)×365×40000(円)=7300万円の収入になります。臨床工学技士の地位上昇や、病院内の臨床工学技士の増員に大きく影響する診療報酬であるといえます。

臨床工学技士の24時間院内勤務を確保するには

『臨床工学技士が常時、院内に勤務する』という条件を満たすためには、今のところ日勤帯のみ臨床工学技士が勤務している病院の場合は、夜勤を追加するか、当直を追加する必要が出てきます。夜勤と当直の違いは、夜勤は通常通りの仕事が行えて、労働基準法の、週40時間の労働に含まれます。夜に、出勤して、8時間労働して、朝に帰るといったかたちになります。

当直の場合は、朝に出勤して、8時間労働後そのまま、宿直業務開始して、翌朝に帰宅する形になります。宿直の場合は、労働基準法で、軽作業しか認められず、週40時間の労働時間には含まれません。電話対応、巡回程度だそうで、当直中に、緊急で血液浄化を行ったり、心臓カテーテルの補助を行ったりすることはできません。

もし、当直中にそのような一般的な業務を行った場合は、時間外労働となり当直手当とは別に時間外労働の賃金を受け取らなくてはなりません。夜勤により、24時間臨床工学技士が院内にいることを確保する場合は、4,5人の増員が必要になるそうです。当直の場合は、人員の増加が少なくてすみますが、できる仕事の内容が限られてきます。

以外と厳しい施設基準

当院では、集中治療室の専任の医師はいないので医師の確保が難しいです。また、『特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度についてA項目3点以上かつB項目3点以上である患者が9割以上』この基準が一番難しいようで、この基準を満たす患者のみをICUに入れるとすれば、ICUに入れる患者数が著しく減ってしまい逆にICU全体での診療報酬が下がってしまいかねません。全国的にもこの基準が難しいようです。

まとめ

自分自身、臨床工学技士の24時間院内勤務は必要であると感じます。当院では、いまのところ、臨床工学技士の24時間の院内勤務を行っていません。携帯当番制で、緊急時は、電話呼び出しにより出勤する体制です。特に、CHDF(持続血液透析濾過)施行時中は、24時間の院内勤務の必要性を感じます。

急な、静脈圧上昇により、ICUの看護師では警報の原因が分からなかったり、警報が解除できなかったりして、CHDF施行中にフィルター内を凝固させてしまい、血液を破棄するということが頻発しています。電話越しに、説明したり、状況を聞いたりするのでは、特に新人の臨床工学技士の場合うまく対応できないことも多くあります。

また、夜中に呼び出された場合は、ほとんど寝ないまま、そのまま朝が来てそのまま労働したりなど体力的にも厳しいし、寝不足のまま臨床業務を行うのは大変危険だと感じます。

今後、臨床工学技士が24時間勤務する病院が増えると思います。そして、その有益性を広めてもらい臨床工学技士が活躍する場所が広がればいいなと思います。